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生命保険

ミニ保険

少額短期保険のことを「ミニ保険」と呼んでいます。

少額短期保険は2006(平成18)年に生まれた新しい保険業態です。

この少額短期保険についてまとめてみました。

少額短期保険会社は115社

少額短期保険は2006(平成18)年4月に施行された改正保険業法において成立した新しい保険です。

2023年2月10日現在で、115社が少額短期保険会社として登録しています。

保険業法の改正により、共済を営んでいた団体が少額短期保険に移行することとなり、保険業法の下、保険業者として活動することになりました。

共済事業から保険事業へと移行したわけです。

2021(令和3)年度現在、保有件数は1,054万件、収入保険料は1,277億円となっています。

少額短期保険会社が受ける規制

少額短期保険は共済から保険へと移行するにあたり、商品、事業形態、保険契約者の保護などの多くの点で規制を受けています。

1被保険者についての保険金額と保険期間の上限

保険業法で、保険期間は1,000万円以内、保険期間は2年以内と規定され、さらに保険種類に応じて保険金額の上限が細かく定められています。

(保険金額)

・死亡保険 300万円以下 ・医療保険(傷害疾病保険) 80万円以下

・損害保険 1,000万円以下 など

(保険期間)

・生命保険 医療保険(傷害疾病保険) 1年以内

・損害保険 2年以内

少額短期保険の商品

少額短期保険会社では、これまで保険会社で商品化できなかった新たな商品が開発されています。

商品の特徴としては2つ考えられます。

①シンプルである

 生命保険であれば、死亡保険金額が100万円・200万円・300万円のものから選ぶ商品が主流で、複雑な特約はありません。

②セグメントされている

 「保険会社が取り扱うには市場規模が小さすぎる」「万人向けではない」などの理由で、保険会社が参入できなかったニッチ分野に、積極的に商品を提供しています。

少額短期保険の商品例

●タイヤ保険

 1本のタイヤ事故で新品4本交換

 保険金額 10万円 20万円 30万円

 保険料 10万円:月払 830円 20万円:月払 2,040円 
     30万円:月払 5,670円

●熱中症お見舞い金保険

 猛暑日でのスポーツ中や仕事中などの熱中症リスクに対応

 熱中症で点滴を受けたとき(治療保険金 10,000円)

 熱中症で1泊2日以上の入院をしたとき(入院保険金 30,000円)

 保険料 240円/月(保険期間が1~7ヵ月の月単位契約の場合)

●フリーランス向け保険

 フリーランスの仕事中および日常生活中のケガを補償

 年齢、職業、健康状態を問わず加入可

 保険金額 入院:最大30万円 手術:最大20万円 通院:最大6万円

 保険料 9,720円/年

●ペット保険

 保険金日額の上限、支払回数の制限なし

 保険金額 補償割合70%または補償割合50%

      120万円(通院30万円 入院60万円 手術30万円)

 保険料 1,270円/月(ネコ 補償割合50% 0~2歳の場合)

最近ではトラブルも

保険会社が免許制であるのに対して、少額短期保険会社は最低資本金1,000万円などの条件を満たせば、登録だけで事業を開始することができます。

参入障壁が低いため異業種からの参入が多くなっています。

最近では、保険金の支払いが滞るなどのトラブルが目立ち始めており、金融庁は2023年春をめどに監督指針を改正し、監督の強化を図るとのことです。

まとめ

少額短期保険会社では、これまで保険会社で商品化できなかった商品が数多く開発されており、「こんな保険ないかな?」と思ったときに、ちょっとのぞいてみてはいかがでしょうか?

2023.2.21

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生命保険

医療保険に加入するときに注意したいこと

病気やケガで入院や手術をすると、医療費として多額な費用がかかることがあります。

もし多額な医療費がかかったとしても、公的医療保険の「高額療養費制度」により、負担を軽減することができます。

しかし、高額療養費制度の対象にならない費用もあります。

これをカバーするのが民間の医療保険の役割です。

では、医療保険に加入するときには、どのようなことに注意点しなければならないのでしょうか?

「高額療養費制度」により医療費の自己負担限度額を超えた金額が戻ります

まず公的医療保険の「高額療養費制度」についてです。

高額療養費制度とは、月の初めから終わりまでの1ヵ月間(4月であれば4月1日~4月30日)にかかった医療費に対して支払う自己負担額が、あらかじめ定められている自己負担限度額を超えた場合に、その超えた部分の金額が戻ってくる、というものです。

注意していただきたいのが、金額は1日から月末で計算するということです。

同じ月であればわかりやすいのですが、例えば4月15日~5月14日まで入院した場合には、高額療養費の計算は、4月15日~4月30日までと5月1日~5月14日までの2つの月に分かれます。

支払った医療費の自己負担額が、総額で自己負担限度額を超えていても、月単位で超えていなければ戻ってきません。

どのくらい戻ってくるのか

ひと月あたりの自己負担限度額は、70歳未満で年収が約370万円~770万円の人の場合、次のように計算します。

ひと月あたりの自己負担限度額 = 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

例えば、かかった総医療費が100万円の場合であれば、この式にあてはめて計算すると、ひと月あたりの自己負担限度額は87,430円となります。

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

70歳未満の人であれば、医療機関の窓口での自己負担額は、原則として、かかった総医療費の3割です。

自己負担額300,000円(1,000,000円×30%=300,000円)のうち、212,570円(300,000円-87,430円=212,570円)が戻ってくることになります。

このように高額療養費制度があるおかげで経済的負担がかなり抑えられます。

「高額療養費制度」の対象にならない費用があります

高額療養費制度の対象になるのは、治療関連費用(入院基本料、手術料、検査料、投薬料など)のうち健康保険診療の範囲内になるものだけです。

「差額ベッド代〈注1〉」や「入院中の食事代」は高額療養費制度の対象外です。

「差額ベッド代」は、1人部屋では8,315円、4人部屋では2,639円〈注2〉というデータがありますが、全額自己負担しなければなりません。

また「入院中の食事代」は、一般的に1食460円(2023年10月末現在)ですが、これも全額自己負担しなければなりません。

さらに、その他の諸費用として「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費」、「見舞いに来る家族の交通費」などがかかってきます。

これらの費用についても、全額自己負担しなければなりません。

最近は入院期間が短期化する傾向にあります。

しかし、がん、脳血管疾患、心疾患などの重い病気を患えば、どうしても入院期間は長期化することが考えられます。

もしも入院期間が長期化してしまった場合には、このような自己負担しなければならない費用がかさみ、多額の経済的負担がのしかかってきます。

〈注1〉差額ベッド代

 6人部屋などの一般病室に対して、1~4人の「特別療養環境室」に入室したときに  
 かかる費用。部屋の人数により異なり、1人部屋が最も高額。

〈注2〉出典

 厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」令和3年7
 月1日現在 

医療保険は高額療養費制度の対象にならない費用を目安に加入しましょう

高額療養費制度の対象にならない費用については民間の医療保険で備えましょう。

なお、医療保険の加入にあたっては、「入院給付金日額をいくらにするか?」ということがベースになります。

保険料を必要以上に支払わないためにも、これまで説明した高額療養費制度の対象にならない費用を目安にして、入院給付金日額の設定をすることが大切です。

実際の設定にあたっては、その人の年収や入院する病室の希望など個人によって内容が異なってきますので、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談するとよいでしょう。

がん治療などの「先進医療」には医療保険の特約で備える

現在は2人に1人が、がんにかかる時代といわれています。

がんの治療で用いられる陽子線治療などの「先進医療」にかかる費用は、高額になるものの、高額療養費制度の対象外のため、全額自己負担しなければなりません。

先進医療にかかる費用については、医療保険の特約により、安い保険料で備えることができますので、加入をおすすめしまう。

まとめ

以上、医療保険に加入するときの注意点について見てきました。

多くの人が、すでになんらかの医療保険に加入されています。

民間の医療保険で備えたいのは、高額療養費制度の対象にならない費用です。

具体的には、「医療費の自己負担部分(70歳未満の人であれば原則3割)」「差額ベッド代」「入院中の食事代」「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費、見舞いに来る家族の交通費など」「先進医療にかかる費用」などです。

どのくらいの金額を想定しておけばよいのかを計算し、1日あたりに必要な入院給付金日額を設定します。

現在加入している医療保険が必要以上の保障を付けていて、保険料を払い過ぎていないか、ぜひ確認してみてください。

2023.11.2

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生命保険

生命保険の税金 保険金や給付金を受け取ったときの課税(個人)

生命保険から保険金や給付金を受け取ると、どのような税金がかかってくるのでしょうか?

死亡保険金であれば、誰が契約者、被保険者(保険の対象になる人)、死亡保険金受取人になるかによって、課税される税金の種類が変わってきます。

どのような課税関係になっているのかまとめてみました。

死亡保険金は契約形態によって相続税、所得税・住民税、贈与税の課税対象

死亡保険金は、契約形態によって、「相続税」「所得税・住民税」「贈与税」の課税対象になります。具体的には次のとおりです。

【死亡保険金を受け取った場合の課税関係の例】

 契約者被保険者死亡保険金受取人税の種類備考
ケース1相続人相続税死亡保険金非課税の特典あり
ケース2相続人以外相続税死亡保険金非課税の特典なし
ケース3所得税・ 住民税一時所得
ケース4贈与税 

この表の中にある「死亡保険金非課税の特典」とは、受け取ったすべての死亡保険金のうち「500万円×法定相続人の数」までの金額について相続税はかかりません、というものです。

例えば、法定相続人が母・長男・長女の3人であれば、1,500万円(500万円×3人)です。

ケース1ではこの特典が活用できますが、ケース2では活用することはできません。

この特典は、契約者と被保険者が同一で、かつ死亡保険金受取人が相続人である、という契約形態に限り活用することができるからです。

ケース3は、一時所得として所得税・住民税の対象になります。

この場合の課税される金額は次のように計算します。

課税される金額=(死亡保険金-払込保険料総額-特別控除額50万円)×1/2

計算上、特別控除額が50万円ありますので、死亡保険金と払込保険料総額の差額が50万円以下であれば、課税される金額はゼロということになります。

また、差額が50万円を超えたとしても課税される金額はその金額の1/2となりますので、課税上の大きな特典といえます。

身体の傷害に基因して支払いを受ける保険金や給付金は非課税

高度障害保険金、入院給付金、手術給付金、がん保険金などは非課税です。

まとめ

生命保険から保険金や給付金を受け取ったときの課税関係についてご説明しました。

終身保険や定期保険から受け取る死亡保険金は、契約形態によって、「相続税(死亡保険金非課税の特典あり)」「相続税(死亡保険金非課税の特典なし)」「所得税(一時所得)・住民税」「贈与税」と、課税される税金の種類が異なります。

また、医療保険やがん保険から受け取る入院給付金や手術給付金などは非課税です。

生命保険を契約するときには、加入する目的に沿った契約形態で加入することが大切ですが、課税される税金の種類についても注意するようにしましょう。

2023.1.31

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生命保険

生命保険3つの基本形の特徴と活用のポイント

「生命保険は複雑でわかりにくい」と思う方が多いですが、大元は3つの基本形になります。

3つの基本形とは、「定期保険」「終身保険」「養老保険」です。

すべての生命保険は、突き詰めていくと、この3つまたはこれらを組み合わせたものになります。

それぞれの一般的な特徴と活用のポイントについて見てみましょう。

〇定期保険の特徴

・保険期間(保険料払込期間)が10年間とか60歳まで、などの一定期間です。

・保険期間の途中で解約したときの解約返戻金はなく、掛け捨て型の保険です。
 (保険期間が長期間になると、少しですが解約返戻金が生じる場合があります)

・掛け捨て型なので、この3つの中では保険料が最も安いです。

・保険期間が満了すると、満了時の被保険者(保険がかけられている人)の健康状態 
 にかかわらず、同一の保険期間・保険金額で自動的に更新することができます。
 ただし、更新後の保険料は更新時の年齢で計算しますので、通常は上がります。

・一定期間に、安い保険料で大きな保障を得たい場合に活用できる保険です。

〇終身保険の特徴

・保険期間が一生涯続きます。そのため必ず保険金を受け取ることができます。

・保険期間の途中で解約すると解約返戻金が受け取れます。解約返戻金は保険期間の
 経過とともに増加します。

・保険料を毎月や毎年に分割して支払う場合、保険料の払済年齢を定年退職時に合わ 
 せて60歳や65歳までとすることが多いですが、一生涯支払うという方法(終身
 払)もあります。同じ保障内容であれば、1回分の保険料は終身払の方が大分安く 
 なります。

・保険料は一生涯変わりませんが、解約返戻金があるため定期保険より高いです。

・掛け捨て型ではないため、保障と貯蓄の両方に備えることができます。

〇養老保険の特徴

・保険期間(保険料払込期間)が10年間とか60歳まで、などの一定期間です。

・保険期間の途中で解約すると解約返戻金が受け取れ、保険期間が満了すれば保険金
 額と同額の満期保険金を受け取ることができます。

・満期保険金があるため終身保険よりも保険料が高くなり、この3つの中では最も高
 いです。

・保障と貯蓄の両方に備えることができますが、保険料が高いため、利用価値は低い
 でしょう。

〇活用のポイント

終身保険と定期保険を活用して、もしものときに備える

もしものときの保障を考えるには、一般的には終身保険と定期保険で設計します。

終身保険の保険金額は500万円ほどに設計するとよいでしょう。

終身保険の保険金は必ず受け取ることができるので、自分の葬儀費用など死後の整理費用に活用できるからです。

特に30代や40代の働き盛りのうちは、自分にもしものことがあったときの残された遺族への備えとして高額な保障が必要となります。

この場合には、定期保険で、必要となる期間、必要となる保険金額を設計します。

定期的に保障の見直しを行うことで保険料の払い過ぎをなくす

もしものときの必要保障額は、年齢の経過とともに減少していきます。

年齢の経過により余命が短くなっていくので、その分生活に必要とされる金額が減っていくからです。

これに合わせて定期的に保障の見直しを行い、定期保険の保険金額を減額していきます。

定期的に保障の見直しを行うことで、保険料の払い過ぎを防ぐことができます。

貯蓄は保険以外の金融商品で

養老保険には満期保険金がありますが、保険料がかなり高いので、おすすめしません。

なお、終身保険であれば、満期保険金はありませんが解約返戻金がありますので、養老保険よりも保険料の負担を抑えて、保障と貯蓄の両方に備えることができます。

必要な保障は定期保険と終身保険で備え、貯蓄については保険ではなく、他の金融商品を活用する方が効率的です。

定期保険をもしものときの個人ローンの返済にあてる

自動車購入、自宅のリフォームや子どもの教育資金などで個人ローンを利用することがあります。

自分にもしものことがあり、個人ローンの返済が困難になったときに、定期保険の保険金で弁済するという方法があります。

保険期間を個人ローンの返済期間と合わせることで、もしものときの個人ローンの返済に備えることができます。

もしものときの住宅ローンの返済を団体信用生命保険で備えることと同じです。

2023.1.24





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生命保険

第一分野の保険、第二分野の保険、第三分野の保険とは?

業界専門用語になってしまいますが、保険には第一分野、第二分野、第三分野と3つの分野があることをご存知でしょうか?

第一分野の保険とは

人の生死に関して保険金が支払われる保険で、生命保険の分野になります。

〈例〉終身保険、定期保険、養老保険

第二分野の保険とは

偶然な事故によって生じた損害をてん補するために保険金が支払われる保険で、損害保険の分野になります。

〈例〉火災保険、自動車保険、賠償責任保険

第三分野の保険とは

身体の傷害、疾病および介護に関して保険金が支払われる保険で、生命保険と損害保険のどちらにもあてはまらない保険です。

〈例〉傷害保険、医療保険、がん保険、介護保険

第一分野の保険は生命保険会社、第二分野の保険は損害保険会社そして第三分野の保険は生命保険会社と損害保険会社の両方で取り扱っています。

2023.1.20