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生命保険

生命保険の見直しの着目点

生命保険の見直しを考えるタイミングは、「結婚」「子どもの誕生」「子どもの独立」「定年退職」などのライフイベント発生時と言われています。

人によっていろいろな考え方がありますが、基本的な生命保険の見直しの着目点について、ライフイベントにあわせて見てみましょう。

社会人として独立

社会人として独立したら、生命保険には自分自身で保険料を支払って加入するようにしましょう。

若いうちは保険料が安いので、保険料がずっと変わらないまま、一生涯の保障と貯蓄に備えられる終身保険がおすすめです。

終身保険は、最終的には保険金を受け取ることができ、解約返戻金も保険期間の経過とともに着実に増えていきます。

また、若いうちは病気よりもケガのリスクが高いのですが、公的医療保険の高額療養費制度があるので、医療保険に加入するとしても最低限のシンプルなもので良いと思います。

中年になって生活習慣病のリスクが高まってきたときに見直しをしましょう。

これまで親が保険料を支払ってくれていた生命保険の名義を変更するという方法もありますが、解約返戻金があると贈与税がかかってくる場合があるので注意が必要です。

結婚して子どもが誕生

結婚を機に、必要な保障を検討するようにしましょう。

特に子どもが誕生すると、自分にもしものことがあっても、子どもは大学まで卒業させてやりたいと、高額な死亡保障への加入を検討することが多いです。

無理をしての保険料負担は避けるべきですが、不足する保障額については、定期保険や収入保障保険での対応を考えましょう。

収入保障保険であれば、保障額が右肩下がりの必要保障額と一致しているため、定期保険のように必要保障額に合わせた保険金額の減額が不要であり合理的です。

マイホームの購入

住宅ローンを組む際には、無理のない返済計画を立てるために、家計の無駄をチェックする必要があります。

自分にもしものことがあった場合、以後の住宅ローンの返済は免除されるため、団体信用生命保険にはぜひ加入しましょう。

必要保障額を大きく減らすことができます。

子どもの就職・独立

子どもの教育資金がひと段落したら、夫婦の老後生活資金のことを考える必要があります。

子どもが独立すれば必要保障額は減るので、超過する保障を解約し、浮いた保険料分のお金を他の金融商品で運用して、老後生活資金を蓄積していきましょう。

特に妻の場合は、夫と死別後も10年以上独りで生きていかなければならないケースが多いので、相続のことも考慮して、妻名義の金融資産をつくっておくことも大切です。

定年退職後

「自分の葬式代くらいは、自分で準備する」という人が多く、死後の整理資金として、終身保険で200~300万円を備えるということが考えられます。

これには退職金の一部を利用して、一時払終身保険で備えるという方法もあります。

短期間で中途解約をすると元本割れとなるリスクがありますが、以後の利回りは預貯金を上回ることが多いです。

最近は、家族やごく親しい人たちだけで行う「家族葬」や「直葬」などが主流になりつつあり、備える金額はもっと少なくてもよいかもしれません。

終身保険などに特約で医療保障を付けている場合、その医療保障は80歳で終了してしまうケースが多いです。

寿命が延びているので、80歳を超えてからが本当に医療保障を必要とする時期になります。

公的医療保険の高額療養費制度や保有金融資産を考慮する必要がありますが、医療保障を追加する必要がある場合には、保険料を終身払にすれば、終身型の医療保険でも保険料の負担を抑えることができます。

検討してみましょう。

まとめ

ライフイベントに合わせた、基本的な生命保険の見直しの着目点について見てきました。

もちろん、これ以外の見直し時期や見直しの方法もあります。

人それぞれです。

ですが、すすめられるままに生命保険に加入し、ずっと見直しをしないままにしていることが多いので、定期的にチェックすることが大切です。

2024.6.10

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生命保険

医療保険に加入するときに注意したいこと

病気やケガで入院や手術をすると、医療費として多額な費用がかかることがあります。

もし多額な医療費がかかったとしても、公的医療保険の「高額療養費制度」により、負担を軽減することができます。

しかし、高額療養費制度の対象にならない費用もあります。

これをカバーするのが民間の医療保険の役割です。

では、医療保険に加入するときには、どのようなことに注意点しなければならないのでしょうか?

「高額療養費制度」により医療費の自己負担限度額を超えた金額が戻ります

まず公的医療保険の「高額療養費制度」についてです。

高額療養費制度とは、月の初めから終わりまでの1ヵ月間(4月であれば4月1日~4月30日)にかかった医療費に対して支払う自己負担額が、あらかじめ定められている自己負担限度額を超えた場合に、その超えた部分の金額が戻ってくる、というものです。

注意していただきたいのが、金額は1日から月末で計算するということです。

同じ月であればわかりやすいのですが、例えば4月15日~5月14日まで入院した場合には、高額療養費の計算は、4月15日~4月30日までと5月1日~5月14日までの2つの月に分かれます。

支払った医療費の自己負担額が、総額で自己負担限度額を超えていても、月単位で超えていなければ戻ってきません。

どのくらい戻ってくるのか

ひと月あたりの自己負担限度額は、70歳未満で年収が約370万円~770万円の人の場合、次のように計算します。

ひと月あたりの自己負担限度額 = 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

例えば、かかった総医療費が100万円の場合であれば、この式にあてはめて計算すると、ひと月あたりの自己負担限度額は87,430円となります。

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

70歳未満の人であれば、医療機関の窓口での自己負担額は、原則として、かかった総医療費の3割です。

自己負担額300,000円(1,000,000円×30%=300,000円)のうち、212,570円(300,000円-87,430円=212,570円)が戻ってくることになります。

このように高額療養費制度があるおかげで経済的負担がかなり抑えられます。

「高額療養費制度」の対象にならない費用があります

高額療養費制度の対象になるのは、治療関連費用(入院基本料、手術料、検査料、投薬料など)のうち健康保険診療の範囲内になるものだけです。

「差額ベッド代〈注1〉」や「入院中の食事代」は高額療養費制度の対象外です。

「差額ベッド代」は、1人部屋では8,322円、4人部屋では2,705円〈注2〉というデータがありますが、全額自己負担しなければなりません。

また「入院中の食事代」は、一般的に1食490円(2024年6月現在)ですが、これも全額自己負担しなければなりません。

さらに、その他の諸費用として「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費」、「見舞いに来る家族の交通費」などがかかってきます。

これらの費用についても、全額自己負担しなければなりません。

最近は入院期間が短期化する傾向にあります。

しかし、がん、脳血管疾患、心疾患などの重い病気を患えば、どうしても入院期間は長期化することが考えられます。

もしも入院期間が長期化してしまった場合には、このような自己負担しなければならない費用がかさみ、多額の経済的負担がのしかかってきます。

〈注1〉差額ベッド代

 6人部屋などの一般病室に対して、1~4人の「特別療養環境室」に入室したときに  
 かかる費用。部屋の人数により異なり、1人部屋が最も高額。

〈注2〉出典

 厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」令和4年7
 月1日現在 

医療保険は高額療養費制度の対象にならない費用を目安に加入しましょう

高額療養費制度の対象にならない費用については民間の医療保険で備えましょう。

なお、医療保険の加入にあたっては、「入院給付金日額をいくらにするか?」ということがベースになります。

保険料を必要以上に支払わないためにも、これまで説明した高額療養費制度の対象にならない費用を目安にして、入院給付金日額の設定をすることが大切です。

実際の設定にあたっては、その人の年収や入院する病室の希望など個人によって内容が異なってきますので、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談するとよいでしょう。

がん治療などの「先進医療」には医療保険の特約で備える

現在は2人に1人が、がんにかかる時代といわれています。

がんの治療で用いられる陽子線治療などの「先進医療」にかかる費用は、高額になるものの、高額療養費制度の対象外のため、全額自己負担しなければなりません。

先進医療にかかる費用については、医療保険の特約により、安い保険料で備えることができますので、加入をおすすめしまう。

まとめ

以上、医療保険に加入するときの注意点について見てきました。

多くの人が、すでになんらかの医療保険に加入されています。

民間の医療保険で備えたいのは、高額療養費制度の対象にならない費用です。

具体的には、「医療費の自己負担部分(70歳未満の人であれば原則3割)」「差額ベッド代」「入院中の食事代」「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費、見舞いに来る家族の交通費など」「先進医療にかかる費用」などです。

どのくらいの金額を想定しておけばよいのかを計算し、1日あたりに必要な入院給付金日額を設定します。

現在加入している医療保険が必要以上の保障を付けていて、保険料を払い過ぎていないか、ぜひ確認してみてください。

2024.6.9

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生命保険

妻が受け取れる遺族厚生年金は2,400万円! シニアには生命保険は不要?

会社員であった夫が亡くなると国の公的年金制度から遺族年金を受け取ることができます。

遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2つがあります。

遺族年金は残された遺族の生活費として支給されます。

一方で、遺族の生活費を保障するものに生命保険があります。

では、遺族年金がもらえるのなら生命保険はいらないのでしょうか?

1.遺族年金とは

遺族年金とは、一家の働き手などが亡くなったときに、国の公的年金制度から遺族に給付される年金です。

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがあります。

20歳以上60歳未満のすべての国民は国民年金に加入します。

企業等に勤務する人や公務員は、国民年金の上乗せとして厚生年金に加入します。

「遺族基礎年金」は国民年金からの給付の1つであり、「遺族厚生年金」は厚生年金からの給付の1つです。

 国民年金厚生年金
老齢給付老齢基礎年金 付加年金老齢厚生年金
障害給付障害基礎年金障害厚生年金 障害手当金
遺族給付遺族基礎年金 寡婦年金  死亡一時金遺族厚生年金

それでは「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」についてくわしく見ていきましょう。

なお、遺族年金には細かい規定が定められており、そこまで説明すると複雑になるので、ここでは原則部分を説明します。

(1)遺族基礎年金とは

遺族基礎年金は、受給要件を満たしている場合、死亡した人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。

遺族基礎年金は子どもがいないと受け取ることができないのです。

しかもここでいう子とは、18歳になった年度の3月31日までになります。

このように遺族基礎年金の受け取りは限定的なのです。

なお、子どもが複数いる場合には人数に応じた加算があります。

(2)遺族厚生年金とは

一方の遺族厚生年金は、受給要件を満たしている厚生年金の加入者や受給権者、受給者が死亡した場合に、その人によって生計を維持されていた妻、子や孫などが受け取ることができます。

遺族厚生年金は遺族基礎年金とは異なり、子どもがいない配偶者も受け取ることができます。

遺族厚生年金の受給年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。

計算式で示すとこのようになります。

年金額=(①2003(平成15)年3月までの被保険者期間分+②2003(平成15)年4月以降の被保険者期間分)×4分の3

①の計算式=平均標準報酬月額×1,000分の7.125×被保険者期間の月数(2003(平成15)年3月まで)

②の計算式=平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数(2003(平成15)年4月以降)

おおまかに言うと、平均標準報酬月額とは、厚生年金の被保険者期間の平均月収で、ボーナスも加味したものが平均標準報酬額です。

平均標準報酬月額と平均標準報酬額については、別途正式な算出方法が定められています。

なお、所定の受給要件を満たせば、「中高齢寡婦加算」や「経過的寡婦加算」という規定によって、遺族厚生年金の受給年金額が増額されるケースもあります。

2.妻が受け取れる遺族厚生年金の金額

それでは妻が受け取れる遺族厚生年金はどれくらいなのでしょうか?

例として、夫が会社員で、同い年の妻が専業主婦として扶養されており、子どもは独立済みというケースで見てみましょう。

夫は会社員なので国民年金と厚生年金に加入しています。

夫の死亡により、国民年金からは遺族基礎年金、厚生年金からは遺族厚生年金の支給が考えられます。

しかし子どもはすでに独立済みなので、遺族基礎年金の支給はありません。

妻には遺族厚生年金のみの支給となります。

受給できる年金額は、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。

計算式で示すとこのようになります。

年金額=(①2003(平成15)年3月までの被保険者期間分+②2003(平成15)年4月以降の被保険者期間分)×4分の3

①の計算式=平均標準報酬月額×1,000分の7.125×被保険者期間の月数(2003(平成15)年3月まで)

②の計算式=平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数(2003(平成15)年4月以降)

ここではわかりやすくするために「②の計算式」のみを用いて、

平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数×4分の3

として計算してみました。

ここに示した数値はイメージをつかんでいただくためのあくまでも目安です。

実際の受給年金額を計算するには、年金事務所に確認してください。

平均標準報酬額厚生年金の被保険者期間
20年25年30年35年40年
300,000円295,974円369,967円443,961円517,954円591,948円
400,000円394,632円493,290円591,948円690,606円789,264円

3.遺族厚生年金がもらえるなら、シニアには生命保険は不要?

先ほどの例の場合で、平均標準報酬額が400,000円で、厚生年金に40年加入していた夫が60歳で亡くなったケースで見てみましょう。

あくまでも目安ですが、妻が受け取れる遺族厚生年金は年額で789,264円です。

妻が90歳まで生きるとすると60歳から90歳までの30年間、毎年約80万円の遺族厚生年金が受け取れます。

受取総額は80万円×30年間で2,400万円です。

妻は65歳になれば自分の年金として、国民年金から老齢基礎年金がもらえます。

2024(令和6)年度の老齢基礎年金の年額は満額で約80万円です。

妻は65歳から90歳までの25年間、毎年80万円の老齢基礎年金がもらえるとすると、受取総額は80万円×25年間で2,000万円となります。

夫の遺族厚生年金2,400万円と妻自身の老齢基礎年金2,000万円を合計すれば4,400万円です。

夫の残した金融資産、例えば退職金などが1,000万円あるとすると合計で5,400万円となります。

この5,400万円を60歳から90歳までの30年間(360ヵ月)の生活費にあてるとすると、

5,400万円÷360ヵ月で、毎月15万円となります。

つまりこのケースでは、毎月の生活費が15万円までであれば、生命保険に加入する必要はないということになります。

しかし、実際には夫の残した全財産や妻自身の貯蓄、妻の老後のライフプランによって、生活するために必要な金額は変動します。

シニア世代になって、生命保険にはいくら加入しておけばいいのかを考える際には、遺族厚生年金のことも必ず考慮する必要があります。

2024.6.8

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相続

代表的な2つの遺言書

遺言書にはさまざまな方式があります。

実際によく活用されているのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つです。

これら2つの遺言書の特徴についてまとめてみました。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、財産目録以外すべて自筆で書かなくてはならず、作成にあたり厳格な方式が決まっています。

(財産目録については、パソコンで作成したものや、通帳や登記事項証明書のコピーに署名押印して添付することが可能になりました。)

財産配分など遺言の内容のほか、作成年月日、遺言者の氏名を書いて印鑑(朱肉を使うもの)を押します。

作成日が特定できないもの、印鑑を押していないもの、夫婦連名で作成したものなどは無効です。

遺言書の内容を一部変更している場合、訂正のしかたが決められた方式でないと、その訂正が無効になることがあります。

後々に争い事を起こさないためにも、内容を変更するときは、一部の変更ではなく、全文を書き直しする方がよいです。

なお、原則として自筆証書遺言は家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。

しかし、2020年7月10日よりスタートした「自筆証書遺言書保管制度」を利用することにより、家庭裁判所で検認の手続きは不要になりました。

自筆証書遺言書保管制度

自筆証書遺言書保管制度では、法務局が自筆証書遺言書を保管してくれます。

そして保管の際には、民法で定める自筆証書遺言の方式について外形的な確認(全文、日付および氏名の自書、押印の有無など)を行ってくれます。

なお、遺言の内容についての相談には応じてもらえません。

この制度を利用することで、これまで自筆証書遺言書の問題点であった紛失や偽造、廃棄のおそれがなくなり、家庭裁判所の検認が不要となりました。

保管申請手数料が3,900円かかります。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、原則として公証役場で、法律にくわしい公証人が作成するため形式不備になることはなく、公証役場で保管されるため紛失や偽造、廃棄のおそれがありません。

そのため家庭裁判所の検認が不要となるので、すぐに相続の手続きをすることができます。

一方で、財産目録や登記事項証明書、戸籍謄本、印鑑証明書など、遺言書作成にあたり準備すべき書類がたくさんあります。

さらに遺言書作成当日には証人が2人以上必要です。

公証人に支払う作成手数料は相続財産の価額によって決められており、たとえば3,000万円~1億円以下であれば30,000円~40,000円ほどかかります。

その他にも必要書類の交付手数料や証人手数料などがかかります。

公正証書遺言は自筆証書遺言に比べて厳格であり安心できる反面、費用だけでなく時間がかかることにも注意が必要です。

自筆証書遺言と公正証書遺言の長所・短所

【自筆証書遺言】

〈長 所〉

〇すぐに作成することができる

〇あまり費用がかからない

〇自分ひとりで作成することができる

〈短 所〉

●財産目録を除き、全文を自分で書かなければならない

●形式の不備により無効になることがある

●誰にでも同じ解釈ができる文章でないと争いのもとになる

●紛失や偽造、廃棄のおそれがある

●「自筆証書遺言保管制度」を利用した場合を除き、家庭裁判所での検認が必要とな 
 る

【公正証書遺言】

〈長 所〉

〇法律にくわしい公証人が作成するので、形式が不備になることがない

〇原本が公証役場に保管されるので、紛失や偽造、廃棄のおそれがない

〇家庭裁判所での検認がいらないので、すぐに相続の手続きを開始することができる

〈短 所〉

●準備すべき書類がたくさんある

●公証人に支払う費用が発生する

●証人が2人以上必要となる

まとめ

遺言書を書くことで、実態に合った財産分けが可能になります。

遺言書を書くことは、将来の心配事を未然に防ぎ、書き終わると気持ちもスッキリとして、安心する効果があると考えられます。

「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」それぞれに長所・短所があります。

どちらを選択するのかは、それぞれの長所・短所をふまえて決めましょう。

2024.6.7

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相続

このような人には遺言書が必要

遺言書は「自分の財産を、誰に、どれだけ引き継がせるのか」を書面に残したものです。

遺言書を書くことで、法律によってしばられたものではなく、実態に合った財産分けが可能になります。

遺言書を書くことは、将来の心配事を未然に防ぎ、書き終わると気持ちもスッキリとして、安心する効果があると考えられます。

では遺言書を書いた方がいいのはどのような人なのでしょうか?

「このような人には遺言書が必要」ということで、7つあげてみました。

①元気な人 ②財産が少ない人 ③家族仲が良い人 ④子どものいない人

⑤心配事がある人 ⑥海外に子どもがいる人 ⑦相続人がいない人

それぞれについて見てみましょう。

①元気な人

遺言書では、たとえば自分の介護でお世話になった息子の妻など、民法で定められている相続人以外の人にも自分の財産を贈ることができます。

ただし、遺言書は元気でなければ書けません。

歳をとるほど書きにくくなります。

そしてもし自分が認知症になってしまったら、もう書くことはできません。

②財産が少ない人

相続争いは遺産総額5,000万円以下で相続全体の約3/4を占めています。

意外かもしれませんが、実は財産の少ない人の方が相続争いは多いのです。

③家族仲が良い人

たとえ今は、兄弟姉妹の仲が良くても、それぞれが家族をもつと血縁関係はうすくなり、いずれ兄弟姉妹が気まずくなることも考えられます。

今はどんなに仲が良くても、源頼朝と源義経のように、将来は争うことになるかもしれません。

④子どものいない人

子どものいない人の場合、たとえば夫の相続人は妻と兄弟姉妹というケースが多いようです。

妻が夫の通帳から生活費をおろして使っていた場合、夫の相続が始まると、夫の葬儀費用でも兄弟姉妹の承諾がないとおろせなくなります。

しかし、遺言書があれば兄弟姉妹の承諾は不要です。

兄弟姉妹には遺留分(法律上、最低限相続できる相続分)がありません。

そのため自分の相続人が配偶者と兄弟姉妹のみの場合、遺言書で指定することにより、配偶者に全財産を相続させることができます。

⑤心配事がある人

将来が心配な家族がいる場合には、その人の生活を守るために、遺言書を書いておきましょう。

⑥海外に子どもがいる人

財産の分割にあたり遺産分割協議書を作るときに、相続人が海外に住んでいると、書類の取り寄せに手間や時間がかかります。

手続きをスムーズに進めるためにも遺言書を書いておきましょう。

⑦相続人がいない人

相続人がいない人の財産は国庫に帰属します。

遺言書があれば、お世話になった人たちに自分の財産を贈ることで感謝の気持ちを伝えることができます。

自分が納得のいく相続を行うためにも、このような人にはぜひ遺言書を書くことをおすすめします。

2024.6.6

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生命保険

私が認知症になったら、保険金の請求はどうすればいいの?

厚生労働省の調査では、2025年には65歳以上の人のうち、およそ5人に1人が認知症を患うという結果が出ています。

保険に加入していても、認知症を患い、肝心なときに保険金の請求ができないということも起こり得ます。

そのための対策について調べてみました。

●家族などが自分に代わって保険の手続きができる制度

保険金は保険会社に対して請求をしなければ受け取ることができません。

保険に加入していても、認知症などにより保険金の請求ができないということが考えられます。

そこで「家族などが自分に代わって保険の手続きをすることができないか」ということになるのですが、頼りになる制度が3つあります。

「指定代理請求制度」「家族情報登録制度」「保険契約者代理制度」です。

いずれの制度も、契約者や被保険者に判断能力があるうちに手続きをしなければなりません。

それぞれの制度について、家族などが代行できることを簡単にまとめると次のようになります。

 契約内容照会保険金請求解約
指定代理請求制度×
家族情報登録制度××
保険契約者代理制度

指定代理請求制度

保険金請求をする意思表示ができなかったり、病名や余命の告知を受けていないなどの特別な事情がある場合に、契約者が家族などのあらかじめ指定した代理人が、被保険者に代わって、契約内容照会や保険金請求ができる制度です。

契約者は被保険者から同意を得る必要があります。

家族情報登録制度

事前に同意を得て、家族の連絡先を登録しておく制度です。

契約者本人と連絡がとれない場合などに、生命保険会社が登録されている人に対して、契約者の連絡先などの確認を行う制度です。

これによって保険金請求もれを防止することができます。

なお、保険金受取人に代わって保険金請求をすることはできません。

保険契約者代理制度

契約者が意思表示できない場合などに、あらかじめ指定された家族などの代理人が、契約者に代わって、契約内容照会、住所変更、保険金請求、解約などの手続きをすることができる制度です。

●家族の保険契約の有無を確認できる「生命保険契約照会制度」

家族の判断能力が低下してしまった場合や死亡した場合に、その人が保険契約者または被保険者になっている生命保険契約の有無を確認できる制度です。

生命保険協会が運営しています。

1名につき3,000円の利用料がかかるほか、公的書類や医師の診断書などが必要になります。

この制度を利用することにより、生命保険協会に加盟している全生命保険会社において、生命保険契約の有無を確認することができます。

もし自分が認知症などにより意思表示ができなくなってしまっても、せっかく加入している保険が無駄にならないよう、健康な今のうちから利用できる制度をおさえてきましょう。

制度を利用したいと思ったら、早速生命保険会社に問い合わせてみましょう。

2024.3.23

カテゴリー
相続

遺言書について

前回の記事ではエンディングノートについて書きました。

エンディングノートとは、「自分が亡くなったとき、あるいは病気や認知症などで判断力が衰えてしまったときに備えて、必要な情報や希望を書いておくノート」でした。

エンディングノートに似ているものとして遺言書があります。

今回から数回に分けて遺言書について見ていきたいと思います。

遺言書とは

遺言書とは、亡くなった人が生前に「自分の財産を、誰に、どれだけ引き継がせるのか」を書面に残したものです。

遺言書はエンディングノートとは異なり、法的な効力があります。

そのため遺言書は相続対策に大変有効です。

相続対策には3つあります。

「遺産分割対策」、「納税資金対策」、「税負担軽減対策」です。

この中で最も大事なのは遺産分割対策ではないでしょうか?

遺言書を書くことで、実態に合った財産分けが可能になります。

遺言書は遺産分割対策、円満・争族対策に大いに役立ちます。

遺言書の目的

遺言書を書く目的としては、3つ考えられます。

①自分の想いに沿った遺産分割ができる

兄弟姉妹には遺留分(法律上、最低限相続できる相続分)がありません。

そのため自分の相続人が配偶者と兄弟姉妹のみの場合、遺言書で指定することにより、配偶者に全財産を相続させることができます。

②相続人以外の人に財産を残せる

民法で定められている相続人以外の人、例えば自分の介護でお世話になった息子の妻などに財産を贈ることができます。

③相続の手続きが早くでき、遺族の負担を大幅に軽減できる

遺言書があれば、原則として遺産分割協議が不要になるため、相続の手続きが早くできます。

まとめ

相続争いが起きると、最終的には法的な解決が行われます。

民法では財産を平等に分けることが基本とされています。

しかし、実態と法律とはかみ合わないことが多いです。

このギャップを調整するのが遺言書といえるでしょう。

遺言書を書くことで、実態に合った財産分けが可能になります。

遺言書を書くことは、将来の心配事を未然に防ぎ、書き終わると気持ちもスッキリとして、安心する効果があると考えられます。

2023.7.14

カテゴリー
相続

エンディングノートの大切さ

エンディングノートは終活には欠かせないものです。

そしてエンディングノートは人生の終末期に書くもの、と思っている人が多いです。

自分にもしものことが起きるのは、明日かもしれません。

エンディングノートは、もしものときに役に立ちます。

エンディングノートの役割、書くべき内容、書くときの注意点について見てみましょう。

そもそもエンディングノートとは?

エンディングノートとは、「自分が亡くなったとき、あるいは病気や認知症などで判断力が衰えてしまったときに備えて、必要な情報や希望を書いておくノート」です。

ノートといっても紙である必要はなく、パソコンやスマートフォンにアプリをダウンロードして作成することも可能です。

決められたフォーマットというものもありません。

エンディングノートに書くこと

エンディングノートに書くこととして、一般的には大きく3つあります。

「自分のこと」「財産のこと」「終末期や死後のこと」です。

それぞれについて、くわしく見てみましょう。

①自分のこと

自分のこととしてエンディングノートに書くことは、次のようなものが考えられます。

・基本情報

氏名、生年月日、住所、本籍地などを書きます。

・自分史

これまでどのような人生を送ってきたのか、これからの過ごし方を書きます。

自分の人生を振り返り、残りの人生を自分らしく生きるためのライフプランを作成してみましょう。

・友人や知人の連絡先

病気で入院したときや、もしものことがあったときに、誰に連絡してほしいのか、リストを作っておきます。

いざという時にあわてずに済みます。

・医療の情報

病歴、入院歴、投薬、かかりつけ医、かかりつけ薬局など医療に関することを書きます。

急病になっても、周りの人がエンディングノートから情報を得られるので、適切なケアを受けることができます。

②財産のこと

エンディングノートを書くにあたり、特に重要なことと考えられます。

自分が持っている財産を整理して書きます。

貯蓄・借入、保険、年金の受給状況、不動産などです。

今後の老後生活を考えるために、そして相続においても必要になります。

③終末期や死後のこと

終末期にしてもらいたいことや、自分が亡くなった後に、残される人たちに引き継ぐべきことを書きます。

・医療や介護の希望

告知や延命治療などの医療に関する希望や、介護に関する希望を書きます。

・お葬式

場所、形式、規模、知らせたい人など、お葬式に必要な情報や希望を書きます。

遺影として使う写真を決めているときは、エンディングノートに貼り付けておきましょう。

・お墓

散骨や永代供養墓への埋葬など、特別な希望がある場合には書いておきます。

・不用品の処分

特に写真や手紙、パソコン内のデータなど、残された人が処分に困るようなものは、エンディングノートに処分の方法を書いておきます。

・残された人たちへのメッセージ

お礼や伝えたいことなど、家族や親しい人たちへのメッセージを書いておきます。

エンディングノートを書くときの注意点

基本的には何を書いても良いのですが、次の点には注意しましょう。

①法的な効力はない

遺言書とは異なり、エンディングノートには法的効力はありません。

具体的な遺産分割などは、遺言書を作成してください。

②他人の悪口は書かない

特定の人の悪口や恨みごとを書くのはやめましょう。

③定期的に更新する

エンディングノートは一度書いたら終わりとしないで、定期的に内容を見直しましょう。

時間の経過とともに自分の想いや希望は変化していきます。

状況が変わったらノートの内容を更新しておきましょう。

④保管場所に注意する

エンディングノートに書かれている内容は個人情報です。

他人に悪用されないよう保管場所には注意しましょう。

かと言って厳重に管理し過ぎて、必要なときに内容が確認できなければ意味がありません。

身近な人がすぐに探し出せる場所に置いておく必要があります。

エンディングノートの保管場所は、家族や親しい人などに伝えておくと良いでしょう。

まとめ

以上、エンディングノートの役割、書くべき内容、書くときの注意点について見てきました。

エンディングノートの役割は重要です。

もしもの時はいつ訪れるのか誰にもわかりません。

定期的に見直せば良いのです。

早めにエンディングノートの作成をスタートさせましょう。

2023.7.6

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相続

葬儀保険のメリット・デメリット

葬儀保険という保険を聞いたことがありますか?

「自分の葬儀費用くらいは自分でなんとかしたい」と思っている人は多いでしょう。

十分な資産や収入があれば、悩むことはないかもしれませんが、そのような人ばかりではありません。

そこで葬儀保険がお役に立ちます。

葬儀保険についてまとめてみましたので、葬儀費用の備えの参考にしてください。

そもそも葬儀保険ってどんな保険?

葬儀保険とは、葬儀にかかる費用に備えるための少額短期保険(ミニ保険とよばれることもあります)です。

少額短期保険とは?

少額短期保険とは、2006年4月に誕生した新しい保険業態で、2023年5月2日現在、118の少額短期保険業者があります。

取り扱いできる保険は、保障(補償)を目的としている保険に限られます。

個人年金保険や保険期間満了後に満期返戻金がある保険など貯蓄性のある保険や外貨建保険などは取り扱うことができません。

一般の生命保険に比べて、被保険者(少額短期保険の対象になる人)の保険金額や保険期間の上限が抑えられています。

少額短期保険の場合、生命保険の死亡保険であれば保険金額は300万円以下で、保険期間は1年以内です。

葬儀保険の特徴

葬儀保険の特徴について見てみましょう。

特徴1 保障内容は葬儀費用に備えることに限定

葬儀保険の保障内容は、葬儀費用に備えることに限定しています。

ただし、保険金を葬儀費用以外、例えばお通夜やお葬式に来てくれた人への返礼品やお寺へのお布施などに使うことは可能です。

特徴2 「保険金定額タイプ」と「保険料定額タイプ」がある

葬儀保険には、一般的に「保険金定額タイプ」と「保険料定額タイプ」の2つのタイプがあります。

「保険金定額タイプ」は、受け取る保険金の額は定額で変わりませんが、1年間の保険期間を更新するごとに保険料が上がっていきます。

【A社の例】 保険金額200万円 1年間の月払保険料合計額の比較

71歳 男性 6,660円×12ヵ月=79,920円 

70歳 男性 6,160円×12ヵ月=73,920円

79,920円-73,920円=6,000円

一方の「保険料定額タイプ」は、保険料は変わりませんが、1年間の保険期間を更新するごとに受け取る保険金の額が下がっていきます。

特徴3 医師の診査は不要、告知は必要

申込みにあたり、医師の診査は不要ですが、健康状態の告知が必要です。

なお、保険料は割高になりますが、告知項目を限定した「限定告知型」の商品もあり、持病があっても加入できる場合があります。

特徴4 保険金が葬儀業者に直接支払われる商品もある

葬儀業者が少額短期保険業も営んでおり、葬儀保険の保険金がそのまま葬儀費用に充当されるという商品もあります。

一般の生命保険(終身保険)との違い

一般の生命保険(終身保険)でも葬儀保険と同じ役割を果たすことができます。

では、葬儀保険と一般の生命保険(終身保険)には、どのような違いがあるのでしょうか?

一般の生命保険(終身保険)のメリット

〇保険期間が1年間ではなく終身なので一生涯の保障がある

〇解約返戻金があるので掛け捨てではなく貯蓄の効果もある

一般の生命保険(終身保険)のデメリット

〇解約返戻金があるため葬儀保険よりも保険料が高い

〇加入時の医師の診査や健康告知の要件が厳しめ

葬儀保険のメリットとデメリット

葬儀保険のメリットとデメリットについてご説明します。

葬儀保険の4つのメリット

メリット1  高齢者でも加入しやすい

葬儀保険は、葬儀費用に備えるという加入目的から、高齢者でも加入しやすくなっています。

健康告知の問題はありますが、80歳以上でも加入することが可能で、100歳まで更新することができる商品もあります。

一般の生命保険(終身保険)に比べて、加入できる保険金額や保険期間が抑えられているので、加入しやすくなっています。

また、保険料は割高になりますが、告知項目が限定されている「限定告知型」の商品もありますので、持病を持っている人でも加入できる場合があります。

メリット2  一般の生命保険(終身保険)に比べて加入時の保険料が割安

葬儀保険は、保険金額は300万円以下、保険期間は1年間と抑えられているので、加入時の保険料は、一般の生命保険(終身保険)に比べて割安です。

ただし、葬儀保険の「保険金定額タイプ」は更新するごとに保険料は上がりますが、一般の生命保険(終身保険)の保険料は一定で上がりません。

死亡した時期がいつになるかによって払込保険料総額が異なってきますので、どちらがお得なのかを単純に比較することは難しいです。

メリット3  保険金の支払いが早い

葬儀保険では、保険金の支払いを、原則書類到着後翌営業日としている少額短期保険会社があります。

なお、遅くても5営業日以内には支払う会社が多いです。

亡くなった人の銀行口座はすぐに凍結されるので、遺産分割協議が完了するまでは、原則として現金を引き出すことができません。

葬儀関連の費用はすぐに必要になりますので、葬儀保険から支払われる保険金で、すぐに現金を確保できるのはとても助かりますね。

メリット4  保険期間が1年なので保険金額の見直しがしやすい

葬儀保険の保険期間は1年間なので、「保険金定額タイプ」の場合、状況に応じて保険金額の見直しを毎年行うことができます。

葬儀に対する希望の変化や保険料負担の調整に柔軟に対応することが可能です。

葬儀保険の4つのデメリット

デメリット1  掛け捨てなので解約返戻金がない

葬儀保険は保障に特化した掛け捨ての保険なので、途中で解約しても解約返戻金はありません。

保険料を何年間も支払い続けたとしても、解約返戻金はゼロであることを理解しておきましょう。

デメリット2  「保険金定額タイプ」は保険料が上がり、「保険料定額タイプ」は保険金が下がる

保険期間1年間の更新ごとに、「保険金定額タイプ」は保険料が上がっていき、「保険料定額タイプ」は保険金が下がっていくことをおさえておきましょう。

保険料が上がっても必要と考える葬儀費用を確保するのか、保険料の負担を一定にして準備できるだけの葬儀費用を準備するのか、ニーズにより使い分けてください。

デメリット3  長期間加入すると元本割れが起きる可能性がある

葬儀保険で加入できる保険金額は最高で300万円までです。

保険料を長期間払い続けることで、支払った保険料総額が受け取る保険金よりも多くなり、元本割れが起きる可能性がありますので注意が必要です。

デメリット4  責任を開始する時期が会社によって異なる

少額短期保険会社が保険引受けの責任を開始する前に死亡しても、保険金を受け取ることはできません。

少額短期保険会社によって責任を開始する時期が異なります。

加入申込みの際には、正確に把握しておく必要があります。

葬儀保険の保険金額の目安は?

お葬式にかかる費用としては、「葬儀費用」、「参列者への費用」、「宗教の費用」が考えられます。

インターネットで検索をしてみると、お葬式にかかる費用は、平均して100〜200万円ほどとなっています。

例えば保険金額200万円の場合の月払保険料は以下のとおりです。

【A社の例】  70歳男性 6,160円  70歳女性 3,100円

一般葬、家族葬、火葬式・直葬など、どのようなお葬式を行うかによって、かかってくる費用はまちまちです。

葬儀費用のすべてを葬儀保険で備えるのではなく、一部は自分の資産を充当するという方法もあります。

葬儀保険の加入にあたっては、無理のない保険料負担とすることが大切です。

葬儀保険に加入した方が良い人は?

ここまで葬儀保険の特徴やメリット・デメリットについて見てきました。

では葬儀保険に加入した方が良いのはどのような人なのでしょうか?

そもそも一般の生命保険に加入していても葬儀保険は必要なのか?

医療保険や介護保険を含めて、生命保険にはすでに多くの人が加入済みです。

生命保険に加入するには「加入目的」があります。

医療保険は、ケガや病気で入院や手術をしたときの医療費の負担に備えて加入します。

介護保険は、寝たきりや認知症で介護が必要になったときの介護費用の負担に備えて加入します。

生命保険(死亡保険)は、自分の死後、残された家族の経済的な備えのために加入します。

葬儀費用の備えであれば生命保険(死亡保険)でカバーすることも可能です。

しかし、生命保険(死亡保険)から受け取る保険金は、葬儀費用だけでなく、残された家族の生活費などにも役立てて行かなければなりません。

葬儀保険は、加入目的を葬儀費用に備えることとし、加入できる保険金額や保険期間を抑えているため保険料を安くしており、高齢者でも加入しやすくなっています。

医療保険、介護保険を含む生命保険に加入していたとしても、葬儀費用に備えるという特化した目的を達成するためには、葬儀保険への加入を検討すべきです。

葬儀保険の加入を検討していただきたい人

次のような人には葬儀保険の加入を検討していただきたいです。

〇終活を考えている人

終活では、「自分はどのようなお葬式をしてもらいたいのか」ということを必ず考えます。

自分が希望するお葬式に、どのくらいの費用がかかるのかを把握したら、葬儀費用については葬儀保険で準備するということも検討してみましょう。 

〇葬儀費用くらいは自分でなんとかしたいと考えている人

「自分の葬儀費用くらいは自分でなんとかしたい」と考えている人は多いです。

葬儀保険を活用すれば、安心して思いを実現することができます。

〇資産や収入が少ないため貯金ができないと考えている人

自分にある程度の資産や収入があれば、前もって自分の葬儀費用を準備しておくことは可能です。

しかし、資産もそれほどなく、収入は年金だけといった場合には、葬儀保険で葬儀費用を確実に準備することができます。

まとめ

以上、葬儀保険のメリット・デメリット、葬儀保険の加入を検討していただきたい人、について見てきました。

人が亡くなると銀行口座は凍結され、現金が引き出せなくなります。

しかし、死後の整理資金として、すぐにいろいろと現金が必要になります。

特に葬儀費用はすぐに必要になるので、せめて葬儀費用の分だけでも現金を準備しておかなければなりません。

葬儀保険を活用すれば、受け取った保険金で、すぐに現金を確保することができます。

葬儀保険は、葬儀費用に備えることに特化した保険なので、保険料も割安で、高齢者でも加入しやすくなっています。

十分な資産や収入はないけれど「自分の葬儀費用くらいは自分でなんとかしたい」と考えている人は、ぜひ葬儀保険の活用も検討してみましょう。

2023.6.15

カテゴリー
相続

国民年金を満額もらう要件を満たしていますか?

国民年金は、原則として20歳以上60歳未満の国民全員が加入する公的年金の基礎となる年金です。

2023(令和5)年度の国民年金から受け取る老齢基礎年金の年金額(満額)は、795,000円で、前年度(777,792円)よりも17,208円増えました。

でも、最近の物価上昇を考えると、年金生活者にとっては厳しいと言えるでしょう。

長い間ずっと国民年金保険料(2023(令和5)年度は月額16,520円)を納めてきました。

ぜひ国民年金は満額もらいましょう。

満額受け取るためには40年間の保険料納付が必要

国民年金は、受給要件を満たすと原則65歳(繰上げ、繰下げが可能)から受け取ることができます。

そして満額もらうためには、加入が義務付けられている20歳~60歳までの40年間、国民年金保険料の納付が必要になります。

40年間の保険料納付が足りないなら国民年金の任意加入制度を利用

20歳~22歳までの大学生であった期間など、国民年金保険料を納付しておらず、納付済期間が40年に達していないことがあります。

受給要件(保険料納付済期間と保険料免除期間が10年以上あることなど)は満たしていても、納付済期間が40年に満たないために満額を受け取れない、ということになってしまいます。

そこで国民年金の「任意加入制度」を利用することにより、老齢基礎年金の年金額を満額にすることが可能になります。

なお、年金額を増やすための国民年金への任意加入は65歳までです。

納付する保険料は、その年の国民年金保険料と同額です。

国民年金の任意加入制度は、老齢基礎年金の年金額を増やすほか、受給資格期間(10年)を満たしたい場合にも利用されています。

任意加入をするための条件や留意点もありますので、くわしくは日本年金機構のホームページで確認してください。

任意加入制度|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

学生納付特例制度の注意点

学生の人には「学生納付特例制度」という保険料納付猶予制度があります。

この制度を利用すれば、国民年金保険料を納付しなくても、老齢基礎年金の受給要件となる加入期間には加算してもらえます。

ですが、受け取る年金額の計算には加算してもらえません。

これは、この制度が国民年金保険料の納付を「免除」するのではなく、「猶予」するものだからです。

「学生納付特例制度」により納付の猶予を受けた国民年金保険料は、社会人になってから追納(認められる期間は過去10年分)することで老齢基礎年金の年金額を増額することができます。

年金の受取り方は工夫して

老齢基礎(厚生)年金は、60歳まで繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」や75歳まで繰下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」を選択することができます。

例えば、受取りを70歳まで繰下げた場合には、受け取る年金額は42%増額します。

厚生年金に加入していた人であれば、老齢厚生年金を65歳から受け取り、老齢基礎年金は70歳から繰下げて受け取るということもできます。

長い間、苦労して納付してきた年金保険料です。

少しでも有利な年金の受取り方を考えましょう。

2023.4.28