〈状 況〉
77歳になるLさんは、そろそろ真剣に自分相続のことを考えなければならないと思っていました。
Lさんの財産は、3,000万円の自宅と2,000万円の預金および300万円の株式でした。
なお、Lさんの妻はすでに亡くなっており、相続人は長男と長女の2人でした。
長男はLさんのすぐ近くに家族と住んでおり、こまめにLさんのお世話をしていました。
一方、長女は結婚して東京で暮らしており、年に一度か二度ほどLさんに会いに来る程度でした。
そのためLさんは「長男には自宅を、長女には預金と株式を残したい」と考えていました。
Lさんは自分の財産の分け方について、遺言書の付言事項にその理由も書いて、子どもたちがもめないようにしておくつもりでした。
ところが、Lさんは認知症を発症しており、認知症の進行状況から、意思能力がないと判断されたため、遺言書を作成することができませんでした。
数年後にLさんが亡くなり、長男と長女で遺産を引き継ぐことになりました。
遺言書がなかったため、相続人である長男と長女で遺産分割協議を行いましたが、なかなか決着がつきませんでした。
法定相続分どおりであれば1/2ずつとなりますが、自宅、預金、株式を納得のいくように分けることは難しく、最終的には家庭裁判所による調停となってしまいました。
〈問題点〉
● 希望どおりに財産を残せない
● 相続争いにつながる
Lさんは認知症を患っており、認知症の進行状況から意思能力がないと判断されたため、遺言書を作成することができませんでした。
そのため自分が望むような財産の承継ができませんでした。
遺言書があればこれに沿った遺産分割が行われますが、遺言書はないため、相続人である長男と長女で遺産分割協議を行わなければなりません。
預金と株式は分割することができますが、自宅を安易に売却することはできないため、分割は困難です。
結果、双方が納得のいく遺産分割での決着をすることができず、相続争いにつながってしまいました。
〈対 策〉
✅ 遺言書の作成
✅ 遺言執行者の指定
認知症を発症し、意思能力がないと判断されてしまうと、やりたいことができなくなります。
必要性を感じたら先延ばしせずに、元気なうちに完了させておくことが大切です。
また、遺言書の内容をスムーズに実行するために、遺言執行者を選任して、遺言書に書いておくことも大切です。
遺言執行者は弁護士や司法書士などの専門家でなくても、自分が望む人を選任することができます。
2026.7.23.