〈事 例〉
Aさん(75歳)は賃貸アパートを所有しており、相続財産の大部分はこの賃貸アパートで、その他には銀行の預金がありました。
Aさんの妻は5年前に亡くなっており、相続人はひとり息子の長男のみでした。
Aさんは「アパートを残せば家賃収入が入るので、子どものためになる」と考えていました。
賃貸アパートは相続対策としてAさんが10年ほど前に購入したもので、長男はこの賃貸アパートの存在を知りませんでした。
がんの闘病生活をしていたAさんが亡くなりました。
相続発生後、長男は父親の相続財産である賃貸アパートを調べてみると、建物は老朽化しており、大規模修繕も必要な状態でした。
これでは借り手がつかず、家賃収入が期待できませんでした。
とはいえ父親が遺してくれた財産を簡単に処分することはできません。
相続はしたものの、この賃貸アパートを今後はどのように管理していけばよいのか悩んでしまいました。
〈対 策〉
✅Aさんの相続が発生する前に、親子で次のようなことを確認しておく
・賃貸アパートの現在価値はどのくらいなのか?
・借入金残高はどのくらいあるのか?
・将来的に見込める家賃収入は?
・これから賃貸アパートの修繕費はどのくらいかかるのか?
・今後の空室率はどのくらいになるのか?
・今後の収支計画は?
・賃貸アパートを売却した場合の価格は?
そのうえで、「本当にこの賃貸アパートを子どもに残すことが適切なのか」を検討する
〈ポイント解説〉
不動産は「財産」であると同時に、「維持・管理する資産」でもあります。
節税対策として、借金をして不動産を購入することはよくあるケースです。
相続対策は税金の問題だけではありません。
相続対策と相続税対策は別物です。
そのため両方を考えていかなければなりません。
このケースでは相続人がひとりでしたが、もし相続人が2人以上いれば、どのように遺産を分けるのかを考えなければなりません。
相続財産の承継には相続人それぞれの想いがあります。
そしてこの事例のように相続財産の大部分が不動産であると遺産分割は容易ではありません。
もめない相続のためには、生命保険金を使って代償分割を行うなど対策を講じる必要があります。
不動産に関する問題は相続においては必ず発生します。
この不動産は誰が引く継ぐのがいいのか、相続は税金のことだけではなく、分割方法や収益性、管理負担まで考えておかなければならないのです。
2026.9.25.