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生命保険の見直しの着目点

生命保険の見直しを考えるタイミングは、「結婚」「子どもの誕生」「子どもの独立」「定年退職」などのライフイベント発生時と言われています。

人によっていろいろな考え方がありますが、基本的な生命保険の見直しの着目点について、ライフイベントにあわせて見てみましょう。

社会人として独立

社会人として独立したら、生命保険には自分自身で保険料を支払って加入するようにしましょう。

若いうちは保険料が安いので、保険料がずっと変わらないまま、一生涯の保障と貯蓄に備えられる終身保険がおすすめです。

終身保険は、最終的には保険金を受け取ることができ、解約返戻金も保険期間の経過とともに着実に増えていきます。

また、若いうちは病気よりもケガのリスクが高いのですが、公的医療保険の高額療養費制度があるので、医療保険に加入するとしても最低限のシンプルなもので良いと思います。

中年になって生活習慣病のリスクが高まってきたときに見直しをしましょう。

これまで親が保険料を支払ってくれていた生命保険の名義を変更するという方法もありますが、解約返戻金があると贈与税がかかってくる場合があるので注意が必要です。

結婚して子どもが誕生

結婚を機に、必要な保障を検討するようにしましょう。

特に子どもが誕生すると、自分にもしものことがあっても、子どもは大学まで卒業させてやりたいと、高額な死亡保障への加入を検討することが多いです。

無理をしての保険料負担は避けるべきですが、不足する保障額については、定期保険や収入保障保険での対応を考えましょう。

収入保障保険であれば、保障額が右肩下がりの必要保障額と一致しているため、定期保険のように必要保障額に合わせた保険金額の減額が不要であり合理的です。

マイホームの購入

住宅ローンを組む際には、無理のない返済計画を立てるために、家計の無駄をチェックする必要があります。

自分にもしものことがあった場合、以後の住宅ローンの返済は免除されるため、団体信用生命保険にはぜひ加入しましょう。

必要保障額を大きく減らすことができます。

子どもの就職・独立

子どもの教育資金がひと段落したら、夫婦の老後生活資金のことを考える必要があります。

子どもが独立すれば必要保障額は減るので、超過する保障を解約し、浮いた保険料分のお金を他の金融商品で運用して、老後生活資金を蓄積していきましょう。

特に妻の場合は、夫と死別後も10年以上独りで生きていかなければならないケースが多いので、相続のことも考慮して、妻名義の金融資産をつくっておくことも大切です。

定年退職後

「自分の葬式代くらいは、自分で準備する」という人が多く、死後の整理資金として、終身保険で200~300万円を備えるということが考えられます。

これには退職金の一部を利用して、一時払終身保険で備えるという方法もあります。

短期間で中途解約をすると元本割れとなるリスクがありますが、以後の利回りは預貯金を上回ることが多いです。

最近は、家族やごく親しい人たちだけで行う「家族葬」や「直葬」などが主流になりつつあり、備える金額はもっと少なくてもよいかもしれません。

終身保険などに特約で医療保障を付けている場合、その医療保障は80歳で終了してしまうケースが多いです。

寿命が延びているので、80歳を超えてからが本当に医療保障を必要とする時期になります。

公的医療保険の高額療養費制度や保有金融資産を考慮する必要がありますが、医療保障を追加する必要がある場合には、保険料を終身払にすれば、終身型の医療保険でも保険料の負担を抑えることができます。

検討してみましょう。

まとめ

ライフイベントに合わせた、基本的な生命保険の見直しの着目点について見てきました。

もちろん、これ以外の見直し時期や見直しの方法もあります。

人それぞれです。

ですが、すすめられるままに生命保険に加入し、ずっと見直しをしないままにしていることが多いので、定期的にチェックすることが大切です。

2024.6.10

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生命保険

医療保険に加入するときに注意したいこと

病気やケガで入院や手術をすると、医療費として多額な費用がかかることがあります。

もし多額な医療費がかかったとしても、公的医療保険の「高額療養費制度」により、負担を軽減することができます。

しかし、高額療養費制度の対象にならない費用もあります。

これをカバーするのが民間の医療保険の役割です。

では、医療保険に加入するときには、どのようなことに注意点しなければならないのでしょうか?

「高額療養費制度」により医療費の自己負担限度額を超えた金額が戻ります

まず公的医療保険の「高額療養費制度」についてです。

高額療養費制度とは、月の初めから終わりまでの1ヵ月間(4月であれば4月1日~4月30日)にかかった医療費に対して支払う自己負担額が、あらかじめ定められている自己負担限度額を超えた場合に、その超えた部分の金額が戻ってくる、というものです。

注意していただきたいのが、金額は1日から月末で計算するということです。

同じ月であればわかりやすいのですが、例えば4月15日~5月14日まで入院した場合には、高額療養費の計算は、4月15日~4月30日までと5月1日~5月14日までの2つの月に分かれます。

支払った医療費の自己負担額が、総額で自己負担限度額を超えていても、月単位で超えていなければ戻ってきません。

どのくらい戻ってくるのか

ひと月あたりの自己負担限度額は、70歳未満で年収が約370万円~770万円の人の場合、次のように計算します。

ひと月あたりの自己負担限度額 = 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

例えば、かかった総医療費が100万円の場合であれば、この式にあてはめて計算すると、ひと月あたりの自己負担限度額は87,430円となります。

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

70歳未満の人であれば、医療機関の窓口での自己負担額は、原則として、かかった総医療費の3割です。

自己負担額300,000円(1,000,000円×30%=300,000円)のうち、212,570円(300,000円-87,430円=212,570円)が戻ってくることになります。

このように高額療養費制度があるおかげで経済的負担がかなり抑えられます。

「高額療養費制度」の対象にならない費用があります

高額療養費制度の対象になるのは、治療関連費用(入院基本料、手術料、検査料、投薬料など)のうち健康保険診療の範囲内になるものだけです。

「差額ベッド代〈注1〉」や「入院中の食事代」は高額療養費制度の対象外です。

「差額ベッド代」は、1人部屋では8,322円、4人部屋では2,705円〈注2〉というデータがありますが、全額自己負担しなければなりません。

また「入院中の食事代」は、一般的に1食490円(2024年6月現在)ですが、これも全額自己負担しなければなりません。

さらに、その他の諸費用として「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費」、「見舞いに来る家族の交通費」などがかかってきます。

これらの費用についても、全額自己負担しなければなりません。

最近は入院期間が短期化する傾向にあります。

しかし、がん、脳血管疾患、心疾患などの重い病気を患えば、どうしても入院期間は長期化することが考えられます。

もしも入院期間が長期化してしまった場合には、このような自己負担しなければならない費用がかさみ、多額の経済的負担がのしかかってきます。

〈注1〉差額ベッド代

 6人部屋などの一般病室に対して、1~4人の「特別療養環境室」に入室したときに  
 かかる費用。部屋の人数により異なり、1人部屋が最も高額。

〈注2〉出典

 厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」令和4年7
 月1日現在 

医療保険は高額療養費制度の対象にならない費用を目安に加入しましょう

高額療養費制度の対象にならない費用については民間の医療保険で備えましょう。

なお、医療保険の加入にあたっては、「入院給付金日額をいくらにするか?」ということがベースになります。

保険料を必要以上に支払わないためにも、これまで説明した高額療養費制度の対象にならない費用を目安にして、入院給付金日額の設定をすることが大切です。

実際の設定にあたっては、その人の年収や入院する病室の希望など個人によって内容が異なってきますので、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談するとよいでしょう。

がん治療などの「先進医療」には医療保険の特約で備える

現在は2人に1人が、がんにかかる時代といわれています。

がんの治療で用いられる陽子線治療などの「先進医療」にかかる費用は、高額になるものの、高額療養費制度の対象外のため、全額自己負担しなければなりません。

先進医療にかかる費用については、医療保険の特約により、安い保険料で備えることができますので、加入をおすすめしまう。

まとめ

以上、医療保険に加入するときの注意点について見てきました。

多くの人が、すでになんらかの医療保険に加入されています。

民間の医療保険で備えたいのは、高額療養費制度の対象にならない費用です。

具体的には、「医療費の自己負担部分(70歳未満の人であれば原則3割)」「差額ベッド代」「入院中の食事代」「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費、見舞いに来る家族の交通費など」「先進医療にかかる費用」などです。

どのくらいの金額を想定しておけばよいのかを計算し、1日あたりに必要な入院給付金日額を設定します。

現在加入している医療保険が必要以上の保障を付けていて、保険料を払い過ぎていないか、ぜひ確認してみてください。

2024.6.9

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生命保険

妻が受け取れる遺族厚生年金は2,400万円! シニアには生命保険は不要?

会社員であった夫が亡くなると国の公的年金制度から遺族年金を受け取ることができます。

遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2つがあります。

遺族年金は残された遺族の生活費として支給されます。

一方で、遺族の生活費を保障するものに生命保険があります。

では、遺族年金がもらえるのなら生命保険はいらないのでしょうか?

1.遺族年金とは

遺族年金とは、一家の働き手などが亡くなったときに、国の公的年金制度から遺族に給付される年金です。

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがあります。

20歳以上60歳未満のすべての国民は国民年金に加入します。

企業等に勤務する人や公務員は、国民年金の上乗せとして厚生年金に加入します。

「遺族基礎年金」は国民年金からの給付の1つであり、「遺族厚生年金」は厚生年金からの給付の1つです。

 国民年金厚生年金
老齢給付老齢基礎年金 付加年金老齢厚生年金
障害給付障害基礎年金障害厚生年金 障害手当金
遺族給付遺族基礎年金 寡婦年金  死亡一時金遺族厚生年金

それでは「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」についてくわしく見ていきましょう。

なお、遺族年金には細かい規定が定められており、そこまで説明すると複雑になるので、ここでは原則部分を説明します。

(1)遺族基礎年金とは

遺族基礎年金は、受給要件を満たしている場合、死亡した人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。

遺族基礎年金は子どもがいないと受け取ることができないのです。

しかもここでいう子とは、18歳になった年度の3月31日までになります。

このように遺族基礎年金の受け取りは限定的なのです。

なお、子どもが複数いる場合には人数に応じた加算があります。

(2)遺族厚生年金とは

一方の遺族厚生年金は、受給要件を満たしている厚生年金の加入者や受給権者、受給者が死亡した場合に、その人によって生計を維持されていた妻、子や孫などが受け取ることができます。

遺族厚生年金は遺族基礎年金とは異なり、子どもがいない配偶者も受け取ることができます。

遺族厚生年金の受給年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。

計算式で示すとこのようになります。

年金額=(①2003(平成15)年3月までの被保険者期間分+②2003(平成15)年4月以降の被保険者期間分)×4分の3

①の計算式=平均標準報酬月額×1,000分の7.125×被保険者期間の月数(2003(平成15)年3月まで)

②の計算式=平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数(2003(平成15)年4月以降)

おおまかに言うと、平均標準報酬月額とは、厚生年金の被保険者期間の平均月収で、ボーナスも加味したものが平均標準報酬額です。

平均標準報酬月額と平均標準報酬額については、別途正式な算出方法が定められています。

なお、所定の受給要件を満たせば、「中高齢寡婦加算」や「経過的寡婦加算」という規定によって、遺族厚生年金の受給年金額が増額されるケースもあります。

2.妻が受け取れる遺族厚生年金の金額

それでは妻が受け取れる遺族厚生年金はどれくらいなのでしょうか?

例として、夫が会社員で、同い年の妻が専業主婦として扶養されており、子どもは独立済みというケースで見てみましょう。

夫は会社員なので国民年金と厚生年金に加入しています。

夫の死亡により、国民年金からは遺族基礎年金、厚生年金からは遺族厚生年金の支給が考えられます。

しかし子どもはすでに独立済みなので、遺族基礎年金の支給はありません。

妻には遺族厚生年金のみの支給となります。

受給できる年金額は、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。

計算式で示すとこのようになります。

年金額=(①2003(平成15)年3月までの被保険者期間分+②2003(平成15)年4月以降の被保険者期間分)×4分の3

①の計算式=平均標準報酬月額×1,000分の7.125×被保険者期間の月数(2003(平成15)年3月まで)

②の計算式=平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数(2003(平成15)年4月以降)

ここではわかりやすくするために「②の計算式」のみを用いて、

平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数×4分の3

として計算してみました。

ここに示した数値はイメージをつかんでいただくためのあくまでも目安です。

実際の受給年金額を計算するには、年金事務所に確認してください。

平均標準報酬額厚生年金の被保険者期間
20年25年30年35年40年
300,000円295,974円369,967円443,961円517,954円591,948円
400,000円394,632円493,290円591,948円690,606円789,264円

3.遺族厚生年金がもらえるなら、シニアには生命保険は不要?

先ほどの例の場合で、平均標準報酬額が400,000円で、厚生年金に40年加入していた夫が60歳で亡くなったケースで見てみましょう。

あくまでも目安ですが、妻が受け取れる遺族厚生年金は年額で789,264円です。

妻が90歳まで生きるとすると60歳から90歳までの30年間、毎年約80万円の遺族厚生年金が受け取れます。

受取総額は80万円×30年間で2,400万円です。

妻は65歳になれば自分の年金として、国民年金から老齢基礎年金がもらえます。

2024(令和6)年度の老齢基礎年金の年額は満額で約80万円です。

妻は65歳から90歳までの25年間、毎年80万円の老齢基礎年金がもらえるとすると、受取総額は80万円×25年間で2,000万円となります。

夫の遺族厚生年金2,400万円と妻自身の老齢基礎年金2,000万円を合計すれば4,400万円です。

夫の残した金融資産、例えば退職金などが1,000万円あるとすると合計で5,400万円となります。

この5,400万円を60歳から90歳までの30年間(360ヵ月)の生活費にあてるとすると、

5,400万円÷360ヵ月で、毎月15万円となります。

つまりこのケースでは、毎月の生活費が15万円までであれば、生命保険に加入する必要はないということになります。

しかし、実際には夫の残した全財産や妻自身の貯蓄、妻の老後のライフプランによって、生活するために必要な金額は変動します。

シニア世代になって、生命保険にはいくら加入しておけばいいのかを考える際には、遺族厚生年金のことも必ず考慮する必要があります。

2024.6.8

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生命保険

私が認知症になったら、保険金の請求はどうすればいいの?

厚生労働省の調査では、2025年には65歳以上の人のうち、およそ5人に1人が認知症を患うという結果が出ています。

保険に加入していても、認知症を患い、肝心なときに保険金の請求ができないということも起こり得ます。

そのための対策について調べてみました。

●家族などが自分に代わって保険の手続きができる制度

保険金は保険会社に対して請求をしなければ受け取ることができません。

保険に加入していても、認知症などにより保険金の請求ができないということが考えられます。

そこで「家族などが自分に代わって保険の手続きをすることができないか」ということになるのですが、頼りになる制度が3つあります。

「指定代理請求制度」「家族情報登録制度」「保険契約者代理制度」です。

いずれの制度も、契約者や被保険者に判断能力があるうちに手続きをしなければなりません。

それぞれの制度について、家族などが代行できることを簡単にまとめると次のようになります。

 契約内容照会保険金請求解約
指定代理請求制度×
家族情報登録制度××
保険契約者代理制度

指定代理請求制度

保険金請求をする意思表示ができなかったり、病名や余命の告知を受けていないなどの特別な事情がある場合に、契約者が家族などのあらかじめ指定した代理人が、被保険者に代わって、契約内容照会や保険金請求ができる制度です。

契約者は被保険者から同意を得る必要があります。

家族情報登録制度

事前に同意を得て、家族の連絡先を登録しておく制度です。

契約者本人と連絡がとれない場合などに、生命保険会社が登録されている人に対して、契約者の連絡先などの確認を行う制度です。

これによって保険金請求もれを防止することができます。

なお、保険金受取人に代わって保険金請求をすることはできません。

保険契約者代理制度

契約者が意思表示できない場合などに、あらかじめ指定された家族などの代理人が、契約者に代わって、契約内容照会、住所変更、保険金請求、解約などの手続きをすることができる制度です。

●家族の保険契約の有無を確認できる「生命保険契約照会制度」

家族の判断能力が低下してしまった場合や死亡した場合に、その人が保険契約者または被保険者になっている生命保険契約の有無を確認できる制度です。

生命保険協会が運営しています。

1名につき3,000円の利用料がかかるほか、公的書類や医師の診断書などが必要になります。

この制度を利用することにより、生命保険協会に加盟している全生命保険会社において、生命保険契約の有無を確認することができます。

もし自分が認知症などにより意思表示ができなくなってしまっても、せっかく加入している保険が無駄にならないよう、健康な今のうちから利用できる制度をおさえてきましょう。

制度を利用したいと思ったら、早速生命保険会社に問い合わせてみましょう。

2024.3.23

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生命保険

生命保険を活用した相続対策③ 遺産分割対策

『相続対策として考えなければならない3つのテーマ』のうち、3つ目のテーマ「生命保険を活用した相続対策③ 遺産分割対策」です。

財産が少なくても、相続人が2人以上いれば、相続が「争族」になる可能性があります。

特に財産のほとんどが分割しにくい不動産だけといった場合には、円満な遺産分割対策が求められます。

生命保険を活用すれば、円満な遺産分割が可能です。

自分の意思で死亡保険金受取人や保険金受取割合を決められる

生命保険では、死亡保険金受取人や保険金受取割合を、契約者本人の意思で生前に決められるので、円満な遺産分割に役立てることができます。

自分の死亡保険金を「誰に」、「いくら渡すのか」を自分の意思で生前に決めることができるわけです。

死亡保険金は原則として受取人の固有財産とされるため、遺産分割協議の対象外となります。

自分の死亡保険金を残したい人に渡すことができるのです。

なお、死亡保険金受取人や保険金受取割合は契約後でも変更することが可能です。

円満な遺産分割のためには法定相続分や遺留分に注意

例えば、父の相続財産が自宅と現金しかなく、相続人が長男、長女、二男の3人というケースで考えてみましょう。

やはり自宅を売却して、その売却金と現金の合計を3分割しなければならないのでしょうか?

このような場合には死亡保険金を上手く活用することで、自宅を売却せずに、円満に遺産分割を行うことが可能です。

【代償分割】

円満な遺産分割を行うための方法のひとつに「代償分割」があります。

中心的に財産を相続する必要のある相続人(長男など)が、いったん代表して相続財産をすべて相続します。

その後、代表となった相続人が、自身の財産から、他の相続人に対して、本来相続すべき分の財産を渡すことにより遺産分割を行うという方法です。

代償分割は遺産分割の一形態であり、相続人の間で渡される代償財産は贈与にはなりません。

代償財産とする現金を生命保険で準備するのです。

ただし、どのように分割を行えばよいかについては、法定相続分(遺産分割を行う際に法律で定められている、各相続人の相続財産の取得割合)や遺留分(遺産分割を行う際に法律で定められている、各相続人に最低限保証されている、相続財産の取得割合)の問題があります。

トラブルを避けるために、弁護士などの専門家に相談しながら行うことが大切です。

このように生命保険は、円満な遺産分割に役立つことができるのです。

2023.4.21

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生命保険

生命保険を活用した相続対策② 税負担軽減対策

『相続対策として考えなければならない3つのテーマ』のうち、2つ目のテーマ「税負担軽減対策」です。

相続税額を減らすには、相続税の課税対象となる相続財産の評価額を下げる必要があります。

相続財産の中には、財産の性質から相続税額の計算において、特別に評価額を減額してもらえるものがあり、生命保険の死亡保険金もそのひとつです。

現金で1,000万円持っている場合と、死亡保険金として現金で1,000万円受け取った場合では、どちらも手元に1,000万円の現金があるのですが、相続財産として評価額が異なります。

死亡保険金の非課税金額の計算方法

生命保険の死亡保険金には、相続財産としての評価額を計算する際に、非課税となる金額があります。

非課税金額は以下のように計算します〈相続税法12条〉。

死亡保険金の非課税金額 = 500万円 × 法定相続人の数

※法定相続人の数について

 ●相続放棄をした法定相続人がいても「相続放棄がなかった」場合の数となりま 
  す。

 ●養子は実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人まで含めること 
  ができます。

死亡保険金の非課税金額を適用するための要件

非課税金額を適用するためには、生命保険の契約形態に要件があります。

契約者と被保険者が同一人で、死亡保険金受取人が相続人の場合に限られます。

ただし、死亡保険金受取人が相続放棄をしたり、相続権を失った場合には非課税金額の適用はありません。

例えば、法定相続人が妻、長男、長女の3人であれば、非課税金額は500万円×3人=1,500万円となります。

もし受け取った死亡保険金が3,000万円であれば、相続税額計算上の評価額は1,500万円(3,000万円-1,500万円)となり、評価額が半分になるのです。

〈計算事例〉

父が亡くなりました。法定相続人は、母・長男・長女の3人です。合計5,000万円の死亡保険金を受け取りました。

なお、各人の死亡保険金受取額は次のとおりです。

母:3,000万円 長男:1,500万円 長女:500万円

各人が受け取った死亡保険金の相続財産として評価額はいくらでしょうか? 

非課税金額 = 500万円 × 3人 = 1,500万円

各人の非課税金額は以下のとおりです。

母:1,500万円×3,000万円/5,000万円=900万円

長男:1,500万円×1,500万円/5,000万円=450万円

長女:1,500万円×500万円/5,000万円=150万円

したがって各人が受け取った死亡保険金の相続財産として評価額は以下のとおりです。

母:3,000万円-900万円=2,100万円

長男:1,500万円-450万円=1,050万円

長女:500万円-150万円=350万円

このように生命保険を活用すれば、相続税の税負担を軽減することができるのです。

2023.4.16

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生命保険を活用した相続対策① 納税資金対策

前回の記事で「相続対策として考えなければならない3つのテーマ」について解説しました。

今回から3つのテーマについて、ひとつひとつ見ていきます。

まずは「生命保険を活用した相続対策① 納税資金対策」です。

「わが家には相続税がかかるほどの資産はないから相続税は関係ない」という方がいらっしゃいます。

相続税がかかるほどの資産とは、どのくらいの資産をイメージされているのでしょうか?

3,000万円を超える資産がある人は要注意

相続税法の改正により、2015(平成27)年1月1日以降の相続から、3,000万円を超える資産がある場合には、相続税がかかる可能性がでてきました。

改正前までは5,000万円が判断の目安だったのですが、現在では2,000万円も下げられてしまいました。

これまで「相続税とは無関係だ」と思っていた人にも、相続税の納付を心配しなければならない人が増えてきたのです。

相続税は、相続開始後10ヵ月以内に「現金納付」が原則

相続税は、原則として、相続開始後10ヵ月以内に現金で納付しなければなりません。

人が亡くなると、お葬式や納骨など何かと現金が必要になります。

しかし、相続財産としての現金は、一部の例外を除き、遺産分割協議が終わるまでは、銀行から引き出すことができません。

あらかじめ相続税の納税資金を確保できていればよいのですが、確保できていなければ、納税資金を準備するために、自分の資産を処分しなければならない、ということも起こりえます。

生命保険であれば速やかに現金の確保が可能

生命保険の死亡保険金は、所定の請求手続きにより、1週間ほどで現金で受け取ることができるので、相続税の納税資金の確保に役立ちます。

生命保険は相続対策に有効活用できるのです。

2023.4.7

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相続対策として考えなければならない3つのテーマとは?

相続対策と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?

「相続税はかかるの? かかるならどのくらい?」というような税金対策のことでしょうか?

相続対策は税金対策だけではありません。

相続対策には3つのテーマがあるのです。

では、3つのテーマとは具体的には何なのでしょうか?

相続対策3つのテーマ

①納税資金対策

相続税の納税資金を準備するということです。

相続税は、原則として、相続開始後10ヵ月以内に「現金」で納付しなければなりません。

②税負担軽減対策

相続税額を計算する際には、相続財産としての評価額を計算する必要があります。

その評価方法については、国税庁が詳細なルール(相続税財産評価に関する基本通達)を定めています。

生命保険であれば、受け取る死亡保険金には非課税額が設けられています。

一定の要件を満たす必要がありますが、非課税額を適用することで相続財産としての評価額を下げることができ、その結果、相続税の負担を軽減することができます。

③遺産分割対策

個人的には3つのテーマの中で、最も重要であると考えています。

相続人が2人以上いれば、相続が「争族」にならないように、円満な遺産分割対策が必要になります。

特に相続財産が不動産など分割しにくい財産しかない場合には、慎重な対応が必要になります。

そして生命保険は、これら3つのテーマすべてにおいて、有効活用することができるのです。

2023.3.31

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忘れてはいけない介護保障

「介護」というとまずイメージするのが親の介護。

ただ、実際に介護を経験してみなければピンとこないというのが正直なところ。

とはいえ、介護は誰もが、いつかは必要になる可能性があります。

介護保障について少し考えてみましょう。

介護保障の備えは老後生活資金とは分離して

今はあまりピンとこなくても、いつかは誰もが必要になる可能性がある介護。

自分や配偶者が要介護状態になったとき、「子どもには頼れない」と思っていた方が現実的でしょう。

そうすると夫婦だけで介護を乗り切るということになるのですが、介護の実態を聞くと、精神的、体力的、経済的な負担はかなりのものになります。

男性は、自分は介護される側だと思っている人が多いですが、逆もあり得えることを認識しておかなければなりません。

老後生活資金とは分離して介護保障への備えが必要になります。

介護保障の目安は約600万円

では介護保障として、どのくらいの金額を備えておくべきなのでしょうか?

生命保険文化センターの「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」をもとに算出したデータを見ると、目安として約600万円となっています。

平均介護費用(月額)×平均介護期間+平均介護費用(一時費用)という考え方によるものです。

介護にかかる費用の負担を軽減してくれる制度を知っておく

国の医療保険に「高額療養費制度」があるように、国の介護保険には「高額介護サービス費制度」や「高額医療・高額介護合算療養費制度」があります。

また、在宅介護や施設介護などで負担した費用の一部が「医療費控除」の対象になります。

このような経済的負担を軽減してくれる制度についても抑えておく必要があります。

退職金を受け取ったときが、介護保障を検討する時期

生命保険の見直しを行う場合、死亡保障や医療保障を優先するため、どうしても介護保障は後回しになりがちです。

しかし、高齢になってニーズが出てくる頃には、介護保障の保険料は高くなってしまいます。

そのため、退職金を受け取ったときが、介護保障を検討する時期としてふさわしいと考えられます。

介護保障に貯蓄で備えられるのがベストですが、老後生活資金も必要なので、なかなか厳しいといえます。

介護保障の備えには、民間の介護保険の活用も視野に入れるといいでしょう。

2023.3.21

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老後生活資金の準備を早めに

サザエさんのお父さんである波平さんは54歳、定年退職1年前という設定だそうです。

かつてサラリーマンの定年が55歳という時代がありました。

それだけ寿命が短かったのでしょう。

時代は流れて、今は人生100年時代。

65歳でリタイアしても、まだまだ人生は長いです。

老後生活資金の準備、どのように考えていけばよいのでしょうか?

老後生活資金と言ってもいろいろ

一口に「老後生活資金」と言っても、人によって捉え方がいろいろです。

「日常生活資金」の他に、「旅行・趣味などの資金」「住宅資金」「医療・介護資金」「子どもや孫への援助資金」「相続対策資金」など老後資金として考えられるものはたくさんあります。

すべてを保険で準備することには無理があり、現金や預金などの金融資産を活用しながら老後生活資金の準備を行っていくことが大切です。

まずは、公的年金制度や退職金の把握から

公的年金制度

老後生活資金について考える場合、まずは公的年金制度について理解することから始めましょう。

会社員であれば厚生年金、自営業者であれば国民年金です。

「自分は年金をいくらもらえるのか?」については、毎年1回自分の誕生日に送付されてくる『ねんきん定期便(ハガキ)』を参考にしてください。

退職金

会社員であれば、通常は、退職により退職金を受け取ることができます。

一時金でもらう他、年金でもらうことがあります。

年金の場合、勤務していた会社が導入していた退職年金制度により、受け取り方に違いがあるため、十分な確認が必要になります。

不足分には自分で備える

公的年金制度や退職金を把握した結果、不足を感じる場合には、不足する老後生活資金を自分で備えなければなりません。

備える手段としては、これまで貯蓄した資産および退職金を運用する、働いて収益を得ることなどが考えられます。

人生100年時代、老後生活資金の準備は早めにスタート

会社員であれば、一般的には50代半ばから収入が減ってきます。

定年退職後に再雇用されたとしても、得られる収入は限られています。

子どもの教育費や住宅ローンの返済などにより、どうしても老後生活資金の準備は後回しになってしまいます。

ですが、60歳になってから始めるのではとても無理があります。

積立型の投資信託などの金融商品や終身保険などを活用しながら、早いうちから少しずつでも将来の老後生活資金の準備を始めることが大切です。

2023.3.14