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【相続対策事例14】 認知症で銀行口座が凍結された

80歳の父親が認知症を発症しました。

父親の介護施設への入居費用として、父親名義の銀行口座から預金を引き出そうとしたところ、銀行は父親の判断能力の低下を把握したため、銀行口座が凍結されてしまいました。

銀行口座の凍結は、認知症の人の資産が悪用されないように行われます。

そして凍結されると、口座名義人が亡くなり、遺産分割協議により継承する人が明確になるまで、預金を引き出すことはできなくなります。

父親名義の預金は2,500万円ありました。

父親の介護施設への入居費用にあてることを考えていましたが、銀行口座が凍結されたため、家族は父親名義の預金を自由に使うことができなくなってしまいました。

〈問題点〉

父親名義の銀行口座が凍結されてしまったことで、次のような問題が発生しました。

・父親の介護費用を誰かが負担しなければならない

・生活費の管理が難しい

・今後は成年後見制度を利用しなければならない

〈対策〉

相続対策は生前に行うものですが、より正確には認知症になる前に行っておく必要があるといえます。

この事例の場合、父親が認知症になる前に、例えば次のような準備を行っていたら、家族はスムーズに父親の財産管理を続けられたと考えられます。

・家族信託

・任意後見契約

・財産管理委任契約

2026.6.26.

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相続相談の現場から

なぜ相続対策をしないのですか?

相続対策を考えていないシニアが多い

「多くの資産を持っている」とか「相続人がたくさんいるから」という人は、もともと相続に危機感を感じているので、自発的に生前に対策を行っています。

では資産額が1億円以下の場合はどうかというと、相続の準備に関心を持っている人がとれも少ないのが現状です。

「相続対策はお金持ちがすること」と考えている人が多いからでしょうか?

わが家は大丈夫と思っている人が多い

「わが家には相続税がかかるほどの財産はない」とか「わが家はみんな仲がいいから相続でもめることはない」など、わが家は大丈夫と思っている人が結構いらっしゃいます。

確かに資産家でなければ税金のこともそれほど気にならないし、財産もそんなにないので相続でもめることは考えにくいのかもしれません。

本当に大丈夫?

でも本当に大丈夫ですか?

2024(令和6)年に遺産分割をめぐる家庭裁判所における調停件数は約17,000件でした。

このうち約80%が遺産総額5,000万円以下でした。

さらには遺産総額1,000万円以下の件数は約35%でした。

遺産分割における調停件数の約1/3は遺産総額1,000万円以下。

この実態を見ると、財産が多いよりも少ない方がもめるケースが多いことがわかります。

家族ができると血縁関係がうすくなり、いずれ兄弟姉妹間が気まずくなるというのはよくあることです。

源 頼朝と源 義経のように将来は微妙です。

相続の準備は“先延ばし”にすると選択肢がどんどん狭まっていきます

遺言書があれば、これに則って相続が行われるため、基本的にはもめごとは起こりません。

ただし、認知症になってしまったら遺言書を書くことはできなくなります。

遺言書がなければ、すべての相続人で財産の分け方を決めなければなりません。

一度紛争になると家族関係の修復は困難です。

相続の準備は“先延ばし”にすると選択肢がどんどん狭まっていきます。

元気なうちにできることはやっておく。

将来、相続で家族がもめないために必要なことではないでしょうか。

2026.6.19.