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相続FPのひとり言

「うちは財産が少ないから大丈夫」の落とし穴

一般家庭の相続財産は「自宅」と「少しの金融資産」

「相続対策は一部のお金持ちがやるもので、わが家には不要」と思っている人が結構いらっしゃいます。

確かに一般的な家庭における相続財産はというと、「自宅」と「少しの金融資産」というケースが多いです。

相続税には、配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地等の特例などがあり、これらの特例を適用すれば、多くの場合、相続税はかからない、もしくはかかっても少額といえるでしょう。

そのため「相続対策は必要ない」と考える人が多いのだと思います。

相続対策と相続税対策は別物

相続対策と聞いて、相続税の節税対策を思い浮かべる人が多くいらっしゃいます。

ですが、相続対策と相続税対策は別物なのです。

より正確にいえば、相続税対策は相続対策の一部です。

そのため「相続税の節税対策を行えば、相続対策は完了」ということにはならないのです。

では相続対策には相続税対策の他に何があるのでしょうか?

答えとしては、相続財産の円満な分割に備えるための「遺産分割対策」と、相続が発生した後すぐに使えるお金に備えるための「流動性資金対策」があります。

相続対策には3つの対策ある、ということになりますが、相続専門FPの立場からすると、その中で最も重要と考えるのは「遺産分割対策」です。

遺産分割事件の約80%は遺産価額5,000万円以下という現実

最高裁判所事務総局がまとめた「令和7年 司法統計年報」によれば、遺産価額別にみた遺産分割事件の件数は、総件数の約80%が遺産価額5,000万円以下でした。

約5件に4件は遺産価額5,000万円以下ということになります。

さらには総件数の約35%が遺産価額1,000万円以下であり、約3件に1件は遺産価額1,000万円以下でということになります。

財産が多いからもめるのではなく、財産が少ないからもめるのです。

財産の多い資産家は、もともともめることがわかっているので、節税対策なり遺産分割対策を事前に行っているということなのでしょう。

「うちは財産が少ないから大丈夫」という認識は危険だということですね。

相続の問題は税金よりも遺産分割の方が重要

繰り返しになりますが、一般的な家庭においては、特例を適用すれば「相続税はかからない、かかっても少額」です。

相続対策というと節税のことを思い浮かべる人が多いのですが、相続の問題は税金よりも遺産分割の方が重要ということがわかります。

民法には、一定の相続人が最低限相続できる相続分として「遺留分」が定められています。

相続財産が「自宅」と「少しの金融資産」という場合、円満な遺産分割のためとはいえ、自宅を売却するというのは簡単にできることではありません。

相続発生後や認知症になってしまってからでは対策を打つことができなくなってしまいます。

元気なうちに、遺言書を書いたり生命保険を活用するなどして、相続対策を行っておくことが円満相続の秘訣です。

2026.7.2.