〈状 況〉
ひとり暮らしをしていた母親(80代)が認知症を患い、ひとりで生活することが困難になったため、子どもたちは母親に老人ホームへ入居してもらいました。
今後、母親が実家に戻るということは考えられず、子どもたちは「実家は空き家になる」と考えていました。
空き家になった実家を売却して老人ホームの費用に充てようしましたが、母親は認知症を患っているため、売買契約を締結することができませんでした。
認知症になると、本人の意思能力(判断能力)が低下しているとみなされ、原則として自宅を売却することはできなくなります。
たとえ配偶者や子どもであっても、本人の代理として勝手に売却手続きを進めることは法律上認められていません。
不動産売買は重要な法的行為です。
所有者本人に「自分が家を売り、代金を受け取る」という結果を正しく理解する意思能力がなければ、契約を結んでも法的に無効となります。
不動産会社や司法書士は、契約時に必ず本人の意思能力を確認するため、認知症が進行していると手続きを拒否します。
〈問題点〉
実家の老朽化も進んでいたため、子どもたちには実家を引き継いで生活するという考えはありませんでした。
また、母親が認知症ということで、実家を売却することもできません。
その結果、次のような問題が生じてしまいました。
●誰も住んでいないのに管理費だけがかかってしまう
●管理ができていないと近隣から苦情が来る
●固定資産税も払い続けなければならない
●あてにしていた実家の売却資金を介護費に充てられない
〈対 策〉
相続対策は家族が困らないように生前に行っておくものですが、認知症になる前に行っておくべきものといえます。
この事例の場合、母親が認知症になる前に、例えば次のような準備をしていたら問題は解決できたと考えられます。
✅家族信託
✅実家の売却を見据えた資産整理
2026.7.10.