金利上昇の影響から、資産形成手段のひとつとして変額保険に関心を持つ人が増えています。
「そもそも変額保険って何?」「メリット・デメリットは?」などの疑問を解消するために変額保険の重要ポイントについて解説しています。
変額保険はすべての人におすすめできる商品ではありません。
「自分は変額保険に向いているのか? いないのか?」
加入しなければ良かったと後悔しないためにも、加入前にこれだけは必ずチェックしてください!
1. 変額保険とは、保険と投資を組み合わせた商品
変額保険は、保険(保障機能)と投資(資産運用機能)を兼ね備えた商品です。
保険料の一部が投資信託などで運用されるため、運用実績によって将来受け取る保険金や解約返戻金が変動します。
受取額が増える可能性がある一方で、元本割れのリスクも伴います。
保険でありながら「運用実績によって受け取る金額が増減する」という投資の側面を持つのが特徴です。
主に老後資金や資産形成を目的とする人に検討されています。
2.変額保険のメリット
変額保険の最大のメリットは、資産形成の可能性です。
運用実績によって受け取る金額が変動するため、インフレや金利上昇に強いという特性があります。
また、税制優遇もあるため、長期的な資産運用に適しています。
(1) 資産運用による資産の増加が期待できる
市場が好調であれば、運用益によって保険金や解約返戻金が大きくなり、将来の受取額を増やせる可能性があります。
(2) 死亡保障がある
投資信託と異なり、もしもの時には死亡保険金が支払われるため、遺族保障としても機能します。
なお、運用実績にかかわらず、死亡保険金額は最低保証されることが多いです。
(3) 長期運用で複利効果が期待できる
保険料を一定期間支払うことにより、長期的な複利運用が可能であり、資産形成としての魅力があります。
(4)インフレ対策になる場合も
物価上昇に連動する運用先に投資できることから、インフレヘッジにもなりえます。
(5)相続対策としても活用できる
所定の要件を満たせば、死亡保険金には相続税の非課税額の特典が適用できるため、一定の節税効果が期待できます。
3.変額保険のデメリット
変額保険には多くのメリットがありますが、デメリットやリスクも存在します。
特に元本割れのリスクや手数料の負担については、加入前にしっかり理解しておく必要があります。
(1)元本保証がない
変額保険の最大のデメリットは、元本割れのリスクです。
運用実績が悪化すると、保険金や解約返戻金が減少する可能性があります。
このリスクを軽減するためには、運用先の選定や分散投資を行うことが重要です。
また、長期的な視点で運用することもリスクヘッジにつながります。
特に投資の経験がない人や経験が浅い人にとっては注意が必要です。
(2)手数料が高め
運用にかかる信託報酬、保険会社の管理費用など、見えづらいコストが複数発生します。
(3)商品が複雑でわかりにくい
投資先の選定や運用の仕組みが複雑なので、仕組みを理解せずに加入すると失敗のもとになります。
(4)解約返戻金が少ない可能性も
中途解約を行うと、解約返戻金が減少することがあります。
特に契約してから数年間は、解約返戻金が元本を大きく下回ることもあるため、短期解約には特に注意が必要です。
4.変額保険に向いている人・向いていない人
変額保険が自分に合っているかどうかを判断するためには、リスク許容度や資産形成の目的を考慮する必要があります。
(1)変額保険に向いている人
●長期的な資産形成を考えている人
●一定の資産運用リスクを許容できる人
●保険(保障機能)と投資(資産運用機能)を一つにまとめたい人
●相続対策を視野に入れている人
(2)変額保険に向いていない人
●元本保証を重視する人
●安定した資産運用を求める(運用や投資に不安がある)人
●短期的な資産運用を考えている人
●複雑な仕組みや手数料の負担が気になる人
5.他の保険・金融商品との比較
変額保険は、他の資産運用商品と比較してどのような位置づけにあるのでしょうか?
終身保険、投資信託と比較し、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。
商品 | 死亡保障 | 元本保証 | 運用機能 | 税制優遇 |
変額保険 | 〇 | × | 〇 | 相続税の非課税特典あり |
終身保険 | 〇 | △ | △ | 相続税の非課税特典あり |
投資信託 | × | × | 〇 | NISAなどで 優遇あり |
NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)は元本保証ではありませんが、負担する手数料が低く運用効率が高いのが特徴です。
変額保険との併用を検討してもよいでしょう。
6.よくある誤解と注意点
変額保険に加入する前に、必ずおさえておいていただきたいポイントがあります。
●「変額保険は投資だから絶対に資産が増える」というのは誤解であり、むしろ資産が減る可能性もあるため、リスクのある保険です。
●「最低保証されている保障があるから安心」と思って運用リスクを軽視するのは危険です。
●途中解約を繰り返すと、大きく損をする場合もあります。
7.まとめ
以上、変額保険のメリット・デメリット、向いている人・向いていない人などについて解説しました。
変額保険は、保険機能と投資機能を組み合わせたハイブリッド型の商品です。
メリットも多く魅力的に見えますが、リスクやコストも十分に理解しておく必要があります。
自分のライフプランやリスク許容度を考慮し、メリット・デメリットをしっかり理解した上で選ぶことが大切です。
2025.8.2