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生命保険

外貨建て生命保険を相続対策に活用するメリットと注意点

円建てよりも運用利率が高いため、外貨建てによる運用が人気です。

生命保険にも保険料を外貨で支払って運用する外貨建て商品があります。

生命保険は相続対策に強い金融商品ですが、メリットがある一方で、デメリットや注意しなければならないこともあります。

外貨建て生命保険を相続対策に活用する際の、他の商品との比較、活用のポイントまで含めて解説しました。

ご自身の相続対策に外貨建て生命保険は有効なのか、確認してみてください。

●外貨建て生命保険とは?

外貨建て生命保険とは、米ドルや豪ドルなどの外貨で保険料を払い込み、解約返戻金や死亡保険金も外貨で受け取るタイプの生命保険です。

円建て保険に比べて運用利率が高いため、長期運用により、資金や保障の増加を期待できます。

ただし、運用リスクのほかに、円建て保険にはない「為替変動」の影響を受けるという点に注意が必要です。

●相続対策としてのメリット

外貨建て生命保険は相続対策に有効活用することができます。

・死亡保険金の非課税の特典が使える

要件を満たせば、相続人が受け取る死亡保険金のうち「500万円 × 法定相続人の数」までの金額が非課税となります。

これにより、外貨建てによる運用で増加した資金を、効率的に相続財産に組み込むことが可能です。

・資産を増やしながら相続の準備ができる

円建てよりも高い利率で運用できるため、長期的には資産形成効果が期待できます。

預金で保有するよりも有利に資産を残せる可能性があります。

・遺産分割や納税資金準備に役立つ

死亡保険金は受取人を指定できるため、残したい特定の相続人に、確実に資金を渡すことができます。

また、相続税の納税資金を準備するのにも役立ちます。

●デメリットと注意点

一方で、外貨建て生命保険にはリスクや注意点もあります。

・為替変動リスク

円高局面では受け取れる金額が目減りする可能性があります。

たとえば、1ドル=140円のときに契約した保険が、相続時に1ドル=120円になれば、同じドル建て金額でも円換算額は減少します。

・解約時の元本割れリスク

外貨建て保険は、契約後に早期解約すると、解約返戻金が払込保険料を下回ることが多く、

元本割れリスクがあります。

短期での運用効果をねらっている人には向いていません。

・相続税は円換算

相続税の計算は、外貨建てであっても「円換算」で行われます。

相続発生時点の為替レートにより計算されるため、課税額が変動することに注意が必要です。

・換金コストや手続き

死亡保険金を外貨のまま受け取った場合、相続人にとっては外貨を円に換える手間や為替手数料が発生します。

●他の商品との比較

外貨建て生命保険との違いを把握しておきましょう。

・円建て生命保険との違い

円建て生命保険は、為替リスクがなく安全性が高いですが、運用利率が外貨建て生命保険に比べて低く抑えられています。

外貨建て生命保険は、円建て生命保険よりも運用利率が高いため、資産運用効果が期待できる反面、円建て生命保険にはない為替変動リスクを抱えています。

・外貨預金や投資信託との違い

保険には死亡保障の最低保証があり、「死亡保障+運用」がセットになっている点が最大の違いです。

・不動産との違い

不動産は流動性がなく分割が難しい資産ですが、生命保険は死亡保険金を速やかに現金で受け取れるため、流動性が高く、分割も容易です。

●活用のポイント

外貨建て生命保険を相続対策で活用する際は、次の点を意識しましょう。

・相続財産の規模や相続人の数に応じて適切な保険金額を設定する

・為替変動リスクを理解し、長期的な運用を前提とする

・保険料を一時払するか積立払するかをライフプランに合わせて選ぶ

・相続税シミュレーションを行い、専門家(FP・税理士など)のアドバイスを受ける

●まとめ

外貨建て生命保険は「保障(死亡保障の最低保証あり)+資産運用」を兼ね備えた商品です。

高い運用利率により、円建て生命保険よりも資金の増加が期待できます。

相続対策として活用すれば、非課税の特典を受けたり、遺産分割や納税資金準備に役立ちます。

ただし、為替変動リスクや元本割れリスクをしっかりと理解したうえで、専門家と相談しながら実行することが成功のカギとなります。

2025.9.2