配偶者や子どもなどの法定相続人がいない、いわゆる「おひとりさま」は、自分が亡くなったあとの財産の行き先や手続きについて、特有の不安を抱えがちです。
解決手段のひとつとされているのが、生命保険を活用して「大切な人に確実にお金を届ける」という方法です。
おひとりさまが生命保険を活用するメリットと保険金受取人を指定する際の注意点や対策についてわかりやすく解説します。
おひとりさまの「想いを形にするための手段」のひとつとして、重要なポイントをチェックしてみてください。
1.おひとりさまが生命保険を活用するメリット
生命保険では、被保険者(生命保険の対象として保険がかけられている人)が亡くなると受取人として指定した人に、死亡保険金が直接支払われます。
そのため、次のようなメリットがあります。
●のこしたい人に確実に資金を残せる
●原則として遺産分割協議の対象外であり、保険金請求書類が保険会社に到着後1週間程度で、速やかに現金で受け取れる。
●相続税における死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用できる(一定の要件を満たした場合)
特に、おひとりさまは法定相続人がいないため、財産が最終的に国庫に帰属するリスクもあり、生命保険は自分の財産を、自分の意思に沿って引き継いでもらうための有効な手段となります。
2.死亡保険金受取人に指定できる人
死亡保険金受取人の範囲は、一般的には被保険者の配偶者および1親等・2親等の血族(親、子、孫、兄弟姉妹、祖父母)です。
ただし保険会社によっては、3親等内の血族(叔父、叔母、甥、姪など)や、一定の条件を満たす場合に事実婚や同性パートナーを受取人に指定できる場合もあります。
また、死亡保険金受取人は契約時に必ず指定しなければなりませんが、途中で変更することもできます。
3.信頼できる人を受取人にする
おひとりさまが死亡保険金受取人を指定する際には、「信頼できる人」がいるかどうかが大きなポイントになります。
受取人になる人とは生前によく話し合って意思疎通をしておく必要があります。
4.遺言書や信託契約との併用
死亡保険金受取人は、保険会社が指定する範囲内で決めなければなりません。
もし希望する人を死亡保険金受取人にできない場合には、遺言書や信託契約を活用します。
(1)遺言書
遺言書は相続人でない人にも財産をのこすことができますが、作成する際に必ず守らなければならないルールがあり、このルールが守られていない遺言書は無効になります。
代表的な遺言書として「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があります。
(2)信託契約
信託契約とは、「委託者」が自分の財産を信頼できる「受託者」に託し、「受託者」は「委託者」の意思に沿って、その財産を「受益者」のために管理・運用・処分する契約です。
5.まとめ
人生の最終章を迎えるにあたり、誰に、どのように自分の財産を託すかは大きなテーマです。
おひとりさまだからこそ、「想い」を形にできる手段として、生命保険の活用をぜひ検討してみてください。
2025.8.10