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生命保険

死亡保障額を決めるのに欠かせない必要保障額

「生命保険には、いくら入ればいいのか?」

生命保険の加入を考えた時に最も基本となることですが、死亡保障を目的として加入するときには、「必要保障額」がよりどころとなります。

この「必要保障額」についてみていきましょう。

そもそも必要保障額とは?

必要保障額とは、死亡保障を目的として生命保険に加入する場合に、「いくら加入すれば良いか?」の「いくら」を考える際のよりどころとなるものです。

必要保障額は、一家の主たる収入を得ていた者が亡くなり、残された遺族が生活していくために必要な「総支出額」から、遺族年金などの「総収入額」を差し引いて計算します。

このようにして計算された金額(必要保障額)が、生命保険でカバーしたい金額になります。

必要保障額算出にあたってのポイント

必要保障額を算出するうえで、一般的に考慮すべきポイントについてまとめてみました。(夫が会社員、妻が専業主婦で夫が生命保険の加入を検討している場合)

〇生活費

いつまでの生活費を考慮するべきか、ということです。

妻であれば、必要保障額を算出する時点での妻の平均余命(あとどのくらい生きることができるか)までを考慮しましょう。

子どもであれば、子どもが大学を卒業するまでを考慮しましょう。

〇住居費

住宅ローンを組んでいる場合、団体信用生命保険に加入していれば、もしものことがあった場合に、ローン残高は免除になります。

したがって、住宅ローン全額の名義人が夫であれば、必要保障額の算出にあたって考慮する必要はありません。

その他、持ち家であれば、リフォーム費用や固定資産税、修繕積立金および管理費(マンションの場合)を考慮します。

また、賃貸であれば、これから支払っていく家賃の総額となります。

〇子どもの教育費

子どもの人数および進学経路(国公立・私立)を考慮します。

なお、幼稚園から大学まですべて国公立であっても、子ども1人あたり1,000万円ほどの教育費がかかると言われています。

〇遺族年金

夫が会社員である場合、厚生年金に加入しているため、夫がもしものときには遺族年金を受け取ることができます。

どのくらいの遺族年金が受け取れるのかを概算で把握しておけば、必要保障額からその概算額を控除することができます。

まとめ

このようなことを考慮しながら、残された遺族が生活していくために必要な「総支出額」や遺族年金などの「総収入額」を把握して、必要保障額を算出します。

なお必要保障額は年齢の経過とともに減少していくので、これに合わせて保険金額が減少していくような保険に加入することが大切です。

2023.2.28

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生命保険

ミニ保険

少額短期保険のことを「ミニ保険」と呼んでいます。

少額短期保険は2006(平成18)年に生まれた新しい保険業態です。

この少額短期保険についてまとめてみました。

少額短期保険会社は115社

少額短期保険は2006(平成18)年4月に施行された改正保険業法において成立した新しい保険です。

2023年2月10日現在で、115社が少額短期保険会社として登録しています。

保険業法の改正により、共済を営んでいた団体が少額短期保険に移行することとなり、保険業法の下、保険業者として活動することになりました。

共済事業から保険事業へと移行したわけです。

2021(令和3)年度現在、保有件数は1,054万件、収入保険料は1,277億円となっています。

少額短期保険会社が受ける規制

少額短期保険は共済から保険へと移行するにあたり、商品、事業形態、保険契約者の保護などの多くの点で規制を受けています。

1被保険者についての保険金額と保険期間の上限

保険業法で、保険期間は1,000万円以内、保険期間は2年以内と規定され、さらに保険種類に応じて保険金額の上限が細かく定められています。

(保険金額)

・死亡保険 300万円以下 ・医療保険(傷害疾病保険) 80万円以下

・損害保険 1,000万円以下 など

(保険期間)

・生命保険 医療保険(傷害疾病保険) 1年以内

・損害保険 2年以内

少額短期保険の商品

少額短期保険会社では、これまで保険会社で商品化できなかった新たな商品が開発されています。

商品の特徴としては2つ考えられます。

①シンプルである

 生命保険であれば、死亡保険金額が100万円・200万円・300万円のものから選ぶ商品が主流で、複雑な特約はありません。

②セグメントされている

 「保険会社が取り扱うには市場規模が小さすぎる」「万人向けではない」などの理由で、保険会社が参入できなかったニッチ分野に、積極的に商品を提供しています。

少額短期保険の商品例

●タイヤ保険

 1本のタイヤ事故で新品4本交換

 保険金額 10万円 20万円 30万円

 保険料 10万円:月払 830円 20万円:月払 2,040円 
     30万円:月払 5,670円

●熱中症お見舞い金保険

 猛暑日でのスポーツ中や仕事中などの熱中症リスクに対応

 熱中症で点滴を受けたとき(治療保険金 10,000円)

 熱中症で1泊2日以上の入院をしたとき(入院保険金 30,000円)

 保険料 240円/月(保険期間が1~7ヵ月の月単位契約の場合)

●フリーランス向け保険

 フリーランスの仕事中および日常生活中のケガを補償

 年齢、職業、健康状態を問わず加入可

 保険金額 入院:最大30万円 手術:最大20万円 通院:最大6万円

 保険料 9,720円/年

●ペット保険

 保険金日額の上限、支払回数の制限なし

 保険金額 補償割合70%または補償割合50%

      120万円(通院30万円 入院60万円 手術30万円)

 保険料 1,270円/月(ネコ 補償割合50% 0~2歳の場合)

最近ではトラブルも

保険会社が免許制であるのに対して、少額短期保険会社は最低資本金1,000万円などの条件を満たせば、登録だけで事業を開始することができます。

参入障壁が低いため異業種からの参入が多くなっています。

最近では、保険金の支払いが滞るなどのトラブルが目立ち始めており、金融庁は2023年春をめどに監督指針を改正し、監督の強化を図るとのことです。

まとめ

少額短期保険会社では、これまで保険会社で商品化できなかった商品が数多く開発されており、「こんな保険ないかな?」と思ったときに、ちょっとのぞいてみてはいかがでしょうか?

2023.2.21

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生命保険

医療保険に加入するときに注意したいこと

病気やケガで入院や手術をすると、医療費として多額な費用がかかることがあります。

もし多額な医療費がかかったとしても、公的医療保険の「高額療養費制度」により、負担を軽減することができます。

しかし、高額療養費制度の対象にならない費用もあります。

これをカバーするのが民間の医療保険の役割です。

では、医療保険に加入するときには、どのようなことに注意点しなければならないのでしょうか?

「高額療養費制度」により医療費の自己負担限度額を超えた金額が戻ります

まず公的医療保険の「高額療養費制度」についてです。

高額療養費制度とは、月の初めから終わりまでの1ヵ月間(4月であれば4月1日~4月30日)にかかった医療費に対して支払う自己負担額が、あらかじめ定められている自己負担限度額を超えた場合に、その超えた部分の金額が戻ってくる、というものです。

注意していただきたいのが、金額は1日から月末で計算するということです。

同じ月であればわかりやすいのですが、例えば4月15日~5月14日まで入院した場合には、高額療養費の計算は、4月15日~4月30日までと5月1日~5月14日までの2つの月に分かれます。

支払った医療費の自己負担額が、総額で自己負担限度額を超えていても、月単位で超えていなければ戻ってきません。

どのくらい戻ってくるのか

ひと月あたりの自己負担限度額は、70歳未満で年収が約370万円~770万円の人の場合、次のように計算します。

ひと月あたりの自己負担限度額 = 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

例えば、かかった総医療費が100万円の場合であれば、この式にあてはめて計算すると、ひと月あたりの自己負担限度額は87,430円となります。

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

70歳未満の人であれば、医療機関の窓口での自己負担額は、原則として、かかった総医療費の3割です。

自己負担額300,000円(1,000,000円×30%=300,000円)のうち、212,570円(300,000円-87,430円=212,570円)が戻ってくることになります。

このように高額療養費制度があるおかげで経済的負担がかなり抑えられます。

「高額療養費制度」の対象にならない費用があります

高額療養費制度の対象になるのは、治療関連費用(入院基本料、手術料、検査料、投薬料など)のうち健康保険診療の範囲内になるものだけです。

「差額ベッド代〈注1〉」や「入院中の食事代」は高額療養費制度の対象外です。

「差額ベッド代」は、1人部屋では8,315円、4人部屋では2,639円〈注2〉というデータがありますが、全額自己負担しなければなりません。

また「入院中の食事代」は、一般的に1食460円(2023年10月末現在)ですが、これも全額自己負担しなければなりません。

さらに、その他の諸費用として「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費」、「見舞いに来る家族の交通費」などがかかってきます。

これらの費用についても、全額自己負担しなければなりません。

最近は入院期間が短期化する傾向にあります。

しかし、がん、脳血管疾患、心疾患などの重い病気を患えば、どうしても入院期間は長期化することが考えられます。

もしも入院期間が長期化してしまった場合には、このような自己負担しなければならない費用がかさみ、多額の経済的負担がのしかかってきます。

〈注1〉差額ベッド代

 6人部屋などの一般病室に対して、1~4人の「特別療養環境室」に入室したときに  
 かかる費用。部屋の人数により異なり、1人部屋が最も高額。

〈注2〉出典

 厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」令和3年7
 月1日現在 

医療保険は高額療養費制度の対象にならない費用を目安に加入しましょう

高額療養費制度の対象にならない費用については民間の医療保険で備えましょう。

なお、医療保険の加入にあたっては、「入院給付金日額をいくらにするか?」ということがベースになります。

保険料を必要以上に支払わないためにも、これまで説明した高額療養費制度の対象にならない費用を目安にして、入院給付金日額の設定をすることが大切です。

実際の設定にあたっては、その人の年収や入院する病室の希望など個人によって内容が異なってきますので、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談するとよいでしょう。

がん治療などの「先進医療」には医療保険の特約で備える

現在は2人に1人が、がんにかかる時代といわれています。

がんの治療で用いられる陽子線治療などの「先進医療」にかかる費用は、高額になるものの、高額療養費制度の対象外のため、全額自己負担しなければなりません。

先進医療にかかる費用については、医療保険の特約により、安い保険料で備えることができますので、加入をおすすめしまう。

まとめ

以上、医療保険に加入するときの注意点について見てきました。

多くの人が、すでになんらかの医療保険に加入されています。

民間の医療保険で備えたいのは、高額療養費制度の対象にならない費用です。

具体的には、「医療費の自己負担部分(70歳未満の人であれば原則3割)」「差額ベッド代」「入院中の食事代」「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費、見舞いに来る家族の交通費など」「先進医療にかかる費用」などです。

どのくらいの金額を想定しておけばよいのかを計算し、1日あたりに必要な入院給付金日額を設定します。

現在加入している医療保険が必要以上の保障を付けていて、保険料を払い過ぎていないか、ぜひ確認してみてください。

2023.11.2