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相続相談の現場から

改めて見直してほしい生命保険の魅力

相続における生命保険の魅力とは

日本人は保険が好きと言われます。

ほとんどの人が何らかの生命保険に加入しています。

ただ残念なことにその勧誘のされ方によっては生命保険のイメージを悪くしています。

でも特に相続においては生命保険はなくてはならないものであり、いくつもの魅力があります。

先入観にとらわれずに、改めて生命保険について見直してほしいと思います。

相続における生命保険の魅力を4つご紹介します。

※ここに示す生命保険とは、亡くなったときに死亡保険金が受け取れる保険を指します。

〈その1〉相続税の納税に備えることができる

所定の要件を満たせば、生命保険から受け取る死亡保険金には非課税の特典があります。

具体的には、受け取った死亡保険金のうち「500万円×法定相続人の数」までの金額は、相続税の計算上、非課税になります。

例えば、死亡保険金を3,000万円受取り、法定相続人が妻と子2人の3人であれば、相続税の計算上は3,000万円が1,500万円(3,000万円-500万円×3)になります。

この特典を活用することで相続税の課税対象額を圧縮することができるので、節税になります。

ただし、非課税になるのは、すべての死亡保険金を合算してこの金額までです。

相談者と話していると、この特典のことを知らない人が結構いることがわかります。

ぜひとも活用してください。

また、相続税の納税資金を現金で確保しておくのはなかなか大変なので、死亡保険金で準備しているという人も多いです。

〈その2〉円満な遺産分割に備えることができる

生命保険から受け取る死亡保険金は「受取人固有の財産」となり、原則として遺産分割協議の対象外です。

「受取人固有の財産」ということは、端的に言えば「相続財産ではない」ということです。

そのため死亡保険金の受取人に指定すれば特定の相続人に確実に資金を渡すことができます。

また、生命保険の契約期間中に受取人や受取額を変更することができます。

なお、もめないためには、死亡保険金以外の財産の分割について、遺留分を考慮する必要があります。

その他、相続財産のほとんどが分割しにくい不動産である場合に、死亡保険金を代償金として活用することがあります。

代償分割といわれています。

一般的な家庭では、相続財産は自宅と現預金というケースが多いです。

相続人が2人以上いれば、必ず遺産分割の問題が発生します。

遺言がなければ法定相続分での遺産分割となりますが、法定相続分割合どおりにきれいに分割することは不可能です。

相続する財産として最も喜ばれる現金を上手く活用して、もめない相続としたいですよね。

生命保険であれば現金を確保できます。

〈その3〉すぐに使えるお金に備えることができる

金融機関は預金口座の名義人が亡くなったことがわかると口座を凍結します。

遺産分割協議書などで、その預金を引く継ぐ者が明らかになるまでは、お金を引き出すことはできません。

とはいえ、人が亡くなると葬儀費用、寺院費用、お墓関連費用などがすぐに必要となります。

その分のお金が確保できていればよいのですが、確保できないないと誰かが立て替えるなどの方法で対処しなければなりません。

亡くなった人の預金をあてにしていても、遺産分割協議が決着するまでは使用することはできません。

さらに言えば、のこされた遺族の当面の生活資金も確保しておく必要があります。

そこで役立つのが生命保険です。

生命保険であれば、保険金請求書類が保険会社に到着してから1週間ほどで死亡保険金を受け取ることができ、現金を確保することができます。

このように人が亡くなった後で、すぐに使えるお金を準備しておくことも忘れてはならないことです。

〈その4〉相続放棄をしても受け取ることができる

そして案外知られていないのですが、生命保険から受け取る死亡保険金は相続放棄をしても受け取ることができます。

プラスの財産よりもマイナスの財産が多いケースなどでは、通常相続放棄を行います。

相続放棄は相続の発生を知ったときから3ヵ月以内に手続きをする必要があり、マイナスの財産だけを放棄するということはできません。

先にも説明しましたが、死亡保険金は「受取人固有の財産」であり、相続財産ではありません。

そのため相続放棄をしても死亡保険金は受け取ることができるのです。

これはすごいことですよね。

ただし注意しなければならないことがあります。

少し複雑な内容になります。

死亡保険金は民法上は相続財産ではないのですが、相続税法上は受け取った死亡保険金はみなし相続財産となり、相続税が課税されます。

なお、非課税の特典(500万円×法定相続人の数)を受けることはできません。

このことも知らない人が多いので確認しておきましょう。

生命保険は相続における最強の金融商品

このように相続においては生命保険にはたくさんの魅力があります。

相続対策に活用する金融商品はいろいろとありますが、私は生命保険は相続における最強の金融商品だと考えています。

特にもめない相続を実現するためにはなくてはならない金融商品です。

多くの方が何らかの生命保険に加入していますが、加入したままになっている方も多いと思います。

「どのような生命保険に加入しているのか」「いざという時に本当に役に立つのか」

今一度加入内容を確認してください。

そして疑問を感じる場合には、専門家に相談して、損をしないよう有効活用してください。

2026.10.29.

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相続相談の現場から

わが家に必要な相続の準備は何?

誰に相談すればいいのか、わからない

「相続に対する不安があるけど、弁護士や税理士に相談する前に、誰か相続のことにくわしい人に相談したい」。

そう思っている人はたくさんいます。

相続財産がたくさんあるとか、相続人がたくさんいる場合には、迷わず弁護士や税理士などの士業の先生に相談するでしょう。

相続財産は自宅と現預金でそれほどでもないし、相続人は2~3人で特に仲が悪いというわけでもない。

でも相続のことが何となく心配で、士業の先生に相談する前に、誰か相続のことにくわしい人に相談したいけど、誰に相談すればいいの?

こんな感じです。

本やインターネットで相続の知識を学び、一般的なことは理解できても、「わが家には何が必要なのか」なかなかそこまで導き出せません。

自己流の相続準備では不安だから、誰か相続のことにくわしい人に相談したい。

そんな気持ちよくわかります。

士業は縦割り

相続が起きたあとは基本的には法律や制度にもとづいた手続きの世界です。

財産を分ける、登記をする、税金を納める。

これらの業務は特定の資格を持っている人しか行うことができません。

そのような特定の資格を複数持っている場合を除き、一般的に士業の先生は、ある特定の分野の専門家であり、いわゆる縦割りになっていることが多いです。

相続ではいろいろな分野が絡んできます。

すべての分野に精通している士業の先生はいません。

「これは私の専門外なので、他をあたってください」。

いろいろと情報を集めて士業の先生を探したものの、横の連携がないために、また情報を集めて士業の先生を探し、最初から説明しなければなりません。

そう嘆く相談者をたくさん見てきました。

相続全体をコーディネートするのが相続コンサルタント

相談者と1対1で向き合い、ワンストップで課題を解決する。

ひとりの者が中心となって相続準備の基本部分をとりまとめ、各分野の専門家である士業の先生と連携し、士業の先生が業務をスムーズに進められるように支援する。

そのような役割りをもつ人がいるとありがたいと思いませんか?

相続の悩みや困りごとを聞き、課題を特定して必要な準備を考える。

そして相続全体をコーディネートしながら、各分野の専門家である士業の先生と連携し、課題を解決する。

名称はいろいろとありますが、そのような役割を果たすのが私のような相続コンサルタントです。

相続コンサルタントが利害関係の無い第三者として、相続でもめている中に入ることで、

落ち着くことも多いです。

一番ハードルが低く、確実なのは「わが家に必要なことは何ですか?」と聞くこと

相続に必要なものは法律の理解や相続税の節税だけではありません。

財産をどのように分けるかなども含めて、相続全体で準備を行う必要があります。

そして認知症になる前に対策を打ちましょう。

相続の準備は一人や一部の人たちだけでやるのではなく、家族全員でやることが円満相続の秘訣です。

そして相続の準備をするにあたり、一番ハードルが低く、確実なのは「わが家に必要なことは何ですか?」と相続コンサルタントに聞くこと。

相続・認知症対策に、早く取り組みたい。

でも何から考えればよいのかわからない。

そのような方は今すぐに私たち相続コンサルタントに相談してください。

あなたのためということ以上に、あなたの大切なご家族にために。

2026.10.23.

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相続相談の現場から

日本の相続制度は2本立て

自分の財産は生前でも死後でも自由に処分できる

生涯かけて築いてきた自分の財産は当然すべて自分のものですから、誰に渡そうと、どのように処分しようと本人の自由です。

そして自分の所有する財産は生前でも死後でも自由に処分することができます。

亡くなってしまってからは直接手をくだすことはできないので、遺言というかたちで処分することになります。

そのため、自分の死後、財産が分けられるにあたり、家族がもめないように遺言書を書いておくことが大切なのです。

ところが日本人で遺言書を書いている人はまだまだ少数です。

誰だって、自分が生涯かけて築いてきた財産を分けるにあたり、家族がもめるのは避けたいはずです。

財産が多い人も少ない人も、自分の財産をしっかりと処分するために遺言書を書いてください。

遺言がある相続

遺言書があれば、遺言書に書かれているとおりに相続が行われます。

そのため、遺言書の作成にあたっては、自分一人で行うのではなく、家族間の合意を得て作成することが、もめない相続のためには極めて重要になります。

自分の財産を処分することなので、遺言書には自分の思うように書くことができます。

例えば、相続人が3人いて、そのうちの一人にすべての財産を相続させることが可能です。

また、愛人にすべての財産を渡すことも可能です。

ただそのような分け方では財産をもらえなかった相続人から不満ができることは必至です。

そうならないように「遺留分」という権利が設けられています。

なお、「遺留分」は兄弟姉妹にはありませんので注意しましょう。

遺言がない相続

では、遺言がない場合の相続はどうなるのでしょうか?

遺言がない場合には法定相続となります。

民法には法定相続人、法定相続分が定められています。

遺言がない場合には、財産は法律に則って分けることになります。

例えば、法定相続人が妻と子2人であれば、法定相続分は妻が1/2、子それぞれが1/4です。

相続財産が自宅と現預金というよくあるケースの場合、このようにきれいに分けることができるのでしょうか?

不動産のような分割しにくい財産では困難です。

とは言え、遺言がないのであれば何とかして財産の分け方を決めなければなりません。

もしも所有する財産をすべて現金にすることができれば、きれいに分けることができます。

でもそれは現実的ではないですよね。

だから遺言を残さないまま相続を迎えるともめてしまうのです。

家庭裁判所のお世話にはなりたくないですよね。

日本の相続制度は2本立て

日本の相続は、遺言による相続と法定相続の2本立てです。

そして遺言による相続が優先します。

相続が起きたらまずは遺言書があるのか確認しましょう。

遺言の代表的なものは「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」です。

公正証書遺言であれば、遺言書の原本が公証役場に保管されているので、紛失や偽造されることなく、亡くなったことがわかれば通知されます。

また、自筆証書遺言でも「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば、遺言書の原本は法務局(遺言書保管所)に保管されるので、紛失や偽造されることなく、通知を受けることができます。

2026.10.16.

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相続

【相続対策事例23】相続税対策としてアパートを建てることを検討中

〈事 例〉

現金・預貯金を多く保有している70代のB夫婦は、相当の年齢になったので、自分たちの今後のことを考えて、相続の準備を始めました。

準備を進めていく中で、不動産会社から「現金のまま持っているより、土地を購入して賃貸アパートを建てれば相続税対策になる」と提案されました。

B夫婦はアパート建築に興味を持ち、早速検討を開始しました。

〈対 策〉

✅土地を購入して賃貸アパートの建築を決断するためには、さまざまな視点からの総合的な確認が必要

・節税の具体的な効果は?

・賃貸アパートの建築費はどのくらいなのか?

・賃貸アパートの建築にあたり、どのくらいの借入金が必要なのか(保有している現金・預貯金のうち夫婦の今後の生活費を考慮)

・賃貸料収入はどのくらい見込めるのか?

・空室リスクは?

・将来発生する賃貸アパートの修繕費はどのくらいを見込んでおけばよいのか?

・管理費はどのくらいかかるのか?

・賃貸アパートを売却する可能性はあるのか?

・B夫婦の相続人が賃貸アパートを引き継いだ後の問題点は? など

その結果、単純な節税対策ではなく、相続後も子どもが無理なく所有できるかどうかを重視して判断することにしました。

〈ポイント解説〉

自宅以外に土地を保有している人の中には、節税対策として、金融機関からの借入金により賃貸アパートなどの不動産を購入・建築をする人がたくさんいます。

相続税額の計算上、借入金は控除できますし、不動産も活用の仕方によっては評価額を下げることが可能です。

とはいえ、「借入金により不動産を購入・建築すれば相続税が下がる」という一面だけで判断するのは危険です。

節税対策のためだけに多額の借入金を抱えることは精神的な負担が大きいのです。

借入金は必ず返済しなければならないことを忘れてはいけません。

賃貸アパートの家賃収入が計画通りに得られない場合でも、借入金の返済は待ってくれません。

将来的に渡って確実にその家賃収入を確保できる保証はありません。

さらには賃貸アパートの経年劣化により修繕費が必ず発生します。

家賃収入が期待できなくなれば売却すればいい、との判断もありますが、こちらが望む価格で売却ができるとは限りません。

もしかしたら売却しても借入金を完済することができず、引き続き返済だけが続くことも考えられます。

不動産の価値は収益力で決まる時代です。

もし節税対策のために賃貸アパートを建てるのであれば、最終的な着地点となる「売却」のことまで考えてから実行してください。

売却価格は家賃収入次第と言っても過言ではありません。

相続税対策と相続税は別物です。

両方ともに考えていかなければなりません。

節税効果だけでなく、相続後の資産価値・収益性・換金性まで考える必要があります。

最も大切なことは、購入・建築した不動産を相続により引き継ぐ子どもに負担がかからないようにすることではないでしょうか。

2026.10.9.

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相続相談の現場から

親の介護をした人の言い分

遺産分割で親の介護をしたことを主張する人

遺産をどのように分けるかを協議する際に「自分は親の介護をしたのだから、その分を考慮してほしい」と主張するケースがあります。

確かに介護は大変な重労働です。

しかも、長男だから、長女だから、親と同居しているから、親の近くに住んでいるからという理由で、親の介護を請け負うことが多いです。

実際に親の介護をしていない他の兄弟姉妹には理解できない苦労です。

だからその分、他の兄弟姉妹よりも多く遺産をもらう権利があるはず。

その気持ち理解できなくはありません。

寄与分

相続には「寄与分」という制度があります。

これは、相続人の中に相続財産を維持・増加する上で特別に貢献した者がいる場合、その相続人には、他の相続人に優先して、多くの相続財産を受けることができるというものです。

子が親の面倒をみても原則として寄与分にはならない

では、兄弟姉妹の中で自分だけが親の介護をした場合、それは寄与分として認められるのでしょうか?

残念ながら、原則として寄与分は認められません。

子が親の面倒をみるのは「扶養」であり、子としては当然の行為とされるからです。

寄与分を認めてもらうためには、介護をしたことによって親に対して並々ならぬ多大な貢献があったことを、全相続人に証明して納得してもらう必要があります。

相続人間での協議がまとまらず、どうしても認めてもらいたいときは家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。

相続人以外の親族が義理の親の介護をしたら

ではもし相続人以外の親族、例えば子の妻が義理の親を無償で介護した場合はどうなのでしょうか?

義理の親の財産の維持・管理について特別の貢献をした場合、義理の親の相続開始後、子の妻は「特別寄与者」として相続人に対して金銭(特別寄与料)を請求することができます。

特別寄与料の金額は相続人との協議になりますが、決らなければ家庭裁判所へ協議に代わる処分を請求することができます。

なお、特別寄与料の金額が確定すると、特別寄与料を遺贈により取得したとみなされ、特別寄与者には相続税が課税されますので注意が必要です。

2026.10.5.

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相続

【相続対策事例22】賃貸アパートを所有しているケース

〈事 例〉

Aさん(75歳)は賃貸アパートを所有しており、相続財産の大部分はこの賃貸アパートで、その他には銀行の預金がありました。

Aさんの妻は5年前に亡くなっており、相続人はひとり息子の長男のみでした。

Aさんは「アパートを残せば家賃収入が入るので、子どものためになる」と考えていました。

賃貸アパートは相続対策としてAさんが10年ほど前に購入したもので、長男はこの賃貸アパートの存在を知りませんでした。

がんの闘病生活をしていたAさんが亡くなりました。

相続発生後、長男は父親の相続財産である賃貸アパートを調べてみると、建物は老朽化しており、大規模修繕も必要な状態でした。

これでは借り手がつかず、家賃収入が期待できませんでした。

とはいえ父親が遺してくれた財産を簡単に処分することはできません。

相続はしたものの、この賃貸アパートを今後はどのように管理していけばよいのか悩んでしまいました。

〈対 策〉

✅Aさんの相続が発生する前に、親子で次のようなことを確認しておく

 ・賃貸アパートの現在価値はどのくらいなのか?

 ・借入金残高はどのくらいあるのか?

 ・将来的に見込める家賃収入は?

 ・これから賃貸アパートの修繕費はどのくらいかかるのか?

 ・今後の空室率はどのくらいになるのか?

 ・今後の収支計画は?

 ・賃貸アパートを売却した場合の価格は?

 そのうえで、「本当にこの賃貸アパートを子どもに残すことが適切なのか」を検討する

〈ポイント解説〉

不動産は「財産」であると同時に、「維持・管理する資産」でもあります。

節税対策として、借金をして不動産を購入することはよくあるケースです。

相続対策は税金の問題だけではありません。

相続対策と相続税対策は別物です。

そのため両方を考えていかなければなりません。

このケースでは相続人がひとりでしたが、もし相続人が2人以上いれば、どのように遺産を分けるのかを考えなければなりません。

相続財産の承継には相続人それぞれの想いがあります。

そしてこの事例のように相続財産の大部分が不動産であると遺産分割は容易ではありません。

もめない相続のためには、生命保険金を使って代償分割を行うなど対策を講じる必要があります。

不動産に関する問題は相続においては必ず発生します。

この不動産は誰が引く継ぐのがいいのか、相続は税金のことだけではなく、分割方法や収益性、管理負担まで考えておかなければならないのです。

2026.9.25.

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相続

【相続対策事例21】兄弟で共有名義にしたことで、売却できなくなった

〈事 例〉

父親(80歳)の遺産である自宅と別荘の土地と建物を、長男と次男が2分の1ずつ共有で相続しました。

土地の名義を長男が1/2、次男が1/2、同様に建物の名義も長男が1/2、次男が1/2にしたということです。

当初は「兄弟だから特に問題はない」と考えていましたが、数年後、長男が別荘を売却したいと考えるようになりました。

長男は、まだしばらくかかる子どもの教育資金と自身の老後生活資金を確保したいという想いがありました。

ところが、次男は売却に反対しました。

別荘の土地、建物とも所有権の1/2は次男にあります。

長男はサラリーマンですが、次男は会社経営をしており、会社の業績も順調で、長男ほど資金繰りに困っていませんでした。

兄弟で話し合いを行いましたが合意が得られず、別荘の土地も建物も処分できなくなってしまいました。

〈対 策〉

✅父親の生前に、自宅と別荘を相続により引き継いだ後の利用方法について、長男および次男それぞれの希望を確認し、共有名義を避ける方向で遺産分割方法を検討する

例えば、長男が自宅を相続し、次男は別荘と預貯金とその他の資産を相続し、不足する分については、長男から生命保険金を活用した代償金の交付を受ける など

✅家族間で話し合った遺産分割方法を遺言書に書いておく

〈ポイント解説〉

不動産の共有名義は、相続時には公平に見えても、将来の売却・管理・修繕などで問題になる可能性がとても高いです。

そのため不動産の共有名義は、極力さけなければなりません。

今はどんなに仲の良い兄弟であっても、将来のことはわかりません。

不動産を売却できるのであれば売却資金を1/2ずつ分けることができますが、そう簡単にはいきません。

相続において不動産はいつも問題児です。

そのため、不動産は誰が引き継ぐのかをあらかじめ決めておくことが円満な相続には必要となります。

不動産以外の預貯金や他の財産を相続させることに併せて、生命保険金を活用した代償分割を行い、兄弟でもめない相続のかたちについて、家族間でしっかりと話し合っておくことが大切です。

なお、生命保険金は受取人固有の財産です。

生命保険金の受取人を誰にするかについては注意が必要です。

そして、家族間で合意形成した内容について遺言書にのこすことで、多くの場合トラブルを防ぐことができます。

2026.9.18.

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相続相談の現場から

遺言書は書くべき

遺言書は全員に書いてほしい

遺言書があれば遺言書にしたがって遺産分割が行われます。

そのため争い事を防ぐのに大きな効果があります。

一方で、遺言書がなかったら、相続人全員で遺産の分割方法を決めなければなりません。

決まらなければ家庭裁判所での調停へと進みます。

今はどんなに仲が良い兄弟姉妹でも将来のことはわかりません。

自分の遺産相続で家族がもめないようにするためには遺言書が必要です。

外国では遺言書を書くことは一般的ですが、日本では遺言書を書く人はまだまだ少ないです。

遺言書は全員に書いてほしいです。

「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」が代表的

遺言書の代表的なものとして「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2つがあります。

公正証書遺言は、公証役場で法律にくわしい公証人に作成してもらいます。

自筆証書遺言は、いつでも自分ひとりで作成することができます。

それぞれに長所・短所があるので、どちらで作成する方がよいのか見極める必要があります。

国も遺言書を作成しやすくするために改定を行っています。

公正証書遺言では、公正証書のデジタル化により、公証人との面談は必要ですが、条件が整えば公証役場まで行かなくてもオンラインで完結できるようになりました。

自筆証書遺言では、2020年7月から法務局による「自筆証書遺言保管制度」が実施されています。

この制度を利用すれば、それまで自筆証書遺言書の懸念事項となっていた遺言書の偽造や紛失を防止することができ、家庭裁判所での検認を不要とすることもできます。

遺言の内容が複雑でトラブルを引き起こす心配があるのであれば、時間や手間、費用もかかりますが、公正証書遺言で作成するべきでしょう。

特に遺言書を書いた方がいい人

次のような人にはぜひ遺言書を書いてほしいです。

①財産が少ない人

兄弟姉妹間の感情のずれ、意地の張り合い、不満、恨み、妬みなどが争いごとのきっかけになります。

相続争いは、遺産総額が5,000万円以下のケースが全体の約80%を占めます。

財産が多い人は、もめることがわかっているので、あらかじめ対策をしています。

「大した財産はないから、わが家は大丈夫」と思っている人こそ、何の対策もしていないためもめてしまいます。

②家族仲が良い人

今は兄弟姉妹の仲が良くても、それぞれに家庭ができると血縁関係がうすくなっていき、気まずくなっていくことがあります。

源 頼朝と源 義経のように将来のことはわかりません。

③子どもがいない人

子どもがいない夫婦の場合、夫の相続人は妻と兄弟姉妹であることが多いようです。

兄弟姉妹との仲があまりよくなく、自分の財産はすべて妻にあげたいと思うことがあります。

そのような場合には、兄弟姉妹には遺留分(法律上、最低限相続できる相続分)がないため、遺言書で「すべての財産を妻に相続させる」と書けば想いを実現することができます。

④心配事がある人

障がいをお持ちの子がいるなど将来の行く末に心配な家族がいる場合、その人の生活を守るために遺言書は非常に効果的です。

⑤海外に子がいる人

最近は生活の拠点を海外に置く人が増えてきました。

例えば、遺産分割協議書を作成する場合、相続人が海外に住んでいると、書類の取り寄せなどに時間や手間がかかることが考えられます。

⑥相続人がいない人

相続人がいない人の財産は、何もしなければ国庫に帰属します。

財産は誰にでも引き継ぐことができます。

お世話になった人や寄付したい団体などがあれば、遺言書を書いて自分の想いを成就させることができます。

遺言書を書く際には「遺留分」に注意

遺留分とは、一定の相続人が最低限相続できる相続分のことで、民法に定められています。

遺言書があれば、そこに書かれた分け方が優先しますので、一人に全財産を相続させるなどの内容では他の相続人は納得しません。

そのため遺留分の権利が保証されているのです。

ただ、遺留分の権利は、配偶者、子、父母にはありますが、兄弟姉妹にはありません。

そして遺留分の割合は、原則として法定相続分の半分ですが、相続人が父母のみの場合には法定相続分の1/3です。

もし遺言書で遺留分が侵害されているのであれば、奪われた相続分を取り戻すことができます。

このように遺留分は相続人にとって最低限の保障であり、強力な権利です。

ただし、遺留分の行使(遺留分侵害額請求)には期間制限があります。

次の期間を経過すると権利が時効となるので注意が必要です。

✅ 相続開始および遺留分侵害を知った日から1年経過

✅ 相続開始の時から10年経過

遺言書を書く際には遺留分には十分に注意することが大切です。

2026.9.11.

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相続

【相続対策事例20】空き家になった実家を相続することになった

〈事 例〉

実家で一人暮らしの母親(84歳)が亡くなり、子ども2人(長男・次男)が実家を相続することになりました。

長男は実家の近くに一軒家を建てて家族と暮らしており、次男は東京のマンションで家族と暮らしていました。

そのため誰も実家を引き継いで住む予定がなく、そのままにしていると空き家にもかかわらず固定資産税や管理費、修繕費などの負担が発生することになってしまいます。

とはいえ実家にはたくさんの思い出があり、長男、次男とも実家を売却することには抵抗がありました。

ただ、いつまでもそのままにしておくわけにはいきません。

空き家になった実家の引継ぎ方について、兄弟で頭を悩ませていました。

〈対 策〉

✅ 母親の相続発生前から、実家を「誰が引き継ぐのか」「売却するのか」「賃貸するのか」を家族で話し合う

✅ 最終的には売却することを前提として、家財整理や不動産の査定などを早めに進めておく

〈ポイント解説〉

「思い出があるから」という気持ちはわかります。

しかし、そのような理由だけで実家を残してしまうと、引き継いだ相続人が大きな負担を背負うことになります。

・誰も住んでいないのに管理費だけがかかってしまう

・管理ができていないと近隣から苦情が来る

・固定資産税も払い続けなければならない

「空き家問題」は今後ますます増え、深刻化していくことが予想されます。

空き家になってしまった実家をどうするかについて、親が元気なうちに家族全員が集まって話し合っておくことが円満な相続のために必要です。

空き家問題を解決するための最適な方法は「売却する」ことではないでしょうか。

そのためには親が生きているうちから家財整理や不動産の査定などを早めに進めておきましょう。

国土交通省では、空き家やその敷地を売る・貸す際に活用できる制度をとりまとめて、ホームページで紹介していますので参考にしてください。

【空き家・敷地を売る】

●空き家の発生を抑制するための特例措置により、2027年12月31日までに一定の条件の下で売却すれば、所得税・住民税において譲渡所得から3,000万円まで控除されます。

【空き家を売る】

●インスペクション(専門家による空き家の建物現況調査)をしておく

【空き家を売る・貸す】

●空き家バンクを活用する

【空き家を貸す】

●住宅セーフティネット制度を活用する

●非営利法人へ貸す

●サブリース事業者へ貸す

【空き家になる前に売る】

●住み続けながら将来の処分を考える(リバースモーゲージ)


出典:国土交通省 アキヤリバース

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/articles/2024032003.html

2026.9.4.

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相続

【相続対策事例19】長男が自宅を相続したが、他の相続人への代償金が払えない

〈事 例〉

父親(81歳)が亡くなりました。

相続人は長男・次男の2人でした。

父親の財産は3,000万円の自宅と1,000万円の預貯金でした。

長男は父親とずっと同居して生活してきており、「自宅は自分が相続したい」と考えていました。

相続人は子2人なので、法定相続分としては1/2ずつとなります。

そのため、長男が自宅を相続すると、次男との間で遺産の分け方に大きな差が生じてしまいます。

父親は財産の分け方について子どもたちと特に話をしていませんでした。

また、遺言書も書いていませんでした。

〈対 策〉

✅父親の生前に財産全体を整理したうえで、生命保険を活用して、長男から次男へ
 代償金が支払えるように準備しておく

✅遺産の分け方について、父親は遺言書を書いておく

〈ポイント解説〉

●相続でまず確認すること

相続対策の第一歩として、「相続人は誰なのか?」「相続財産には何があるのか?」「遺言書はあるのか?」をまずは確認します。

戸籍を確認してみたら「実は相続人は別にまだいた」ということは珍しいことではありません。

また、相続財産はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も把握する必要があります。

「うちは大した財産はないから」と思っていても、全財産を把握することは、なかなか大変なものです。

相続人や相続財産を正確に把握できなければ、円満な相続はできません。

●不動産は「分けにくい」から悩ましい

このケースのように、一般的な家庭では、相続財産は自宅と預貯金ということが多いです。

悩ましいのは、不動産は「分けにくい」という特徴があることです。

不動産を売却して、その売却資金で遺産分割を行うことができればよいのですが、簡単に売却することはできません。

ではどうしたらよいのでしょうか?

不動産だけでなく、預貯金や生命保険なども含めて遺産分割を考えます。

●生命保険金を使った代償分割

生命保険金を活用した代償分割を行うという方法があります。

ただし、生命保険金は原則として受取人固有の財産であることに注意が必要です。

受取人固有の財産ということは相続財産ではないということです。

そのため遺留分(最低限相続できる相続分)を考える際には、生命保険金を除外して考えなければなりません。

では具体的にはどのようにすればよいのでしょうか?

このケースの場合には、長男がいったん全ての財産と生命保険金を受取り、そこから代償金を長男から次男へ支払うようにします。

トラブルを避けるためには、生命保険金の受取人を次男とはしないことがポイントです。

生命保険金は受取人の固有財産であるため、次男は生命保険金を除いて、自分の適正な相続分を主張してくるからです。

●円満相続のために

父親は、遺産の分割について、遺言書にきちんと書いておくことが大切です。

ただし、遺言書を一人で書いておけばそれで安心ということにはなりません。

遺言書を書く前に、長男と次男を交えて、遺産の分け方について家族会議を実施し、家族間の合意形成を図っておくことでトラブルを避けることができます。

2026.8.28.