遺言書は全員に書いてほしい
遺言書があれば遺言書にしたがって遺産分割が行われます。
そのため争い事を防ぐのに大きな効果があります。
一方で、遺言書がなかったら、相続人全員で遺産の分割方法を決めなければなりません。
決まらなければ家庭裁判所での調停へと進みます。
今はどんなに仲が良い兄弟姉妹でも将来のことはわかりません。
自分の遺産相続で家族がもめないようにするためには遺言書が必要です。
外国では遺言書を書くことは一般的ですが、日本では遺言書を書く人はまだまだ少ないです。
遺言書は全員に書いてほしいです。
「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」が代表的
遺言書の代表的なものとして「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2つがあります。
公正証書遺言は、公証役場で法律にくわしい公証人に作成してもらいます。
自筆証書遺言は、いつでも自分ひとりで作成することができます。
それぞれに長所・短所があるので、どちらで作成する方がよいのか見極める必要があります。
国も遺言書を作成しやすくするために改定を行っています。
公正証書遺言では、公正証書のデジタル化により、公証人との面談は必要ですが、条件が整えば公証役場まで行かなくてもオンラインで完結できるようになりました。
自筆証書遺言では、2020年7月から法務局による「自筆証書遺言保管制度」が実施されています。
この制度を利用すれば、それまで自筆証書遺言書の懸念事項となっていた遺言書の偽造や紛失を防止することができ、家庭裁判所での検認を不要とすることもできます。
遺言の内容が複雑でトラブルを引き起こす心配があるのであれば、時間や手間、費用もかかりますが、公正証書遺言で作成するべきでしょう。
特に遺言書を書いた方がいい人
次のような人にはぜひ遺言書を書いてほしいです。
①財産が少ない人
兄弟姉妹間の感情のずれ、意地の張り合い、不満、恨み、妬みなどが争いごとのきっかけになります。
相続争いは、遺産総額が5,000万円以下のケースが全体の約80%を占めます。
財産が多い人は、もめることがわかっているので、あらかじめ対策をしています。
「大した財産はないから、わが家は大丈夫」と思っている人こそ、何の対策もしていないためもめてしまいます。
②家族仲が良い人
今は兄弟姉妹の仲が良くても、それぞれに家庭ができると血縁関係がうすくなっていき、気まずくなっていくことがあります。
源 頼朝と源 義経のように将来のことはわかりません。
③子どもがいない人
子どもがいない夫婦の場合、夫の相続人は妻と兄弟姉妹であることが多いようです。
兄弟姉妹との仲があまりよくなく、自分の財産はすべて妻にあげたいと思うことがあります。
そのような場合には、兄弟姉妹には遺留分(法律上、最低限相続できる相続分)がないため、遺言書で「すべての財産を妻に相続させる」と書けば想いを実現することができます。
④心配事がある人
障がいをお持ちの子がいるなど将来の行く末に心配な家族がいる場合、その人の生活を守るために遺言書は非常に効果的です。
⑤海外に子がいる人
最近は生活の拠点を海外に置く人が増えてきました。
例えば、遺産分割協議書を作成する場合、相続人が海外に住んでいると、書類の取り寄せなどに時間や手間がかかることが考えられます。
⑥相続人がいない人
相続人がいない人の財産は、何もしなければ国庫に帰属します。
財産は誰にでも引き継ぐことができます。
お世話になった人や寄付したい団体などがあれば、遺言書を書いて自分の想いを成就させることができます。
遺言書を書く際には「遺留分」に注意
遺留分とは、一定の相続人が最低限相続できる相続分のことで、民法に定められています。
遺言書があれば、そこに書かれた分け方が優先しますので、一人に全財産を相続させるなどの内容では他の相続人は納得しません。
そのため遺留分の権利が保証されているのです。
ただ、遺留分の権利は、配偶者、子、父母にはありますが、兄弟姉妹にはありません。
そして遺留分の割合は、原則として法定相続分の半分ですが、相続人が父母のみの場合には法定相続分の1/3です。
もし遺言書で遺留分が侵害されているのであれば、奪われた相続分を取り戻すことができます。
このように遺留分は相続人にとって最低限の保障であり、強力な権利です。
ただし、遺留分の行使(遺留分侵害額請求)には期間制限があります。
次の期間を経過すると権利が時効となるので注意が必要です。
✅ 相続開始および遺留分侵害を知った日から1年経過
✅ 相続開始の時から10年経過
遺言書を書く際には遺留分には十分に注意することが大切です。
2026.9.11.