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相続

【相続対策事例22】賃貸アパートを所有しているケース

〈事 例〉

Aさん(75歳)は賃貸アパートを所有しており、相続財産の大部分はこの賃貸アパートで、その他には銀行の預金がありました。

Aさんの妻は5年前に亡くなっており、相続人はひとり息子の長男のみでした。

Aさんは「アパートを残せば家賃収入が入るので、子どものためになる」と考えていました。

賃貸アパートは相続対策としてAさんが10年ほど前に購入したもので、長男はこの賃貸アパートの存在を知りませんでした。

がんの闘病生活をしていたAさんが亡くなりました。

相続発生後、長男は父親の相続財産である賃貸アパートを調べてみると、建物は老朽化しており、大規模修繕も必要な状態でした。

これでは借り手がつかず、家賃収入が期待できませんでした。

とはいえ父親が遺してくれた財産を簡単に処分することはできません。

相続はしたものの、この賃貸アパートを今後はどのように管理していけばよいのか悩んでしまいました。

〈対 策〉

✅Aさんの相続が発生する前に、親子で次のようなことを確認しておく

 ・賃貸アパートの現在価値はどのくらいなのか?

 ・借入金残高はどのくらいあるのか?

 ・将来的に見込める家賃収入は?

 ・これから賃貸アパートの修繕費はどのくらいかかるのか?

 ・今後の空室率はどのくらいになるのか?

 ・今後の収支計画は?

 ・賃貸アパートを売却した場合の価格は?

 そのうえで、「本当にこの賃貸アパートを子どもに残すことが適切なのか」を検討する

〈ポイント解説〉

不動産は「財産」であると同時に、「維持・管理する資産」でもあります。

節税対策として、借金をして不動産を購入することはよくあるケースです。

相続対策は税金の問題だけではありません。

相続対策と相続税対策は別物です。

そのため両方を考えていかなければなりません。

このケースでは相続人がひとりでしたが、もし相続人が2人以上いれば、どのように遺産を分けるのかを考えなければなりません。

相続財産の承継には相続人それぞれの想いがあります。

そしてこの事例のように相続財産の大部分が不動産であると遺産分割は容易ではありません。

もめない相続のためには、生命保険金を使って代償分割を行うなど対策を講じる必要があります。

不動産に関する問題は相続においては必ず発生します。

この不動産は誰が引く継ぐのがいいのか、相続は税金のことだけではなく、分割方法や収益性、管理負担まで考えておかなければならないのです。

2026.9.25.

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相続

【相続対策事例21】兄弟で共有名義にしたことで、売却できなくなった

〈事 例〉

父親(80歳)の遺産である自宅と別荘の土地と建物を、長男と次男が2分の1ずつ共有で相続しました。

土地の名義を長男が1/2、次男が1/2、同様に建物の名義も長男が1/2、次男が1/2にしたということです。

当初は「兄弟だから特に問題はない」と考えていましたが、数年後、長男が別荘を売却したいと考えるようになりました。

長男は、まだしばらくかかる子どもの教育資金と自身の老後生活資金を確保したいという想いがありました。

ところが、次男は売却に反対しました。

別荘の土地、建物とも所有権の1/2は次男にあります。

長男はサラリーマンですが、次男は会社経営をしており、会社の業績も順調で、長男ほど資金繰りに困っていませんでした。

兄弟で話し合いを行いましたが合意が得られず、別荘の土地も建物も処分できなくなってしまいました。

〈対 策〉

✅父親の生前に、自宅と別荘を相続により引き継いだ後の利用方法について、長男および次男それぞれの希望を確認し、共有名義を避ける方向で遺産分割方法を検討する

例えば、長男が自宅を相続し、次男は別荘と預貯金とその他の資産を相続し、不足する分については、長男から生命保険金を活用した代償金の交付を受ける など

✅家族間で話し合った遺産分割方法を遺言書に書いておく

〈ポイント解説〉

不動産の共有名義は、相続時には公平に見えても、将来の売却・管理・修繕などで問題になる可能性がとても高いです。

そのため不動産の共有名義は、極力さけなければなりません。

今はどんなに仲の良い兄弟であっても、将来のことはわかりません。

不動産を売却できるのであれば売却資金を1/2ずつ分けることができますが、そう簡単にはいきません。

相続において不動産はいつも問題児です。

そのため、不動産は誰が引き継ぐのかをあらかじめ決めておくことが円満な相続には必要となります。

不動産以外の預貯金や他の財産を相続させることに併せて、生命保険金を活用した代償分割を行い、兄弟でもめない相続のかたちについて、家族間でしっかりと話し合っておくことが大切です。

なお、生命保険金は受取人固有の財産です。

生命保険金の受取人を誰にするかについては注意が必要です。

そして、家族間で合意形成した内容について遺言書にのこすことで、多くの場合トラブルを防ぐことができます。

2026.9.18.

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相続相談の現場から

遺言書は書くべき

遺言書は全員に書いてほしい

遺言書があれば遺言書にしたがって遺産分割が行われます。

そのため争い事を防ぐのに大きな効果があります。

一方で、遺言書がなかったら、相続人全員で遺産の分割方法を決めなければなりません。

決まらなければ家庭裁判所での調停へと進みます。

今はどんなに仲が良い兄弟姉妹でも将来のことはわかりません。

自分の遺産相続で家族がもめないようにするためには遺言書が必要です。

外国では遺言書を書くことは一般的ですが、日本では遺言書を書く人はまだまだ少ないです。

遺言書は全員に書いてほしいです。

「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」が代表的

遺言書の代表的なものとして「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2つがあります。

公正証書遺言は、公証役場で法律にくわしい公証人に作成してもらいます。

自筆証書遺言は、いつでも自分ひとりで作成することができます。

それぞれに長所・短所があるので、どちらで作成する方がよいのか見極める必要があります。

国も遺言書を作成しやすくするために改定を行っています。

公正証書遺言では、公正証書のデジタル化により、公証人との面談は必要ですが、条件が整えば公証役場まで行かなくてもオンラインで完結できるようになりました。

自筆証書遺言では、2020年7月から法務局による「自筆証書遺言保管制度」が実施されています。

この制度を利用すれば、それまで自筆証書遺言書の懸念事項となっていた遺言書の偽造や紛失を防止することができ、家庭裁判所での検認を不要とすることもできます。

遺言の内容が複雑でトラブルを引き起こす心配があるのであれば、時間や手間、費用もかかりますが、公正証書遺言で作成するべきでしょう。

特に遺言書を書いた方がいい人

次のような人にはぜひ遺言書を書いてほしいです。

①財産が少ない人

兄弟姉妹間の感情のずれ、意地の張り合い、不満、恨み、妬みなどが争いごとのきっかけになります。

相続争いは、遺産総額が5,000万円以下のケースが全体の約80%を占めます。

財産が多い人は、もめることがわかっているので、あらかじめ対策をしています。

「大した財産はないから、わが家は大丈夫」と思っている人こそ、何の対策もしていないためもめてしまいます。

②家族仲が良い人

今は兄弟姉妹の仲が良くても、それぞれに家庭ができると血縁関係がうすくなっていき、気まずくなっていくことがあります。

源 頼朝と源 義経のように将来のことはわかりません。

③子どもがいない人

子どもがいない夫婦の場合、夫の相続人は妻と兄弟姉妹であることが多いようです。

兄弟姉妹との仲があまりよくなく、自分の財産はすべて妻にあげたいと思うことがあります。

そのような場合には、兄弟姉妹には遺留分(法律上、最低限相続できる相続分)がないため、遺言書で「すべての財産を妻に相続させる」と書けば想いを実現することができます。

④心配事がある人

障がいをお持ちの子がいるなど将来の行く末に心配な家族がいる場合、その人の生活を守るために遺言書は非常に効果的です。

⑤海外に子がいる人

最近は生活の拠点を海外に置く人が増えてきました。

例えば、遺産分割協議書を作成する場合、相続人が海外に住んでいると、書類の取り寄せなどに時間や手間がかかることが考えられます。

⑥相続人がいない人

相続人がいない人の財産は、何もしなければ国庫に帰属します。

財産は誰にでも引き継ぐことができます。

お世話になった人や寄付したい団体などがあれば、遺言書を書いて自分の想いを成就させることができます。

遺言書を書く際には「遺留分」に注意

遺留分とは、一定の相続人が最低限相続できる相続分のことで、民法に定められています。

遺言書があれば、そこに書かれた分け方が優先しますので、一人に全財産を相続させるなどの内容では他の相続人は納得しません。

そのため遺留分の権利が保証されているのです。

ただ、遺留分の権利は、配偶者、子、父母にはありますが、兄弟姉妹にはありません。

そして遺留分の割合は、原則として法定相続分の半分ですが、相続人が父母のみの場合には法定相続分の1/3です。

もし遺言書で遺留分が侵害されているのであれば、奪われた相続分を取り戻すことができます。

このように遺留分は相続人にとって最低限の保障であり、強力な権利です。

ただし、遺留分の行使(遺留分侵害額請求)には期間制限があります。

次の期間を経過すると権利が時効となるので注意が必要です。

✅ 相続開始および遺留分侵害を知った日から1年経過

✅ 相続開始の時から10年経過

遺言書を書く際には遺留分には十分に注意することが大切です。

2026.9.11.

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相続

【相続対策事例20】空き家になった実家を相続することになった

〈事 例〉

実家で一人暮らしの母親(84歳)が亡くなり、子ども2人(長男・次男)が実家を相続することになりました。

長男は実家の近くに一軒家を建てて家族と暮らしており、次男は東京のマンションで家族と暮らしていました。

そのため誰も実家を引き継いで住む予定がなく、そのままにしていると空き家にもかかわらず固定資産税や管理費、修繕費などの負担が発生することになってしまいます。

とはいえ実家にはたくさんの思い出があり、長男、次男とも実家を売却することには抵抗がありました。

ただ、いつまでもそのままにしておくわけにはいきません。

空き家になった実家の引継ぎ方について、兄弟で頭を悩ませていました。

〈対 策〉

✅ 母親の相続発生前から、実家を「誰が引き継ぐのか」「売却するのか」「賃貸するのか」を家族で話し合う

✅ 最終的には売却することを前提として、家財整理や不動産の査定などを早めに進めておく

〈ポイント解説〉

「思い出があるから」という気持ちはわかります。

しかし、そのような理由だけで実家を残してしまうと、引き継いだ相続人が大きな負担を背負うことになります。

・誰も住んでいないのに管理費だけがかかってしまう

・管理ができていないと近隣から苦情が来る

・固定資産税も払い続けなければならない

「空き家問題」は今後ますます増え、深刻化していくことが予想されます。

空き家になってしまった実家をどうするかについて、親が元気なうちに家族全員が集まって話し合っておくことが円満な相続のために必要です。

空き家問題を解決するための最適な方法は「売却する」ことではないでしょうか。

そのためには親が生きているうちから家財整理や不動産の査定などを早めに進めておきましょう。

国土交通省では、空き家やその敷地を売る・貸す際に活用できる制度をとりまとめて、ホームページで紹介していますので参考にしてください。

【空き家・敷地を売る】

●空き家の発生を抑制するための特例措置により、2027年12月31日までに一定の条件の下で売却すれば、所得税・住民税において譲渡所得から3,000万円まで控除されます。

【空き家を売る】

●インスペクション(専門家による空き家の建物現況調査)をしておく

【空き家を売る・貸す】

●空き家バンクを活用する

【空き家を貸す】

●住宅セーフティネット制度を活用する

●非営利法人へ貸す

●サブリース事業者へ貸す

【空き家になる前に売る】

●住み続けながら将来の処分を考える(リバースモーゲージ)


出典:国土交通省 アキヤリバース

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/articles/2024032003.html

2026.9.4.