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FPのひとり言

小6・中3 夏の22泊合宿

6/10(火)の新聞にこのような見出しがあった。

とある進学塾が8月に、小学6年生と中学3年生の受験生を対象に、22泊23日の夏期勉強合宿を実施するとのこと。

その背景には、中学受験熱の高まりと高校無償化の影響で教育費に余裕が生まれたことがあるらしい。

夏期勉強合宿の参加費用は50万円。
22泊23日とはいえ、金額だけをみるととんでもない額だ。

確かに中学受験をする子どもは年々増加していくし、私立高校の無償化により教育費に回せる余裕ができたこともうなずける。

しかし、22泊23日、1日12時間の勉強と聞いて、子どもたちはどう思うのだろうか?
今の子どもたちは、志望校合格のためには仕方がない、と思うのだろうか?
もし自分が参加しろと言われたら「NO」である。

受験は夏が勝負であることはよく言われるが、受験対策を真剣に考えるのであれば、合宿に行かなくても、家で勉強しなければばらない。
勉強する場所が、合宿施設か家かの違いであり、家であれば自己管理が難しいが、合宿であれば強制的に塾の管理下におかれ、またライバルに触発されて受験勉強に専念できるとも言える。

特に中学受験は親と子どもが一体になって受験に取組む必要があり、参加費用50万円は高額ではあるが、重要な夏における親の役割を塾に一任することでリスクヘッジができる。

さらに親はインターネットで「授業参観」できるそうなので、どのような授業をしているのかを確認することもでき、安心だ。

「必勝22泊23日合宿」であるが、受験の本番は来年の1~2月。
本番で合格点に達すれば良いので、合宿に参加したとはいえ、それまでに疲れ果てないようにしてほしい。

直前には「正月特訓合宿」が組まれるのかもしれない。
また、お金がかかる。

やむを得ないとは理解しているが、すべてのものが物価高である現状からすると、教育費の負担に上限が見えないのは何とも悩ましい。

2025.6.10

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FPのひとり言

車保険料、年内上げへ

5/29の新聞にこのような見出しがあった。

事故車の修理費が高騰のため、修理費平均9.2%の上昇を保険料に転嫁するとのこと。

事故車の整備業者に支払う修理費を今年度中に過去最大の幅で引き上げるとのことで、あいおいニッセイ同和社は5月に工場に到着した事故車から、三井住友海上社は6月から、東京海上日動社と損保ジャパン社は7月から実施する。

また自動車保険の保険料が上がる。

通常損保会社は年1回、1月に自動車保険の保険料を改定している。

部品価格や電気代、人件費も上昇しており、来年2026年1月の改定時期を待たずに、今年初めて、同じ年度に2回目の保険料改定を行うということだ。

これまで事故を起こしたことがほとんどなくても、一度でも保険金のお世話になった者であれば、もしものときのためにお守りとして自動車保険に加入している。

自分の場合、保険料の値上げに備えて3年契約としているが、次の更新が来年くるので、保険料のことを考えると怖い。

5年や10年の長期契約はできないものか。

損保会社にとってみれば契約継続の脱落は防げるものの、そんなことをしていたらリスクに見合った保険料が取り切れず、やるはずがない。

とは言え無保険にするわけにもいかないので、自動車保険は必要である。

であれば保険料を少しでも安くするために、ネット系損保会社への切替えも検討してみるか。

ただ、自分の場合、もう何十年も同じ代理店で契約しており、事故を起こしたときにはお世話になっているので、そう簡単には切り替えられない。

時代の流れに逆らうことができないのであれば、せめて保険料が値上げになった分に見合うサービスの充実を望む。

追加保険料なしでの特約の付帯、自動車事故の補償以外の分野(ライフプランニング、資産形成、住宅、健康など)まで範囲を広げた提供サービスの拡大。

損保会社にとっては、事故を起こさないまま保険料をずっと支払い続けている者こそが重要な収益源であり、浮気(切替)をしないように大切に扱ってほしい。

2025.6.2

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FPのひとり言

保険代理店へ便宜禁止 金融庁 新指針案

5/9(金)の新聞記事に、このような見出しがあった。

金融庁は監督指針を改正し、保険契約獲得のための過度な営業協力や物品購入を行うことを禁止し、違反した場合には、代理店に行政処分を出す、というもの。

保険契約獲得のために、保険会社の社員が代理店の物品購入あっせんや保険と直接関わりのない代理店のイベントへの協力を行う。

昔からよくある話だ。

私も損害保険会社の社員の時に、独身なのにクリスマスケーキを4つ買わされたり、毎年夏と冬には必ずスーツを新調させられたりしたことを思い出す。

そして何と言っても忘れられないのが自動車の購入。

新入社員として配属されて席に着くと自動車のパンフレットが置いてあり、誰かの忘れ物かと思っていたら、自動車営業部の先輩社員が来て「この中から好きな車を選べ」と言われ、新車を購入したこと。

損害保険会社ではどこでもあった話だ。

この伝統的な風景がなくなるのか?

いやなくすことができるのか?

新指針では、便宜供与の疑義や体制整備の不備があった場合には、代理店に立ち入り検査を行い、重大な問題が見つかれば業務改善命令などの行政処分を課する、とのこと。

業界の悪習を撲滅するために、かなり厳しい内容である。

監督指針の改定で、長きに渡り根付いたこの文化を簡単に解消させることはできないと思う。

頭の良い人が規制を潜り抜ける方法を見つけることだろう。

このいわゆる本業支援によってシェアが決まるという構図は、保険業界だけでなく、どこの業界でも行われているはずである。

これまでのように露骨にとはいかなくなるが、最終的にはやはり本業支援によってシェアが決められるという構図はなくならないと思う。

2025.5.17

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FPのひとり言

高額療養費で専門委を設置 患者団体から意見聴取

5/2(金)の新聞にこのような記事見出しがあった。

記事よれば、厚生労働省は高額療養費制度の見直しを巡り、専門委員会を設けることにしたとのこと。

秋に向けて、自己負担上限の引き上げに関する制度設計を再検討する、とのこと。

やはり自己負担上限の引き上げを行うのか。

現役の働きざかり世代でも高額療養費制度を利用している人は多いと聞く。

一度でも入院した経験がある人なら、この制度のありがたさは理解している。

月収が30~50万円ほどの70歳未満の人であれば、総医療費がひと月に100万円かかっても、自己負担限度額は87,430円である。

通常は3割負担なので、医療機関でいったん30万円を支払うが212,570円戻ってくる。

仮に総医療費がひと月に200万円かかったとしても、自己負担限度額は97,430円である。

300万円でも自己負担限度額は107,430円である。

先進医療による治療費など高額療養費制度の対象外となる費用は全額自己負担しなければならないが、重度の病気で毎月高額な治療費がかかる人にとっては、自己負担上限の引き上げは確かに死活問題である。

一方で、強制的に給料から天引きされる健康保険料は年々増加しており、せっかくの賃上げもその効果は薄い。

さて、選ばれた有能な専門委員会メンバーはどこに着地点を見つけて結論を出すのか?

責任重大だ!!!

2025.5.2

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FPのひとり言

損保、新規契約編重を是正

4/24(木)の新聞記事にこのような見出しがあった。

【記事の概要】

この度損害保険会社では、代理店手数料の支払いについて、これまでの契約獲得が多いほどたくさんもらえる仕組みから、顧客満足度や代理店自立度が高いほどたくさんもらえる仕組みへの改定を行い、2026年度の支払いから実施する。

【ひとり言】

新規契約に編重していた代理店手数料の支払い方では、また旧ビッグモーター社のような不正行為が起こりかねないため、顧客満足度や代理店自立度を重視した支払方法に変更したというもの。

業界トップの東京海上日動社では、新規契約などの比重を89%➡65%に落とし、顧客満足度や代理店自立度の比重を6%➡42%に上げた。

ちなみに損保ジャパン社の場合は20%➡40%、三井住友海上社では50%➡60%。

なんと業界トップ社では、これまで6%しかなかったのか。

これでは不正行為を度外視し、なりふり構わず契約獲得に走り回るのも納得できる。

「顧客満足度や代理店自立度を重視した支払方法に変更」というのは名目上の印象は良いが、損害保険会社にとっては収入保険料の減収を招く。

顧客満足度を上げるための顧客サービスの質の向上は誰もが納得のいくところであるが、代理店自立度の充実はどうなのだろうか?

代理店側も収入を増やすために、これを機会に意識が必至だ。

そして代理店を自立させるためには、代理店を担当する営業社員が今まで以上に頑張らなければならない。

一番求められている代理店の意識改革には営業社員の熱意が不可欠。

高い給料をもらっているのだから頑張れ営業社員!

20245.4.24

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FPのひとり言

基礎年金底上げを見送り

4/17(木)の新聞にこのような見出しがあった。

【記事の概要】

厚生労働省は、今国会に提出する年金制度改革法案から基礎年金の底上げ案を削除する調整に入った。

【ひとり言】

基礎年金(国民年金)の底上げとして必要な財源は、最大年2.6兆円。

これを確保するためには、制度上、厚生年金の減額が先行するため、会社員は当面の間は今の想定に比べて最大で月7,000円減額されるというものであった。

会社員も最終的には基礎年金底上げの恩恵を受けられるのだが、厚生年金の減額が先行することが許せないのであろう。

その根底にあるのが今年の7月に予定されている参議院選挙。

国民に納得してもらえず反発を受けたままでは、参議院選挙で負けてしまう。

自民党、国会議員の先生方は自席を死守するために守りに入った。

全国民の老後生活がかかっている年金制度改革に政党の勝ち負けが影響するのはおかしな話だ。

2025.4.17

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FPのひとり言

損保、代理店出向7割減

4月16日(水)の新聞にこのような見出しがあった。

【記事の概要】

損害保険会社が保険代理店への出向者数を大幅に減らしている。
大手4社で2024年3月末には約1,700人いた出向者が、2025年4月1日時点で約450人となり7割減少した。
その背景には、一連の不祥事をうけて、2024年9月に日本損害保険協会が損害保険会社と代理店との関係についての指針を策定し、営業目的の派遣は認められなくなったことがある。

【ひとり言】

火災保険や自動車保険など損害保険の9割は代理店を通じて契約されている。

保険専業の代理店もいるが、多くは本業の関連業務として損害保険を取り扱っている兼業代理店である。

そのため保険のスキルが十分ではなく、これを補完するために損害保険会社から出向者を受け入れている。

保険に携わる人材の育成やコンプライアンス体制の整備のためにということであるが、実態はそんなことはない。

本来であれば代理店自身が行わなければならない業務を出向者が代行し、その見返りとして保険契約をもらっている。

どこにでもあったこの古くからの慣習にメスが入り、営業目的の派遣は認められなくなったということだ。


今後は代理店を自走させるために、出向してきた損害保険会社社員が面倒を見るということになるわけだが、果たして期待する効果を出せるのか?

そもそも代理店が自走できていることをどうやって評価するのか?

指針は定められたものの、結局はこれまでと同様に、出向してきた損害保険会社社員が代行しているということになってしまうのではないか?

代理店への出向者にかかわらず、損害保険会社の営業社員の役割は代理店の代行にあるのが実態ではないかと思う。

営業社員の関与の度合いによって代理店手数料を変動させるようなしくみでも作らないと指針の目指すゴールにはなかなか到達できないと思う。

2025.4.16

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FPのひとり言

厚生年金減額先送り

4/9(水)の日経新聞にこのような記事があった。

厚生労働省が、将来の全国民が受け取る基礎年金(国民年金)の受取額の底上げ財源確保のために、会社員が受け取る厚生年金の受取額を減額することを先送りにする調整に入ったとのこと。

これから国会へ提出される年金法案の審議で揉まれるのでしょう。

基礎年金(国民年金)の受取額の底上げは会社員にとってもプラスの話なのであるが、財源確保のために厚生年金の減額が先行し、当面は現行制度よりも受取額が減ることに対する批判への対応である。

基礎年金(国民年金)は全国民が受け取れるものであるが、この受取額を増やすために先に会社員の厚生年金を減額してしまうと「自営業者優遇」とも受け取れる。

自営業者が受け取れる公的年金は基礎年金(国民年金)だけであり、2025(令和7)年度の満額は831,700円、月額にして約70,000円である。
当然公的年金のほかにも老後生活資金の準備はしていると思われるが、それにしてもあまりにも心細い公的保障と言わざるを得ない。

ならば厚生年金の受取額を少し減らして、先に基礎年金(国民年金)を増やしては、と言いたいところであるが、2025(令和7)年度の厚生年金受取月額232,784円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)では、老後生活資金の多くの部分を公的年金(厚生年金)で組み立てている会社員からはダメ出しをくらうだろう。

財源確保のために厚生年金の財源を充当したく、当面は受取額が減るけど勘弁してという対応は納得の得られるものではない。

2025.4.9

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生命保険

生命保険の見直しの着目点

生命保険の見直しを考えるタイミングは、「結婚」「子どもの誕生」「子どもの独立」「定年退職」などのライフイベント発生時と言われています。

人によっていろいろな考え方がありますが、基本的な生命保険の見直しの着目点について、ライフイベントにあわせて見てみましょう。

社会人として独立

社会人として独立したら、生命保険には自分自身で保険料を支払って加入するようにしましょう。

若いうちは保険料が安いので、保険料がずっと変わらないまま、一生涯の保障と貯蓄に備えられる終身保険がおすすめです。

終身保険は、最終的には保険金を受け取ることができ、解約返戻金も保険期間の経過とともに着実に増えていきます。

また、若いうちは病気よりもケガのリスクが高いのですが、公的医療保険の高額療養費制度があるので、医療保険に加入するとしても最低限のシンプルなもので良いと思います。

中年になって生活習慣病のリスクが高まってきたときに見直しをしましょう。

これまで親が保険料を支払ってくれていた生命保険の名義を変更するという方法もありますが、解約返戻金があると贈与税がかかってくる場合があるので注意が必要です。

結婚して子どもが誕生

結婚を機に、必要な保障を検討するようにしましょう。

特に子どもが誕生すると、自分にもしものことがあっても、子どもは大学まで卒業させてやりたいと、高額な死亡保障への加入を検討することが多いです。

無理をしての保険料負担は避けるべきですが、不足する保障額については、定期保険や収入保障保険での対応を考えましょう。

収入保障保険であれば、保障額が右肩下がりの必要保障額と一致しているため、定期保険のように必要保障額に合わせた保険金額の減額が不要であり合理的です。

マイホームの購入

住宅ローンを組む際には、無理のない返済計画を立てるために、家計の無駄をチェックする必要があります。

自分にもしものことがあった場合、以後の住宅ローンの返済は免除されるため、団体信用生命保険にはぜひ加入しましょう。

必要保障額を大きく減らすことができます。

子どもの就職・独立

子どもの教育資金がひと段落したら、夫婦の老後生活資金のことを考える必要があります。

子どもが独立すれば必要保障額は減るので、超過する保障を解約し、浮いた保険料分のお金を他の金融商品で運用して、老後生活資金を蓄積していきましょう。

特に妻の場合は、夫と死別後も10年以上独りで生きていかなければならないケースが多いので、相続のことも考慮して、妻名義の金融資産をつくっておくことも大切です。

定年退職後

「自分の葬式代くらいは、自分で準備する」という人が多く、死後の整理資金として、終身保険で200~300万円を備えるということが考えられます。

これには退職金の一部を利用して、一時払終身保険で備えるという方法もあります。

短期間で中途解約をすると元本割れとなるリスクがありますが、以後の利回りは預貯金を上回ることが多いです。

最近は、家族やごく親しい人たちだけで行う「家族葬」や「直葬」などが主流になりつつあり、備える金額はもっと少なくてもよいかもしれません。

終身保険などに特約で医療保障を付けている場合、その医療保障は80歳で終了してしまうケースが多いです。

寿命が延びているので、80歳を超えてからが本当に医療保障を必要とする時期になります。

公的医療保険の高額療養費制度や保有金融資産を考慮する必要がありますが、医療保障を追加する必要がある場合には、保険料を終身払にすれば、終身型の医療保険でも保険料の負担を抑えることができます。

検討してみましょう。

まとめ

ライフイベントに合わせた、基本的な生命保険の見直しの着目点について見てきました。

もちろん、これ以外の見直し時期や見直しの方法もあります。

人それぞれです。

ですが、すすめられるままに生命保険に加入し、ずっと見直しをしないままにしていることが多いので、定期的にチェックすることが大切です。

2024.6.10

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生命保険

医療保険に加入するときに注意したいこと

病気やケガで入院や手術をすると、医療費として多額な費用がかかることがあります。

もし多額な医療費がかかったとしても、公的医療保険の「高額療養費制度」により、負担を軽減することができます。

しかし、高額療養費制度の対象にならない費用もあります。

これをカバーするのが民間の医療保険の役割です。

では、医療保険に加入するときには、どのようなことに注意点しなければならないのでしょうか?

「高額療養費制度」により医療費の自己負担限度額を超えた金額が戻ります

まず公的医療保険の「高額療養費制度」についてです。

高額療養費制度とは、月の初めから終わりまでの1ヵ月間(4月であれば4月1日~4月30日)にかかった医療費に対して支払う自己負担額が、あらかじめ定められている自己負担限度額を超えた場合に、その超えた部分の金額が戻ってくる、というものです。

注意していただきたいのが、金額は1日から月末で計算するということです。

同じ月であればわかりやすいのですが、例えば4月15日~5月14日まで入院した場合には、高額療養費の計算は、4月15日~4月30日までと5月1日~5月14日までの2つの月に分かれます。

支払った医療費の自己負担額が、総額で自己負担限度額を超えていても、月単位で超えていなければ戻ってきません。

どのくらい戻ってくるのか

ひと月あたりの自己負担限度額は、70歳未満で年収が約370万円~770万円の人の場合、次のように計算します。

ひと月あたりの自己負担限度額 = 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

例えば、かかった総医療費が100万円の場合であれば、この式にあてはめて計算すると、ひと月あたりの自己負担限度額は87,430円となります。

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

70歳未満の人であれば、医療機関の窓口での自己負担額は、原則として、かかった総医療費の3割です。

自己負担額300,000円(1,000,000円×30%=300,000円)のうち、212,570円(300,000円-87,430円=212,570円)が戻ってくることになります。

このように高額療養費制度があるおかげで経済的負担がかなり抑えられます。

「高額療養費制度」の対象にならない費用があります

高額療養費制度の対象になるのは、治療関連費用(入院基本料、手術料、検査料、投薬料など)のうち健康保険診療の範囲内になるものだけです。

「差額ベッド代〈注1〉」や「入院中の食事代」は高額療養費制度の対象外です。

「差額ベッド代」は、1人部屋では8,322円、4人部屋では2,705円〈注2〉というデータがありますが、全額自己負担しなければなりません。

また「入院中の食事代」は、一般的に1食490円(2024年6月現在)ですが、これも全額自己負担しなければなりません。

さらに、その他の諸費用として「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費」、「見舞いに来る家族の交通費」などがかかってきます。

これらの費用についても、全額自己負担しなければなりません。

最近は入院期間が短期化する傾向にあります。

しかし、がん、脳血管疾患、心疾患などの重い病気を患えば、どうしても入院期間は長期化することが考えられます。

もしも入院期間が長期化してしまった場合には、このような自己負担しなければならない費用がかさみ、多額の経済的負担がのしかかってきます。

〈注1〉差額ベッド代

 6人部屋などの一般病室に対して、1~4人の「特別療養環境室」に入室したときに  
 かかる費用。部屋の人数により異なり、1人部屋が最も高額。

〈注2〉出典

 厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」令和4年7
 月1日現在 

医療保険は高額療養費制度の対象にならない費用を目安に加入しましょう

高額療養費制度の対象にならない費用については民間の医療保険で備えましょう。

なお、医療保険の加入にあたっては、「入院給付金日額をいくらにするか?」ということがベースになります。

保険料を必要以上に支払わないためにも、これまで説明した高額療養費制度の対象にならない費用を目安にして、入院給付金日額の設定をすることが大切です。

実際の設定にあたっては、その人の年収や入院する病室の希望など個人によって内容が異なってきますので、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談するとよいでしょう。

がん治療などの「先進医療」には医療保険の特約で備える

現在は2人に1人が、がんにかかる時代といわれています。

がんの治療で用いられる陽子線治療などの「先進医療」にかかる費用は、高額になるものの、高額療養費制度の対象外のため、全額自己負担しなければなりません。

先進医療にかかる費用については、医療保険の特約により、安い保険料で備えることができますので、加入をおすすめしまう。

まとめ

以上、医療保険に加入するときの注意点について見てきました。

多くの人が、すでになんらかの医療保険に加入されています。

民間の医療保険で備えたいのは、高額療養費制度の対象にならない費用です。

具体的には、「医療費の自己負担部分(70歳未満の人であれば原則3割)」「差額ベッド代」「入院中の食事代」「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費、見舞いに来る家族の交通費など」「先進医療にかかる費用」などです。

どのくらいの金額を想定しておけばよいのかを計算し、1日あたりに必要な入院給付金日額を設定します。

現在加入している医療保険が必要以上の保障を付けていて、保険料を払い過ぎていないか、ぜひ確認してみてください。

2024.6.9