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生命保険の保険料を減らしたい人必見! 見直しポイントと注意点

「毎月の生命保険の保険料が高い…」「見直したいけど、どうすればいいか分からない」——そんな悩みはありませんか?

最近、家計の見直しをきっかけに「生命保険の保険料を減らしたい」と考える方が増えています。

実は、多くの人が必要以上の生命保険に加入しており、見直すだけで月数千円〜1万円以上の節約につながるケースもあります。

生命保険の保険料を無理なく減らすための具体的な見直しポイントと、注意すべき点をわかりやすく解説します。

生命保険の保険料を節約したい方必見です!

1.なぜ保険料の負担が高くなってしまうのか

保険料の負担が高くなってしまう主な要因として、過剰な保障内容があげられます。

たとえば、家族構成に合わない高額な死亡保障がついている、保障期間が長すぎる、不要な特約がついている、保障が重複しているなどのケースです。

2.保険料を減らすための見直しポイント

重要なポイントを5つご紹介します。

(1)保障額の適正化

まずは、自分に本当に必要な保障額はどのくらいなのかを確認しましょう。

家族構成やライフステージによって、必要な保障額は大きく変わります。

必要な保障額を超えた加入は、無駄な保険料の支払いとなります。

(2)不要な特約をはずす

特約を付加すると手厚い保障を得ることができ安心ですが、特約保険料はすべて保険料に上乗せされ、負担が増加します。

定期的に見直しを行い、不要だと思った特約は、思い切って外すのもひとつの手です。

また、特約を付加していることによって保障が重複してしまっていることもありますので確認しておきましょう。

(3)終身型 → 定期型への切り替え

保険期間が一生涯の終身型に加入している場合には、保険期間が一定期間の定期型に変更することで保険料の負担を減らすことができます。

現在加入している終身型の保障額を下げて、必要な期間だけ定期型で保障額を高くして加入すれば保険料の負担を減らすことができます。

(4)ネット型生命保険の活用

ネット型生命保険は、保険代理店を介さずに契約するため、事務コストが抑えられることから、代理店型生命保険に比べて保険料が割安です。

ただし、ネット型の場合には、基本的に契約内容を自分ひとりで決めなければなりません。

(5) 複数社を比較・検討

生命保険は保険会社ごとに取り扱っている内容や保険料が異なります。

同じような商品を取り扱っている保険会社は複数社あるので、一社に絞らずに比較・検討することで保険料の負担を減らせるケースがあります。

3. 保険見直しのタイミング

一般的にはライフイベントごとに保険の見直しが必要だと言われています。

ライフステージによって必要な保障が変わりますので、見直しをすれば無駄な保険料の支払いをなくすことができます。

〈ライフイベントの例〉

・結婚 ・出産 ・住宅購入 ・子どもの独立 ・収入減 ・定年退職

4. 保険料の負担を減らし過ぎるのはNG

保険料の負担を減らすことに集中しすぎると、もしものときに「保障が足りない」という事態になりかねません。

大切なのは、必要な保障を確保した上で、無駄を省くことです。

自分と家族にとって本当に必要な保障を見極めましょう。

5. 保険のプロに相談するのもおすすめ

自分ひとりで見直すのが不安な場合には、保険ショップやファイナンシャル・プランナー(FP)などの保険のプロに相談することをおすすめします。

また、相談する際には複数の保険ショップやファイナンシャル・プランナー(FP)の意見を聞くようにしてください。

さまざまな角度から検討することができ、自分に合った生命保険を見つけやすくなるからです。

6. まとめ

以上、生命保険の保険料を減らすための見直しポイントと注意点について解説しました。

「過剰な保障をなくして、必要な保障だけに絞る」ことが重要です。

一度加入したからといって、そのままにするのではなく、ライフイベントごとに見直し、無理なく安心が得られる生命保険に変えていきましょう。

2025.7.30

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生命保険

医療保険の選び方・ポイント|失敗しないための完全ガイド

民間の医療保険の役割は、国の公的医療保険でカバーできない部分を補うことです。

医療保険には実に数多くの商品があり、「選び方がわからない」「何を重視すべきか迷う」という人も多いのではないでしょうか。

医療保険を選ぶ際の重要なポイントを、基礎知識から具体的な比較方法までわかりやすく解説しています。

この内容をおさえていただければ、自分に最適な医療保険を見つけることができます。

1. 医療保険を選ぶ前に考えること

自分に最適な医療保険を選ぶ前に、把握しておくべきことが3つあります。

(1)公的医療保険の保障を理解する

国の公的医療保険制度では、医療機関の窓口で支払う自己負担額は、かかった医療費の原則3割となっています。

さらに「高額療養費制度」があり、医療費の自己負担限度額が設けられています。

これにより、ひと月に何十万円もの医療費の支払いを請求されることはありません。

このように公的医療保険制度の内容は充実したものになっています。

(2)貯蓄で備えられるか

もしも十分な貯蓄があるのであれば、わざわざ医療保険に加入する必要はありません。

公的医療保険でカバーできない部分について、貯蓄で対応すればよいからです。

「貯蓄で入院費や治療費をカバーできるか?」を考え、足りない分は医療保険で補うというのが合理的です。

(3)ライフステージ・健康状態

結婚、出産、住宅購入など、ライフステージごとに必要な保障は変わります。

そのため定期的な見直しが大切です。

また、持病があると医療保険には加入できないケースがあるため、健康なうちに加入する方が有利といえるでしょう。

2. 医療保険の選び方・ポイント

医療保険を比較・検討する際のチェック項目について解説します。

(1)保障内容を確認する

●入院給付金日額:5,000円〜10,000円が一般的です。

●入院給付金支払限度日数:短期入院(5日以内)が増えているため、60日型が主流ですが、長期入院リスクに備えるのであれば120日型も検討するとよいでしょう。

●手術給付金:がんや生活習慣病の手術費がカバーできるか確認しましょう。

●通院保障:入院期間の短縮化により、退院後の通院による治療期間が長くなっていますので、検討してみましょう。

(2)特約の必要性を見極める

●先進医療特約:先進医療による治療費は公的医療保険制度の対象外であり、全額自己負担しなければならず、数百万円に及ぶケースもあります。

この特約はわずかな負担で加入することができるので、コスパが良く人気です。

●女性疾病特約・がん特約:ライフスタイルや家族の病歴に応じて追加を検討してみてください。

(3)保険料と保障バランス

毎月の保険料が家計に負担をかけないかを確認することが大切です。

保険期間が定期型(更新型)または終身型であることの違いを理解し、総額でいくら支払うことになるのかをシミュレーションしてください。

(4)保険会社・商品の信頼性

加入したい保険会社および商品についての口コミ評価や加入者満足度も参考にするとよいでしょう。

ネット専用保険は保険料が安い一方で、相談窓口が少ない点に注意が必要です。

3. 医療保険 比較・検討のコツ

医療保険は次々と開発されており、かなりの商品数があります。

加入にあたっては比較・検討することが重要です。

そのコツを解説します。

(1)複数の商品を比較する

最近では、どのような場合に給付金が支払われるのか、保障範囲が細かく決められています。

すでに多くの医療保険が発売されており、新商品を出しても大差をつけることができません。

保障範囲を細かく決め、どこまで拡大できるか、ということでしか差別化が行えなくなってきているからです。

たとえば、がんの保障において、上皮内がんまで保障の対象に含めているか否かなどです。

必ず複数の保険会社を比較するようにしてください。

(2)すでに加入している生命保険と保障の重複に注意

すでに加入している生命保険に特約として医療保障が付いていることがあります。

また、会社の福利厚生制度で医療保障が含まれていることがあります。

保障が重複してしまうと、無駄な保険料を負担することになりますので、損をしないようによく確認する必要があります。

4. 医療保険に加入するタイミングは?

医療保険に加入するならば健康なうちに、というのも有効な判断です。

既往症があると加入できなかったり、加入できたとしても保険料の割増や給付金の支払制限など条件付きになることがあります。

年齢が若いほど保険料が安い傾向にあるため、月々の保険料の負担で見れば、20代・30代での加入は経済的な負担を軽減できるといえます。

5. まとめ

以上、医療保険の選び方・ポイントについて解説しました。

おさえておいていただきたい点は次の通りです。

●公的医療保険制度や高額療養費制度を理解したうえで、必要な保障を明確にする

●入院給付金・手術給付金・特約などの保障範囲を確認する

●支払う保険料と得られる保障のバランスをシミュレーションする

●定期的に見直すことで無駄な保険料を削減する

複数の保険会社の医療保険を比較し、自分のライフスタイルに合ったものを探すことが医療保険選びを成功させるカギです。

2025.7.25

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生命保険

生命保険は加入して終わりじゃない! 見直しが重要な理由

生命保険は一度加入すれば一生涯ずっと安心…そう思っていませんか?

加入当時と現在ではライフスタイルや家族構成、収入が大きく変わっていることがよくあります。

そこで必ず行っていただきたいのが、定期的な見直しです。

生命保険を加入したまま放置していると「無駄な保険料を払い続けている」「いざという時に必要な保障が足りない」ということが起こります。

生命保険の見直しのタイミングや必要性について解説しています。

生命保険で損をしないために、ぜひ参考にしてください。

1.生命保険を見直すべき主なタイミング

生命保険を見直す必要があるのは、どのような時でしょうか?

タイミングとして代表的なもの8つご紹介します。

(1) 結婚・離婚したとき

結婚すると、自分だけではなくパートナーの生活も守る必要があり、そのため必要保障額を増やすことがよくあります。

逆に離婚した場合には、必要保障額を見直す必要があり、また死亡保険金受取人の変更を忘れずに行いましょう。

(2)出産・子どもの成長に合わせて

子どもが生まれると教育費など将来の出費が増えるため、必要保障額が増加します。

子どもの成長に合わせて必要保障額の見直しが必要になります。

(3)住宅を購入したとき

住宅の購入にあたっては、住宅ローンを利用するケースが多いです。

住宅ローンに団体信用生命保険が付いていれば、亡くなった時の住宅ローン残高がゼロになるため、必要保障額を増やす必要はありません。

もし団体信用生命保険に加入しないのであれば、住宅ローン残高に見合った保障が必要になります。

(4)転職などにより収入の増減があったとき

出世や転職などにより収入が上がった場合には、保障を手厚くすることを検討しましょう。

逆に、収入が下がった場合は、保障額を減らして保険料の負担を軽減する必要があります。

(5)独立・起業したとき

会社員から独立して起業すると、会社の福利厚生制度は使えなくなります。

国からの公的保障で不足する分については、自助努力により自分で保障を準備する必要があります。

(6)50代からの老後生活資金準備を始めたとき

50代では子どもの独立や住宅ローンの完済を迎えるので、必要保障額が軽減します。

これにあわせて保障額の減額が必要です。

また、加齢による健康状態の変化を考慮して、死亡保障から医療保障や介護保障へのシフトを検討しましょう。

(7)定年退職したとき

定年退職後は収入が減少するため、高額な保険料は負担になります。

無駄な保険料を支払わないためにも、本当に必要と考えられる保障だけに整理するのがポイントです。

(8)加入から10年以上経過したとき

加入してから何年も経っている古い保険は、保障内容が時代遅れになっていることが多いです。

先進医療など最新の治療に対応できていない場合には、保障の見直しが必要です。

2.生命保険の見直しをしないリスク

もし生命保険の見直しをしなかったら、どのようなリスクがあるのでしょうか?

見直しをしなかった場合の3つのリスクについて解説します。

(1)無駄な保険料を支払い続ける

生命保険の必要保障額はライフステージごとに変化します。

死亡保障でいえば、結婚して子どもが産まれた時が、最も大きな保障が必要になります。

そして一般的には、子どもの成長にともない、年齢の経過に合わせて必要保障額は逓減していきます。

自分にもしものことがあったときに、残された家族の生活を守るために必要な保障は年齢の経過とともに年々減少していくためです。

そのため生命保険の見直しを行っていないと、いつまでも高額な保障が続き、必要以上の保障が付けられたままとなり、無駄な保険料を支払い続けることになってしまうのです。

(2)必要な保障が不足している

前出のこととは逆に、若くて独身のうちは必要保障額が少ないと考えられるため、加入している生命保険の死亡保障額が少ないことが多いです。

結婚し、子どもが産まれて家族を養っているにもかかわらず、若い独身のうちに加入した生命保険のまま見直しをしていなければ、必要とされる死亡保障額は不足していると考えられます。

このような場合、もしものことがあっても生命保険が必要な役割を果たすことができなくなります。

(3)先進医療などの最新の治療に対応できない

医療技術は日々進歩しています。

最新の治療を受けたくても、加入している医療保険が昔のものであると、保障の対象外となってしまうことがあります。

特に医療保障やがん保障については、次々と新商品が発売されています。

時代遅れにならないよう、こまめにチェックをすることが大切です。

3.生命保険を見直す方法と注意点

実際に生命保険を見直すにあたっての具体的な方法と注意点について解説します。

(1) 自分で見直す

ではまず、ご自身で見直す際のポイントです。

現在加入している生命保険の契約内容を保険証券で確認

現在加入している生命保険すべての保険証券を集めてチェックします。

保険証券には契約内容に関する情報がすべて網羅されています。

どのようなときに、どのような保障が受けられるのか、確認してみましょう。

同じような保険に複数加入していたため、保障内容が重複してしまっているということが発見できるかもしれません。

ライフステージに合わせた必要保障額を再計算

生命保険に加入する際には、必要保障額を計算してから加入する保険金額を決めているはずです。

しかし、加入した時と現在とではライフステージが変わっています。

加入時は独身であったが、今は結婚している。

加入時は夫婦2人であったが、今は中学生と小学生の2人の子どももいる。

たとえばこのようなケースであれば、加入時と現在では必要保障額が異なりますので、再計算をして、しっかりと把握しておく必要があります。

(2) 専門家に相談する

生命保険の知識や経験に自信がなければ、自分ひとりで見直しを行うのは、なかなか難しいものです。

そのような場合には専門家に相談するとよいでしょう。

ファイナンシャル・プランナーや来店型の保険ショップがおすすめです。

生命保険証券を持参して、見直しにあたっての希望を言えば、最適なプランを作成してもらえます。

ただし、偏ったプランにならないように、複数のファイナンシャル・プランナーや来店型の保険ショップからプランを作成してもらい、比較検討することが大切です。

(3) 見直し時の注意点

生命保険を見直す時の注意点についても確認しておきましょう。

健康状態によっては加入できないことも

見直しにより、新たな生命保険を契約したい、現在加入している生命保険の保障額を増額したい、特約を付加したいと思っても、健康状態によっては実現できないことがあります。

そのようなことにならないように定期的に見直しをすることが大切です。

新しい保険が成立する前に古い保険を解約しない

見直しによって新しい生命保険に加入する場合、現在の契約は、新しい契約が成立するまで解約してはいけません。

ついやってしまいがちなので、注意してください。

なぜなら査定の結果、新しい生命保険に加入できない場合があるからです。

そうなった場合、現在の契約を先に解約してしまうと無保険状態となり、保障が全くなくなってしまいます。

4.生命保険の見直しの頻度は?

では最後に、生命保険を見直す頻度について解説します。

(1)ライフイベントごと

一般的によく言われているのが結婚、出産、住宅購入などのライフイベントごとです。

ライフステージの変化を受けて、必要となる保障も変わります。

そのため生命保険の見直しを行う良いきっかけになります。

(2)5年に一度

ライフイベント以外では、目安として最低でも5年に一度は定期的に見直しを行うことをおすすめします。

加入したままになっていると、どのような生命保険に加入しているのか、必要な保障が足りているのか把握することができず、もしものときに生命保険が役に立たないということにもなりかねません。

5.まとめ

以上、定期的な生命保険の見直しの必要性について解説しました。

生命保険の見直しは、家族を守るための大切な作業です。

「最後に生命保険の確認したのはいつ?」

この質問に答えられない人は、さっそく保険証券を取り出してください。

そして必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、自分に最適な保障を手に入れてください。

2025.7.23.

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生命保険

医療保険は本当に必要? 迷ったときの判断基準をわかりやすく解説!

「医療保険って必要なのかな?」そう感じたことはありませんか?

国民の約8割が民間の医療保険に加入している、ともいわれています。

諸外国に比べて、日本の公的医療保険制度は充実しているといわれており、本当に民間の医療保険に加入する必要はあるのでしょうか?

民間の医療保険の役割や公的医療保険との違いを踏まえながら、必要かどうかを見極めるポイントについて解説します。

最後まで読んでいただけば、「自分にとって医療保険は必要なのか?」その答えがわかります。

1.そもそも医療保険とは?

民間の医療保険は、病気やケガで入院や手術をしたときに、給付金を受け取れるという保険です。

保障内容は商品によって異なりますが、基本的には次のようなものになります。

●入院1日につき○○〇〇円の給付金を受け取ることができる

●手術を受けたときに○〇万円が支給される

●希望により退院後の通院や先進医療の保障を付けることができる

2.公的医療保険は、どこまでカバーしてくれるのか?

日本の公的医療保険制度は、諸外国の医療保険制度に比べて充実しているといわれています。

70歳未満であれば、かかった医療費の自己負担割合は原則3割です。

もし高額な治療費がかかっても、高額療養費制度により自己負担限度額が設けられているため、数十万円単位の費用を請求されることはありません。

ただし注意しなければならないことがあります。

次のような費用は高額療養費の対象になりません。

●差額ベッド代(個室などに入る場合にかかる)

●入院中の食事代の一部

●入院中に使用する日用品代、お見舞いに来る家族の交通費など

●先進医療にかかる費用

●仕事ができないことによる収入減

こうした費用は公的医療保険ではカバーすることはできず、全額自己負担となります。

医療費の自己負担額(原則3割)とこれらの費用に対してどう備えるのかが、医療保険の価値を考えるポイントになります。

3.医療保険が「必要な人」、「必ずしも必要でない人」

医療保険が「必要な人」、「そうでない人」として考えられる代表的な例を見てみましょう。

● 医療保険が必要な人の例

・貯蓄が少ない

・自営業者やフリーランス

(会社員のように有給休暇や傷病手当金の支給がないため、働けない期間は収入がゼロとなってしまいます)

・子育て世代や住宅ローン返済中で出費が多い

・家族に経済的な負担をかけたくないと考えている

● 医療保険が必ずしも必要でない人の例

・20代や30代の健康な人で、入院リスクが低いと考えられる

・貯蓄があり自己資金でカバーできる

・勤務する会社の福利厚生制度による保障が充実している

・独身のため扶養する家族がいない

医療保険はすべての人にとって絶対に必要なものではなく、自分の状況や置かれている環境、家計のリスク耐性などによって必要度が変わるといえます。

4.医療保険に加入する前に確認しておきたいポイント

医療保険に加入するなら、最低限次のポイントをチェックしておきましょう。

●入院給付金日額はいくら必要か?

●退院後の通院、先進医療、がん治療の保障も必要か?

●保障期間は終身型それとも 定期型か?

5.保険以外の備えも選択肢に

もし、ある程度の貯蓄があるのなら、「医療保険には入らず、その分を運用に回して資金を増やす」という選択もあります。

保険は「もしもの時にしか使えないお金」、貯蓄は「いつでも使えるお金」と考えることもできます。

この違いをよく意識して、バランスよく備えることが大切です。

6.まとめ

以上、「医療保険は本当に必要?」迷ったときの判断基準について解説しました。

結論としては、「自分次第」が正解です。

医療保険に加入していれば、もしものときに備えることができるので安心ですが、誰にとっても絶対に必要なものだとは言い切れません。

「自分のリスクは何か?」「備えは足りているか?」を見つめ直し、自分にとって必要な保障を得ることが大切です。

2025.7.18.

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生命保険

20代に生命保険は必要? 加入するべき人・いらない人

「自分はまだ若いから生命保険には無理に加入したくない、でも何かあったら不安」と思っている20代の人は多いでしょう。

「20代に生命保険が必要なのか?」を考えるにあたっては、自分が置かれている状況を把握して、生命保険に加入することのメリット・デメリットをよく検討することが大切です。

ここでは、20代の人で生命保険が必要と考えられるケース、すぐには必要とは考えられないケース、加入するメリット・デメリット、検討のチェックポイントについて解説しています。

「20代に生命保険が必要なのか?」について、自分なりの結論を導き出すことができるはずです。

1. 20代で生命保険の加入を考える人が増えている背景

20代には、就職や結婚、出産などいろいろなライフイベントがあります。

生命保険の営業パーソンやSNSからは「生命保険は若いうちに入った方がいいよ」と言われ、気になっている人も多いでしょう。

20代で生命保険は必要なのでしょうか?

その疑問を解決するためのポイントについて見ていきます。

2. そもそも生命保険とは? 加入目的と種類

「生命保険の加入=死亡時のため」だけではありません。

そもそも生命保険とはどのようなものなのでしょうか?

まずは生命保険の加入目的と種類について見てみましょう。

●死亡保障

生命保険の加入目的で、最も基本といえるものが死亡保障です。

自分にもしものことがあったときに備えて、家族の生活保障のために加入します。

●医療保障

医療保障という加入目的もあります。

病気やケガで入院や手術をしたときの医療費に備えます。

医療費が高額になり、公的医療保険だけでは不足する分を保険金(給付金)でカバーすることができれば安心です。

●就業不能保障

入院や療養が長期化して思うように働くことができず、収入が減少してしまった場合に備えて加入します。

収入が減っても生活費や教育費などの支出は減りません。

減少した収入分を保険金でカバーします。

●老後生活保障

もはや公的年金のみで老後の生活資金を賄うことは難しく、人生100年時代の長生きに生命保険で備えます。

●介護保障

超高齢化社会を迎え、認知症などにより介護が必要になる人が急増しています。

介護には多額なお金がかかり、公的介護保険だけでは不足する分を保険金で補います。

3. 20代に生命保険が必要なケース

20代に生命保険が必要とされる代表的なケースを3つご紹介します。

結婚して扶養家族がいる

結婚して家庭を持ち、扶養家族となる配偶者や子どもがいれば、自分にもしものことがあった場合に備えて、家族のために生命保険に加入する必要があるでしょう。

家族を養う立場にあれば、生命保険に加入するのは、大黒柱としての責任といえます。

仕事が自営業・フリーランス

自営業者やフリーランスの場合、会社員や公務員に比べて、公的保障は少なくなっています。

例えば、会社員や公務員の公的年金は国民年金と厚生年金の2階建てであるのに対して、自営業者やフリーランスは国民年金のみです。

また、ケガや病気で働くことができないときに支給される傷病手当金は、会社員や公務員は受給することができますが、自営業者やフリーランスは受給することはできません。

公的保障で不足する分については、生命保険などで備える必要があります。

親を扶養している、または家計を支えている

20代でも自分の働いた収入で親を扶養したり、実家の家計を支えている人がいます。

そのような人にもしものことがあると、収入が途絶えてしまい、扶養されている親や家族が生活できなくなってしまいます。

残された親や家族の生活を守るために生命保険は必要不可欠といえます。

4. 20代には生命保険は“必要ない”または“優先度が低い”ケース

では逆に、20代には生命保険は必要ない、優先度が低い、と考えられるケースとして代表的なものを3つご紹介します。

独身または扶養家族がいない

独身である、または結婚はしていても配偶者も働いていて収入があり、扶養家族がいない場合には、すぐに生命保険に加入する必要はないでしょう。

自分にもしものことがあっても、残された家族が生活できなくなるとは考えにくいからです。

貯蓄がある

病気やケガによる入院や手術で医療費がかかったとしても、それをカバーできるだけの貯蓄があれば、生命保険に加入する必要はないでしょう。

必要な保障は確保されているため、保険料の支払いが無駄になります。

勤務先の福利厚生制度に十分な医療保障がある

勤務先の福利厚生制度が充実しており、そこから必要な保障が受けられるのであれば、無理に生命保険に加入する必要はないでしょう。

保障が重複するような生命保険に加入する必要はありません。

5. 20代で保険に入るメリット・デメリット

では次に20代で生命保険に加入するメリットやデメリットについてみてみましょう。

●メリット

年齢が若いほど保険料が安い

生命保険では、契約する年齢が若ければ若いほど保険料が安くなっています。

将来的には生命保険に加入することを考えており、経済的に余裕があるのであれば、1回あたりの保険料の負担が抑えられますので、加入を検討すると良いでしょう。

持病がないうちに加入することができる

生命保険の保障が必要になる年齢になると、健康状態に問題があり、加入したくても加入できないということが起こり得ます。

持病を持っていると、加入することはできても、保険料が割増になったり、保険金の支払いに特別条件を付けられることがあります。

20代でまだ持病がない時であれば、生命保険に加入しやすいので、検討してみると良いでしょう。

将来設計の土台になる

終身保険であれば、保障だけでなく貯蓄も準備することができます。

保障は一生涯続きますし、途中で資金が必要になった場合には、契約を解約すれば解約返戻金を受け取ることができます。

保障と貯蓄を同時に準備し、将来設計の土台にすることができます。

●デメリット

保険料の支払いが家計の負担になることも

若いうちは保険料が安いとはいえ、毎月や毎年の継続的な支出になります。

若いうちはまだ収入も少ないので、その中で支出や貯蓄を上手くやり繰りしなければなりません。

保険料の負担が家計を圧迫するようなことは絶対に避けましょう。

ライフステージがいろいろと変化する

20代は結婚、出産、転職などライフステージがいろいろと変化します。

生命保険に加入して必要な保障を得るには、ライフステージに応じて保障内容を見直す必要があります。

まずは必要最低限の保障内容での加入を検討してみると良いでしょう。

6. 生命保険に加入するか迷っている20代に向けたチェックポイント

それでは最後に、今すぐに生命保険に加入する必要があるのか迷っている20代の人に向けて、答えを導き出すためのチェックポイントを3つご紹介します。

●自分は家族の生活費を支えているなどの経済的責任がありますか?

 経済的責任があるのであれば、もしものときに備えて加入を検討すべきです。

●緊急時の貯金は十分ありますか?

 十分な貯蓄があるのであれば加入する必要はありませんが、20代で生命保険に頼らなくても良いほどの貯蓄があることはあまりないでしょう。

●勤務先の福利厚生制度ではどこまでカバーしてもらえますか?

 福利厚生制度だけでは必要な保障が得られないのであれば、加入を検討すべきです。

まずは医療保険への加入だけで十分と考えられる場合でも、年齢の経過に応じて段階的な加入を検討する必要はあるでしょう。

7. まとめ

以上、「20代に生命保険が必要なのか?」について解説しました。

結論としては、20代に生命保険が必要かどうかは、状況と目的次第といえます。

20代に生命保険が「必要」「必要ではない」と一律には断言できません。

ご自身のライフプランと照らし合わせて考えることが大切です。

2025.7.16

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生命保険の見直しの着目点

生命保険の見直しを考えるタイミングは、「結婚」「子どもの誕生」「子どもの独立」「定年退職」などのライフイベント発生時と言われています。

人によっていろいろな考え方がありますが、基本的な生命保険の見直しの着目点について、ライフイベントにあわせて見てみましょう。

社会人として独立

社会人として独立したら、生命保険には自分自身で保険料を支払って加入するようにしましょう。

若いうちは保険料が安いので、保険料がずっと変わらないまま、一生涯の保障と貯蓄に備えられる終身保険がおすすめです。

終身保険は、最終的には保険金を受け取ることができ、解約返戻金も保険期間の経過とともに着実に増えていきます。

また、若いうちは病気よりもケガのリスクが高いのですが、公的医療保険の高額療養費制度があるので、医療保険に加入するとしても最低限のシンプルなもので良いと思います。

中年になって生活習慣病のリスクが高まってきたときに見直しをしましょう。

これまで親が保険料を支払ってくれていた生命保険の名義を変更するという方法もありますが、解約返戻金があると贈与税がかかってくる場合があるので注意が必要です。

結婚して子どもが誕生

結婚を機に、必要な保障を検討するようにしましょう。

特に子どもが誕生すると、自分にもしものことがあっても、子どもは大学まで卒業させてやりたいと、高額な死亡保障への加入を検討することが多いです。

無理をしての保険料負担は避けるべきですが、不足する保障額については、定期保険や収入保障保険での対応を考えましょう。

収入保障保険であれば、保障額が右肩下がりの必要保障額と一致しているため、定期保険のように必要保障額に合わせた保険金額の減額が不要であり合理的です。

マイホームの購入

住宅ローンを組む際には、無理のない返済計画を立てるために、家計の無駄をチェックする必要があります。

自分にもしものことがあった場合、以後の住宅ローンの返済は免除されるため、団体信用生命保険にはぜひ加入しましょう。

必要保障額を大きく減らすことができます。

子どもの就職・独立

子どもの教育資金がひと段落したら、夫婦の老後生活資金のことを考える必要があります。

子どもが独立すれば必要保障額は減るので、超過する保障を解約し、浮いた保険料分のお金を他の金融商品で運用して、老後生活資金を蓄積していきましょう。

特に妻の場合は、夫と死別後も10年以上独りで生きていかなければならないケースが多いので、相続のことも考慮して、妻名義の金融資産をつくっておくことも大切です。

定年退職後

「自分の葬式代くらいは、自分で準備する」という人が多く、死後の整理資金として、終身保険で200~300万円を備えるということが考えられます。

これには退職金の一部を利用して、一時払終身保険で備えるという方法もあります。

短期間で中途解約をすると元本割れとなるリスクがありますが、以後の利回りは預貯金を上回ることが多いです。

最近は、家族やごく親しい人たちだけで行う「家族葬」や「直葬」などが主流になりつつあり、備える金額はもっと少なくてもよいかもしれません。

終身保険などに特約で医療保障を付けている場合、その医療保障は80歳で終了してしまうケースが多いです。

寿命が延びているので、80歳を超えてからが本当に医療保障を必要とする時期になります。

公的医療保険の高額療養費制度や保有金融資産を考慮する必要がありますが、医療保障を追加する必要がある場合には、保険料を終身払にすれば、終身型の医療保険でも保険料の負担を抑えることができます。

検討してみましょう。

まとめ

ライフイベントに合わせた、基本的な生命保険の見直しの着目点について見てきました。

もちろん、これ以外の見直し時期や見直しの方法もあります。

人それぞれです。

ですが、すすめられるままに生命保険に加入し、ずっと見直しをしないままにしていることが多いので、定期的にチェックすることが大切です。

2024.6.10

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医療保険に加入するときに注意したいこと

病気やケガで入院や手術をすると、医療費として多額な費用がかかることがあります。

もし多額な医療費がかかったとしても、公的医療保険の「高額療養費制度」により、負担を軽減することができます。

しかし、高額療養費制度の対象にならない費用もあります。

これをカバーするのが民間の医療保険の役割です。

では、医療保険に加入するときには、どのようなことに注意点しなければならないのでしょうか?

「高額療養費制度」により医療費の自己負担限度額を超えた金額が戻ります

まず公的医療保険の「高額療養費制度」についてです。

高額療養費制度とは、月の初めから終わりまでの1ヵ月間(4月であれば4月1日~4月30日)にかかった医療費に対して支払う自己負担額が、あらかじめ定められている自己負担限度額を超えた場合に、その超えた部分の金額が戻ってくる、というものです。

注意していただきたいのが、金額は1日から月末で計算するということです。

同じ月であればわかりやすいのですが、例えば4月15日~5月14日まで入院した場合には、高額療養費の計算は、4月15日~4月30日までと5月1日~5月14日までの2つの月に分かれます。

支払った医療費の自己負担額が、総額で自己負担限度額を超えていても、月単位で超えていなければ戻ってきません。

どのくらい戻ってくるのか

ひと月あたりの自己負担限度額は、70歳未満で年収が約370万円~770万円の人の場合、次のように計算します。

ひと月あたりの自己負担限度額 = 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

例えば、かかった総医療費が100万円の場合であれば、この式にあてはめて計算すると、ひと月あたりの自己負担限度額は87,430円となります。

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

70歳未満の人であれば、医療機関の窓口での自己負担額は、原則として、かかった総医療費の3割です。

自己負担額300,000円(1,000,000円×30%=300,000円)のうち、212,570円(300,000円-87,430円=212,570円)が戻ってくることになります。

このように高額療養費制度があるおかげで経済的負担がかなり抑えられます。

「高額療養費制度」の対象にならない費用があります

高額療養費制度の対象になるのは、治療関連費用(入院基本料、手術料、検査料、投薬料など)のうち健康保険診療の範囲内になるものだけです。

「差額ベッド代〈注1〉」や「入院中の食事代」は高額療養費制度の対象外です。

「差額ベッド代」は、1人部屋では8,322円、4人部屋では2,705円〈注2〉というデータがありますが、全額自己負担しなければなりません。

また「入院中の食事代」は、一般的に1食490円(2024年6月現在)ですが、これも全額自己負担しなければなりません。

さらに、その他の諸費用として「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費」、「見舞いに来る家族の交通費」などがかかってきます。

これらの費用についても、全額自己負担しなければなりません。

最近は入院期間が短期化する傾向にあります。

しかし、がん、脳血管疾患、心疾患などの重い病気を患えば、どうしても入院期間は長期化することが考えられます。

もしも入院期間が長期化してしまった場合には、このような自己負担しなければならない費用がかさみ、多額の経済的負担がのしかかってきます。

〈注1〉差額ベッド代

 6人部屋などの一般病室に対して、1~4人の「特別療養環境室」に入室したときに  
 かかる費用。部屋の人数により異なり、1人部屋が最も高額。

〈注2〉出典

 厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」令和4年7
 月1日現在 

医療保険は高額療養費制度の対象にならない費用を目安に加入しましょう

高額療養費制度の対象にならない費用については民間の医療保険で備えましょう。

なお、医療保険の加入にあたっては、「入院給付金日額をいくらにするか?」ということがベースになります。

保険料を必要以上に支払わないためにも、これまで説明した高額療養費制度の対象にならない費用を目安にして、入院給付金日額の設定をすることが大切です。

実際の設定にあたっては、その人の年収や入院する病室の希望など個人によって内容が異なってきますので、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談するとよいでしょう。

がん治療などの「先進医療」には医療保険の特約で備える

現在は2人に1人が、がんにかかる時代といわれています。

がんの治療で用いられる陽子線治療などの「先進医療」にかかる費用は、高額になるものの、高額療養費制度の対象外のため、全額自己負担しなければなりません。

先進医療にかかる費用については、医療保険の特約により、安い保険料で備えることができますので、加入をおすすめしまう。

まとめ

以上、医療保険に加入するときの注意点について見てきました。

多くの人が、すでになんらかの医療保険に加入されています。

民間の医療保険で備えたいのは、高額療養費制度の対象にならない費用です。

具体的には、「医療費の自己負担部分(70歳未満の人であれば原則3割)」「差額ベッド代」「入院中の食事代」「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費、見舞いに来る家族の交通費など」「先進医療にかかる費用」などです。

どのくらいの金額を想定しておけばよいのかを計算し、1日あたりに必要な入院給付金日額を設定します。

現在加入している医療保険が必要以上の保障を付けていて、保険料を払い過ぎていないか、ぜひ確認してみてください。

2024.6.9

カテゴリー
生命保険

妻が受け取れる遺族厚生年金は2,400万円! シニアには生命保険は不要?

会社員であった夫が亡くなると国の公的年金制度から遺族年金を受け取ることができます。

遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2つがあります。

遺族年金は残された遺族の生活費として支給されます。

一方で、遺族の生活費を保障するものに生命保険があります。

では、遺族年金がもらえるのなら生命保険はいらないのでしょうか?

1.遺族年金とは

遺族年金とは、一家の働き手などが亡くなったときに、国の公的年金制度から遺族に給付される年金です。

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがあります。

20歳以上60歳未満のすべての国民は国民年金に加入します。

企業等に勤務する人や公務員は、国民年金の上乗せとして厚生年金に加入します。

「遺族基礎年金」は国民年金からの給付の1つであり、「遺族厚生年金」は厚生年金からの給付の1つです。

 国民年金厚生年金
老齢給付老齢基礎年金 付加年金老齢厚生年金
障害給付障害基礎年金障害厚生年金 障害手当金
遺族給付遺族基礎年金 寡婦年金  死亡一時金遺族厚生年金

それでは「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」についてくわしく見ていきましょう。

なお、遺族年金には細かい規定が定められており、そこまで説明すると複雑になるので、ここでは原則部分を説明します。

(1)遺族基礎年金とは

遺族基礎年金は、受給要件を満たしている場合、死亡した人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。

遺族基礎年金は子どもがいないと受け取ることができないのです。

しかもここでいう子とは、18歳になった年度の3月31日までになります。

このように遺族基礎年金の受け取りは限定的なのです。

なお、子どもが複数いる場合には人数に応じた加算があります。

(2)遺族厚生年金とは

一方の遺族厚生年金は、受給要件を満たしている厚生年金の加入者や受給権者、受給者が死亡した場合に、その人によって生計を維持されていた妻、子や孫などが受け取ることができます。

遺族厚生年金は遺族基礎年金とは異なり、子どもがいない配偶者も受け取ることができます。

遺族厚生年金の受給年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。

計算式で示すとこのようになります。

年金額=(①2003(平成15)年3月までの被保険者期間分+②2003(平成15)年4月以降の被保険者期間分)×4分の3

①の計算式=平均標準報酬月額×1,000分の7.125×被保険者期間の月数(2003(平成15)年3月まで)

②の計算式=平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数(2003(平成15)年4月以降)

おおまかに言うと、平均標準報酬月額とは、厚生年金の被保険者期間の平均月収で、ボーナスも加味したものが平均標準報酬額です。

平均標準報酬月額と平均標準報酬額については、別途正式な算出方法が定められています。

なお、所定の受給要件を満たせば、「中高齢寡婦加算」や「経過的寡婦加算」という規定によって、遺族厚生年金の受給年金額が増額されるケースもあります。

2.妻が受け取れる遺族厚生年金の金額

それでは妻が受け取れる遺族厚生年金はどれくらいなのでしょうか?

例として、夫が会社員で、同い年の妻が専業主婦として扶養されており、子どもは独立済みというケースで見てみましょう。

夫は会社員なので国民年金と厚生年金に加入しています。

夫の死亡により、国民年金からは遺族基礎年金、厚生年金からは遺族厚生年金の支給が考えられます。

しかし子どもはすでに独立済みなので、遺族基礎年金の支給はありません。

妻には遺族厚生年金のみの支給となります。

受給できる年金額は、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。

計算式で示すとこのようになります。

年金額=(①2003(平成15)年3月までの被保険者期間分+②2003(平成15)年4月以降の被保険者期間分)×4分の3

①の計算式=平均標準報酬月額×1,000分の7.125×被保険者期間の月数(2003(平成15)年3月まで)

②の計算式=平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数(2003(平成15)年4月以降)

ここではわかりやすくするために「②の計算式」のみを用いて、

平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数×4分の3

として計算してみました。

ここに示した数値はイメージをつかんでいただくためのあくまでも目安です。

実際の受給年金額を計算するには、年金事務所に確認してください。

平均標準報酬額厚生年金の被保険者期間
20年25年30年35年40年
300,000円295,974円369,967円443,961円517,954円591,948円
400,000円394,632円493,290円591,948円690,606円789,264円

3.遺族厚生年金がもらえるなら、シニアには生命保険は不要?

先ほどの例の場合で、平均標準報酬額が400,000円で、厚生年金に40年加入していた夫が60歳で亡くなったケースで見てみましょう。

あくまでも目安ですが、妻が受け取れる遺族厚生年金は年額で789,264円です。

妻が90歳まで生きるとすると60歳から90歳までの30年間、毎年約80万円の遺族厚生年金が受け取れます。

受取総額は80万円×30年間で2,400万円です。

妻は65歳になれば自分の年金として、国民年金から老齢基礎年金がもらえます。

2024(令和6)年度の老齢基礎年金の年額は満額で約80万円です。

妻は65歳から90歳までの25年間、毎年80万円の老齢基礎年金がもらえるとすると、受取総額は80万円×25年間で2,000万円となります。

夫の遺族厚生年金2,400万円と妻自身の老齢基礎年金2,000万円を合計すれば4,400万円です。

夫の残した金融資産、例えば退職金などが1,000万円あるとすると合計で5,400万円となります。

この5,400万円を60歳から90歳までの30年間(360ヵ月)の生活費にあてるとすると、

5,400万円÷360ヵ月で、毎月15万円となります。

つまりこのケースでは、毎月の生活費が15万円までであれば、生命保険に加入する必要はないということになります。

しかし、実際には夫の残した全財産や妻自身の貯蓄、妻の老後のライフプランによって、生活するために必要な金額は変動します。

シニア世代になって、生命保険にはいくら加入しておけばいいのかを考える際には、遺族厚生年金のことも必ず考慮する必要があります。

2024.6.8

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生命保険

私が認知症になったら、保険金の請求はどうすればいいの?

厚生労働省の調査では、2025年には65歳以上の人のうち、およそ5人に1人が認知症を患うという結果が出ています。

保険に加入していても、認知症を患い、肝心なときに保険金の請求ができないということも起こり得ます。

そのための対策について調べてみました。

●家族などが自分に代わって保険の手続きができる制度

保険金は保険会社に対して請求をしなければ受け取ることができません。

保険に加入していても、認知症などにより保険金の請求ができないということが考えられます。

そこで「家族などが自分に代わって保険の手続きをすることができないか」ということになるのですが、頼りになる制度が3つあります。

「指定代理請求制度」「家族情報登録制度」「保険契約者代理制度」です。

いずれの制度も、契約者や被保険者に判断能力があるうちに手続きをしなければなりません。

それぞれの制度について、家族などが代行できることを簡単にまとめると次のようになります。

 契約内容照会保険金請求解約
指定代理請求制度×
家族情報登録制度××
保険契約者代理制度

指定代理請求制度

保険金請求をする意思表示ができなかったり、病名や余命の告知を受けていないなどの特別な事情がある場合に、契約者が家族などのあらかじめ指定した代理人が、被保険者に代わって、契約内容照会や保険金請求ができる制度です。

契約者は被保険者から同意を得る必要があります。

家族情報登録制度

事前に同意を得て、家族の連絡先を登録しておく制度です。

契約者本人と連絡がとれない場合などに、生命保険会社が登録されている人に対して、契約者の連絡先などの確認を行う制度です。

これによって保険金請求もれを防止することができます。

なお、保険金受取人に代わって保険金請求をすることはできません。

保険契約者代理制度

契約者が意思表示できない場合などに、あらかじめ指定された家族などの代理人が、契約者に代わって、契約内容照会、住所変更、保険金請求、解約などの手続きをすることができる制度です。

●家族の保険契約の有無を確認できる「生命保険契約照会制度」

家族の判断能力が低下してしまった場合や死亡した場合に、その人が保険契約者または被保険者になっている生命保険契約の有無を確認できる制度です。

生命保険協会が運営しています。

1名につき3,000円の利用料がかかるほか、公的書類や医師の診断書などが必要になります。

この制度を利用することにより、生命保険協会に加盟している全生命保険会社において、生命保険契約の有無を確認することができます。

もし自分が認知症などにより意思表示ができなくなってしまっても、せっかく加入している保険が無駄にならないよう、健康な今のうちから利用できる制度をおさえてきましょう。

制度を利用したいと思ったら、早速生命保険会社に問い合わせてみましょう。

2024.3.23

カテゴリー
生命保険

生命保険を活用した相続対策③ 遺産分割対策

『相続対策として考えなければならない3つのテーマ』のうち、3つ目のテーマ「生命保険を活用した相続対策③ 遺産分割対策」です。

財産が少なくても、相続人が2人以上いれば、相続が「争族」になる可能性があります。

特に財産のほとんどが分割しにくい不動産だけといった場合には、円満な遺産分割対策が求められます。

生命保険を活用すれば、円満な遺産分割が可能です。

自分の意思で死亡保険金受取人や保険金受取割合を決められる

生命保険では、死亡保険金受取人や保険金受取割合を、契約者本人の意思で生前に決められるので、円満な遺産分割に役立てることができます。

自分の死亡保険金を「誰に」、「いくら渡すのか」を自分の意思で生前に決めることができるわけです。

死亡保険金は原則として受取人の固有財産とされるため、遺産分割協議の対象外となります。

自分の死亡保険金を残したい人に渡すことができるのです。

なお、死亡保険金受取人や保険金受取割合は契約後でも変更することが可能です。

円満な遺産分割のためには法定相続分や遺留分に注意

例えば、父の相続財産が自宅と現金しかなく、相続人が長男、長女、二男の3人というケースで考えてみましょう。

やはり自宅を売却して、その売却金と現金の合計を3分割しなければならないのでしょうか?

このような場合には死亡保険金を上手く活用することで、自宅を売却せずに、円満に遺産分割を行うことが可能です。

【代償分割】

円満な遺産分割を行うための方法のひとつに「代償分割」があります。

中心的に財産を相続する必要のある相続人(長男など)が、いったん代表して相続財産をすべて相続します。

その後、代表となった相続人が、自身の財産から、他の相続人に対して、本来相続すべき分の財産を渡すことにより遺産分割を行うという方法です。

代償分割は遺産分割の一形態であり、相続人の間で渡される代償財産は贈与にはなりません。

代償財産とする現金を生命保険で準備するのです。

ただし、どのように分割を行えばよいかについては、法定相続分(遺産分割を行う際に法律で定められている、各相続人の相続財産の取得割合)や遺留分(遺産分割を行う際に法律で定められている、各相続人に最低限保証されている、相続財産の取得割合)の問題があります。

トラブルを避けるために、弁護士などの専門家に相談しながら行うことが大切です。

このように生命保険は、円満な遺産分割に役立つことができるのです。

2023.4.21