『相続対策として考えなければならない3つのテーマ』のうち、3つ目のテーマ「生命保険を活用した相続対策③ 遺産分割対策」です。
財産が少なくても、相続人が2人以上いれば、相続が「争族」になる可能性があります。
特に財産のほとんどが分割しにくい不動産だけといった場合には、円満な遺産分割対策が求められます。
生命保険を活用すれば、円満な遺産分割が可能です。
自分の意思で死亡保険金受取人や保険金受取割合を決められる
生命保険では、死亡保険金受取人や保険金受取割合を、契約者本人の意思で生前に決められるので、円満な遺産分割に役立てることができます。
自分の死亡保険金を「誰に」、「いくら渡すのか」を自分の意思で生前に決めることができるわけです。
死亡保険金は原則として受取人の固有財産とされるため、遺産分割協議の対象外となります。
自分の死亡保険金を残したい人に渡すことができるのです。
なお、死亡保険金受取人や保険金受取割合は契約後でも変更することが可能です。
円満な遺産分割のためには法定相続分や遺留分に注意
例えば、父の相続財産が自宅と現金しかなく、相続人が長男、長女、二男の3人というケースで考えてみましょう。
やはり自宅を売却して、その売却金と現金の合計を3分割しなければならないのでしょうか?
このような場合には死亡保険金を上手く活用することで、自宅を売却せずに、円満に遺産分割を行うことが可能です。
【代償分割】
円満な遺産分割を行うための方法のひとつに「代償分割」があります。
中心的に財産を相続する必要のある相続人(長男など)が、いったん代表して相続財産をすべて相続します。
その後、代表となった相続人が、自身の財産から、他の相続人に対して、本来相続すべき分の財産を渡すことにより遺産分割を行うという方法です。
代償分割は遺産分割の一形態であり、相続人の間で渡される代償財産は贈与にはなりません。
代償財産とする現金を生命保険で準備するのです。
ただし、どのように分割を行えばよいかについては、法定相続分(遺産分割を行う際に法律で定められている、各相続人の相続財産の取得割合)や遺留分(遺産分割を行う際に法律で定められている、各相続人に最低限保証されている、相続財産の取得割合)の問題があります。
トラブルを避けるために、弁護士などの専門家に相談しながら行うことが大切です。
このように生命保険は、円満な遺産分割に役立つことができるのです。
2023.4.21