5/9(金)の新聞記事に、このような見出しがあった。
金融庁は監督指針を改正し、保険契約獲得のための過度な営業協力や物品購入を行うことを禁止し、違反した場合には、代理店に行政処分を出す、というもの。
保険契約獲得のために、保険会社の社員が代理店の物品購入あっせんや保険と直接関わりのない代理店のイベントへの協力を行う。
昔からよくある話だ。
私も損害保険会社の社員の時に、独身なのにクリスマスケーキを4つ買わされたり、毎年夏と冬には必ずスーツを新調させられたりしたことを思い出す。
そして何と言っても忘れられないのが自動車の購入。
新入社員として配属されて席に着くと自動車のパンフレットが置いてあり、誰かの忘れ物かと思っていたら、自動車営業部の先輩社員が来て「この中から好きな車を選べ」と言われ、新車を購入したこと。
損害保険会社ではどこでもあった話だ。
この伝統的な風景がなくなるのか?
いやなくすことができるのか?
新指針では、便宜供与の疑義や体制整備の不備があった場合には、代理店に立ち入り検査を行い、重大な問題が見つかれば業務改善命令などの行政処分を課する、とのこと。
業界の悪習を撲滅するために、かなり厳しい内容である。
監督指針の改定で、長きに渡り根付いたこの文化を簡単に解消させることはできないと思う。
頭の良い人が規制を潜り抜ける方法を見つけることだろう。
このいわゆる本業支援によってシェアが決まるという構図は、保険業界だけでなく、どこの業界でも行われているはずである。
これまでのように露骨にとはいかなくなるが、最終的にはやはり本業支援によってシェアが決められるという構図はなくならないと思う。
2025.5.17