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生命保険

相続対策に効く!贈与と生命保険を組み合わせた活用法

相続対策を考える際、多くの人が「生前贈与」や「生命保険」の活用を検討します。

実は、この2つを組み合わせることで、相続税の負担を抑えつつスムーズに財産を承継できる可能性が広がるのです。

「相続対策における、贈与と生命保険を組み合わせた活用法」についてやさしく解説しました。

最後まで読んでいただければ、相続対策のお役に立てる内容です。

●相続対策における贈与の基本

贈与とは、贈与者と受贈者の間で、「あげる」「もらう」という契約を締結して、物などが無償で移転することです。

贈与のうち、贈与者が生きているうちに、家族などの受贈者に財産を継承するのが「生前贈与」です。

生前贈与は相続対策の王道といわれています。

なぜなら、生きているうちに財産の一部を家族などに贈与して、相続財産を減らしておけば、相続税がかからなくなるか、負担を軽減することができるからです。

生前贈与で非課税となる方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税制度」の2種類があります。

暦年課税

年間110万円までの基礎控除があります。

毎年コツコツと贈与することで相続財産を計画的に減らすことができ、相続税の負担を軽減することができます。

ただし、贈与契約書を作成しなければならないなど、贈与として認められるための対応が必要です。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度では、最終的には相続税で精算されますが、贈与税の課税対象となる財産のうち、年間110万円の基礎控除を除いた累計2,500万円まで贈与税がかかりません(2,500万円を超えた分には20%の贈与税がかかります)。

なお、この制度を一度選択すると暦年課税に戻すことはできませんので注意が必要です。

●贈与と生命保険の組み合わせ方

贈与と生命保険をうまく組み合わせることで、より効果的な相続対策が可能になります。

たとえば次のような流れになります。

  1. 親が子どもに資金を贈与する
  2. その資金を使って、子ども(契約者・保険料負担者)が親(被保険者)の生命保険に加入する
  3. 親の死亡時に子どもが保険金を受け取る

この場合の契約形態は、契約者=子ども、被保険者=親、死亡保険金受取人=子どもとなり、子どもが受け取った死亡保険金には一時所得として所得税・住民税が課税されます。

相続税の非課税の特典(500万円×法定相続人の数)は適用することはできません。

なお、課税される一時所得の金額は次のように計算します。

課税される金額=(死亡保険金-支払った保険料-特別控除額50万円)÷2

たとえば、一時払終身保険に加入した場合、高齢者であれば死亡保険金と支払った保険料との差額が少なく、さらに特別控除額50万円を控除すれば、課税される金額がゼロになることが十分に考えられます。

まとまった資金の贈与により相続財産を大きく減らすことができ、子どもは死亡保険金を受け取ることで資産を継承し、また相続税の納税資金を確保することができます。

●贈与×生命保険のメリット

相続対策として、贈与と生命保険を組み合わせて活用するメリットについてまとめてみました。

・相続財産を減らしつつ、将来の保障を準備できる

・死亡保険金に一時所得の課税の特典を活用できる

・死亡保険金受取人を指定できるため「争族」防止に有効

・速やかに現金化できるため、遺族の生活資金や相続税の納税資金を確保できる

●注意点・デメリット

メリットと合わせて注意点やデメリットについても確認しておきましょう。

・契約形態を誤ると「贈与税」「相続税」の二重課税になるリスクがある

・健康状態によっては生命保険の加入が難しいことがある(加入できても保険料が割増になったり、保険金支払いに条件が付くことがある)

・保険料を一括で支払う場合、多額の資金が必要となり、手元の資金がなくなる恐れがある

・保険料贈与においては、贈与事実の心証が得られないと、税務署から贈与を否認される恐れがある

・相続人への贈与では、相続税の計算において、贈与した財産が相続財産に持ち戻されるので注意が必要

●まとめ

以上、「相続対策における、贈与と生命保険を組み合わせた活用法」について解説しました。

贈与と生命保険は、それぞれ単独でも相続対策として有効ですが、2つを組み合わせることでより大きな効果を発揮します。

ただし、契約形態や課税関係の理解を誤ると、逆に税負担が増える恐れもあります。

実行にあたっては、必ず専門家(FPや税理士など)に相談しながら最適なプランを検討することが大切です。

2025.9.17