〈事 例〉
父親(81歳)が亡くなりました。
相続人は長男・次男の2人でした。
父親の財産は3,000万円の自宅と1,000万円の預貯金でした。
長男は父親とずっと同居して生活してきており、「自宅は自分が相続したい」と考えていました。
相続人は子2人なので、法定相続分としては1/2ずつとなります。
そのため、長男が自宅を相続すると、次男との間で遺産の分け方に大きな差が生じてしまいます。
父親は財産の分け方について子どもたちと特に話をしていませんでした。
また、遺言書も書いていませんでした。
〈対 策〉
✅父親の生前に財産全体を整理したうえで、生命保険を活用して、長男から次男へ
代償金が支払えるように準備しておく
✅遺産の分け方について、父親は遺言書を書いておく
〈ポイント解説〉
●相続でまず確認すること
相続対策の第一歩として、「相続人は誰なのか?」「相続財産には何があるのか?」「遺言書はあるのか?」をまずは確認します。
戸籍を確認してみたら「実は相続人は別にまだいた」ということは珍しいことではありません。
また、相続財産はプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も把握する必要があります。
「うちは大した財産はないから」と思っていても、全財産を把握することは、なかなか大変なものです。
相続人や相続財産を正確に把握できなければ、円満な相続はできません。
●不動産は「分けにくい」から悩ましい
このケースのように、一般的な家庭では、相続財産は自宅と預貯金ということが多いです。
悩ましいのは、不動産は「分けにくい」という特徴があることです。
不動産を売却して、その売却資金で遺産分割を行うことができればよいのですが、簡単に売却することはできません。
ではどうしたらよいのでしょうか?
不動産だけでなく、預貯金や生命保険なども含めて遺産分割を考えます。
●生命保険金を使った代償分割
生命保険金を活用した代償分割を行うという方法があります。
ただし、生命保険金は原則として受取人固有の財産であることに注意が必要です。
受取人固有の財産ということは相続財産ではないということです。
そのため遺留分(最低限相続できる相続分)を考える際には、生命保険金を除外して考えなければなりません。
では具体的にはどのようにすればよいのでしょうか?
このケースの場合には、長男がいったん全ての財産と生命保険金を受取り、そこから代償金を長男から次男へ支払うようにします。
トラブルを避けるためには、生命保険金の受取人を次男とはしないことがポイントです。
生命保険金は受取人の固有財産であるため、次男は生命保険金を除いて、自分の適正な相続分を主張してくるからです。
●円満相続のために
父親は、遺産の分割について、遺言書にきちんと書いておくことが大切です。
ただし、遺言書を一人で書いておけばそれで安心ということにはなりません。
遺言書を書く前に、長男と次男を交えて、遺産の分け方について家族会議を実施し、家族間の合意形成を図っておくことでトラブルを避けることができます。
2026.8.28.