カテゴリー
ひとり言

損保、新規契約編重を是正

4/24(木)の新聞記事にこのような見出しがあった。

【記事の概要】

この度損害保険会社では、代理店手数料の支払いについて、これまでの契約獲得が多いほどたくさんもらえる仕組みから、顧客満足度や代理店自立度が高いほどたくさんもらえる仕組みへの改定を行い、2026年度の支払いから実施する。

【ひとり言】

新規契約に編重していた代理店手数料の支払い方では、また旧ビッグモーター社のような不正行為が起こりかねないため、顧客満足度や代理店自立度を重視した支払方法に変更したというもの。

業界トップの東京海上日動社では、新規契約などの比重を89%➡65%に落とし、顧客満足度や代理店自立度の比重を6%➡42%に上げた。

ちなみに損保ジャパン社の場合は20%➡40%、三井住友海上社では50%➡60%。

なんと業界トップ社では、これまで6%しかなかったのか。

これでは不正行為を度外視し、なりふり構わず契約獲得に走り回るのも納得できる。

「顧客満足度や代理店自立度を重視した支払方法に変更」というのは名目上の印象は良いが、損害保険会社にとっては収入保険料の減収を招く。

顧客満足度を上げるための顧客サービスの質の向上は誰もが納得のいくところであるが、代理店自立度の充実はどうなのだろうか?

代理店側も収入を増やすために、これを機会に意識が必至だ。

そして代理店を自立させるためには、代理店を担当する営業社員が今まで以上に頑張らなければならない。

一番求められている代理店の意識改革には営業社員の熱意が不可欠。

高い給料をもらっているのだから頑張れ営業社員!

20245.4.24

カテゴリー
ひとり言

基礎年金底上げを見送り

4/17(木)の新聞にこのような見出しがあった。

【記事の概要】

厚生労働省は、今国会に提出する年金制度改革法案から基礎年金の底上げ案を削除する調整に入った。

【ひとり言】

基礎年金(国民年金)の底上げとして必要な財源は、最大年2.6兆円。

これを確保するためには、制度上、厚生年金の減額が先行するため、会社員は当面の間は今の想定に比べて最大で月7,000円減額されるというものであった。

会社員も最終的には基礎年金底上げの恩恵を受けられるのだが、厚生年金の減額が先行することが許せないのであろう。

その根底にあるのが今年の7月に予定されている参議院選挙。

国民に納得してもらえず反発を受けたままでは、参議院選挙で負けてしまう。

自民党、国会議員の先生方は自席を死守するために守りに入った。

全国民の老後生活がかかっている年金制度改革に政党の勝ち負けが影響するのはおかしな話だ。

2025.4.17

カテゴリー
ひとり言

損保、代理店出向7割減

4月16日(水)の新聞にこのような見出しがあった。

【記事の概要】

損害保険会社が保険代理店への出向者数を大幅に減らしている。
大手4社で2024年3月末には約1,700人いた出向者が、2025年4月1日時点で約450人となり7割減少した。
その背景には、一連の不祥事をうけて、2024年9月に日本損害保険協会が損害保険会社と代理店との関係についての指針を策定し、営業目的の派遣は認められなくなったことがある。

【ひとり言】

火災保険や自動車保険など損害保険の9割は代理店を通じて契約されている。

保険専業の代理店もいるが、多くは本業の関連業務として損害保険を取り扱っている兼業代理店である。

そのため保険のスキルが十分ではなく、これを補完するために損害保険会社から出向者を受け入れている。

保険に携わる人材の育成やコンプライアンス体制の整備のためにということであるが、実態はそんなことはない。

本来であれば代理店自身が行わなければならない業務を出向者が代行し、その見返りとして保険契約をもらっている。

どこにでもあったこの古くからの慣習にメスが入り、営業目的の派遣は認められなくなったということだ。


今後は代理店を自走させるために、出向してきた損害保険会社社員が面倒を見るということになるわけだが、果たして期待する効果を出せるのか?

そもそも代理店が自走できていることをどうやって評価するのか?

指針は定められたものの、結局はこれまでと同様に、出向してきた損害保険会社社員が代行しているということになってしまうのではないか?

代理店への出向者にかかわらず、損害保険会社の営業社員の役割は代理店の代行にあるのが実態ではないかと思う。

営業社員の関与の度合いによって代理店手数料を変動させるようなしくみでも作らないと指針の目指すゴールにはなかなか到達できないと思う。

2025.4.16

カテゴリー
ひとり言

厚生年金減額先送り

4/9(水)の日経新聞にこのような記事があった。

厚生労働省が、将来の全国民が受け取る基礎年金(国民年金)の受取額の底上げ財源確保のために、会社員が受け取る厚生年金の受取額を減額することを先送りにする調整に入ったとのこと。

これから国会へ提出される年金法案の審議で揉まれるのでしょう。

基礎年金(国民年金)の受取額の底上げは会社員にとってもプラスの話なのであるが、財源確保のために厚生年金の減額が先行し、当面は現行制度よりも受取額が減ることに対する批判への対応である。

基礎年金(国民年金)は全国民が受け取れるものであるが、この受取額を増やすために先に会社員の厚生年金を減額してしまうと「自営業者優遇」とも受け取れる。

自営業者が受け取れる公的年金は基礎年金(国民年金)だけであり、2025(令和7)年度の満額は831,700円、月額にして約70,000円である。
当然公的年金のほかにも老後生活資金の準備はしていると思われるが、それにしてもあまりにも心細い公的保障と言わざるを得ない。

ならば厚生年金の受取額を少し減らして、先に基礎年金(国民年金)を増やしては、と言いたいところであるが、2025(令和7)年度の厚生年金受取月額232,784円(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)では、老後生活資金の多くの部分を公的年金(厚生年金)で組み立てている会社員からはダメ出しをくらうだろう。

財源確保のために厚生年金の財源を充当したく、当面は受取額が減るけど勘弁してという対応は納得の得られるものではない。

2025.4.9

カテゴリー
生命保険

生命保険の見直しの着目点

生命保険の見直しを考えるタイミングは、「結婚」「子どもの誕生」「子どもの独立」「定年退職」などのライフイベント発生時と言われています。

人によっていろいろな考え方がありますが、基本的な生命保険の見直しの着目点について、ライフイベントにあわせて見てみましょう。

社会人として独立

社会人として独立したら、生命保険には自分自身で保険料を支払って加入するようにしましょう。

若いうちは保険料が安いので、保険料がずっと変わらないまま、一生涯の保障と貯蓄に備えられる終身保険がおすすめです。

終身保険は、最終的には保険金を受け取ることができ、解約返戻金も保険期間の経過とともに着実に増えていきます。

また、若いうちは病気よりもケガのリスクが高いのですが、公的医療保険の高額療養費制度があるので、医療保険に加入するとしても最低限のシンプルなもので良いと思います。

中年になって生活習慣病のリスクが高まってきたときに見直しをしましょう。

これまで親が保険料を支払ってくれていた生命保険の名義を変更するという方法もありますが、解約返戻金があると贈与税がかかってくる場合があるので注意が必要です。

結婚して子どもが誕生

結婚を機に、必要な保障を検討するようにしましょう。

特に子どもが誕生すると、自分にもしものことがあっても、子どもは大学まで卒業させてやりたいと、高額な死亡保障への加入を検討することが多いです。

無理をしての保険料負担は避けるべきですが、不足する保障額については、定期保険や収入保障保険での対応を考えましょう。

収入保障保険であれば、保障額が右肩下がりの必要保障額と一致しているため、定期保険のように必要保障額に合わせた保険金額の減額が不要であり合理的です。

マイホームの購入

住宅ローンを組む際には、無理のない返済計画を立てるために、家計の無駄をチェックする必要があります。

自分にもしものことがあった場合、以後の住宅ローンの返済は免除されるため、団体信用生命保険にはぜひ加入しましょう。

必要保障額を大きく減らすことができます。

子どもの就職・独立

子どもの教育資金がひと段落したら、夫婦の老後生活資金のことを考える必要があります。

子どもが独立すれば必要保障額は減るので、超過する保障を解約し、浮いた保険料分のお金を他の金融商品で運用して、老後生活資金を蓄積していきましょう。

特に妻の場合は、夫と死別後も10年以上独りで生きていかなければならないケースが多いので、相続のことも考慮して、妻名義の金融資産をつくっておくことも大切です。

定年退職後

「自分の葬式代くらいは、自分で準備する」という人が多く、死後の整理資金として、終身保険で200~300万円を備えるということが考えられます。

これには退職金の一部を利用して、一時払終身保険で備えるという方法もあります。

短期間で中途解約をすると元本割れとなるリスクがありますが、以後の利回りは預貯金を上回ることが多いです。

最近は、家族やごく親しい人たちだけで行う「家族葬」や「直葬」などが主流になりつつあり、備える金額はもっと少なくてもよいかもしれません。

終身保険などに特約で医療保障を付けている場合、その医療保障は80歳で終了してしまうケースが多いです。

寿命が延びているので、80歳を超えてからが本当に医療保障を必要とする時期になります。

公的医療保険の高額療養費制度や保有金融資産を考慮する必要がありますが、医療保障を追加する必要がある場合には、保険料を終身払にすれば、終身型の医療保険でも保険料の負担を抑えることができます。

検討してみましょう。

まとめ

ライフイベントに合わせた、基本的な生命保険の見直しの着目点について見てきました。

もちろん、これ以外の見直し時期や見直しの方法もあります。

人それぞれです。

ですが、すすめられるままに生命保険に加入し、ずっと見直しをしないままにしていることが多いので、定期的にチェックすることが大切です。

2024.6.10

カテゴリー
生命保険

医療保険に加入するときに注意したいこと

病気やケガで入院や手術をすると、医療費として多額な費用がかかることがあります。

もし多額な医療費がかかったとしても、公的医療保険の「高額療養費制度」により、負担を軽減することができます。

しかし、高額療養費制度の対象にならない費用もあります。

これをカバーするのが民間の医療保険の役割です。

では、医療保険に加入するときには、どのようなことに注意点しなければならないのでしょうか?

「高額療養費制度」により医療費の自己負担限度額を超えた金額が戻ります

まず公的医療保険の「高額療養費制度」についてです。

高額療養費制度とは、月の初めから終わりまでの1ヵ月間(4月であれば4月1日~4月30日)にかかった医療費に対して支払う自己負担額が、あらかじめ定められている自己負担限度額を超えた場合に、その超えた部分の金額が戻ってくる、というものです。

注意していただきたいのが、金額は1日から月末で計算するということです。

同じ月であればわかりやすいのですが、例えば4月15日~5月14日まで入院した場合には、高額療養費の計算は、4月15日~4月30日までと5月1日~5月14日までの2つの月に分かれます。

支払った医療費の自己負担額が、総額で自己負担限度額を超えていても、月単位で超えていなければ戻ってきません。

どのくらい戻ってくるのか

ひと月あたりの自己負担限度額は、70歳未満で年収が約370万円~770万円の人の場合、次のように計算します。

ひと月あたりの自己負担限度額 = 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%

例えば、かかった総医療費が100万円の場合であれば、この式にあてはめて計算すると、ひと月あたりの自己負担限度額は87,430円となります。

80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円

70歳未満の人であれば、医療機関の窓口での自己負担額は、原則として、かかった総医療費の3割です。

自己負担額300,000円(1,000,000円×30%=300,000円)のうち、212,570円(300,000円-87,430円=212,570円)が戻ってくることになります。

このように高額療養費制度があるおかげで経済的負担がかなり抑えられます。

「高額療養費制度」の対象にならない費用があります

高額療養費制度の対象になるのは、治療関連費用(入院基本料、手術料、検査料、投薬料など)のうち健康保険診療の範囲内になるものだけです。

「差額ベッド代〈注1〉」や「入院中の食事代」は高額療養費制度の対象外です。

「差額ベッド代」は、1人部屋では8,322円、4人部屋では2,705円〈注2〉というデータがありますが、全額自己負担しなければなりません。

また「入院中の食事代」は、一般的に1食490円(2024年6月現在)ですが、これも全額自己負担しなければなりません。

さらに、その他の諸費用として「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費」、「見舞いに来る家族の交通費」などがかかってきます。

これらの費用についても、全額自己負担しなければなりません。

最近は入院期間が短期化する傾向にあります。

しかし、がん、脳血管疾患、心疾患などの重い病気を患えば、どうしても入院期間は長期化することが考えられます。

もしも入院期間が長期化してしまった場合には、このような自己負担しなければならない費用がかさみ、多額の経済的負担がのしかかってきます。

〈注1〉差額ベッド代

 6人部屋などの一般病室に対して、1~4人の「特別療養環境室」に入室したときに  
 かかる費用。部屋の人数により異なり、1人部屋が最も高額。

〈注2〉出典

 厚生労働省 中央社会保険医療協議会「主な選定療養に係る報告状況」令和4年7
 月1日現在 

医療保険は高額療養費制度の対象にならない費用を目安に加入しましょう

高額療養費制度の対象にならない費用については民間の医療保険で備えましょう。

なお、医療保険の加入にあたっては、「入院給付金日額をいくらにするか?」ということがベースになります。

保険料を必要以上に支払わないためにも、これまで説明した高額療養費制度の対象にならない費用を目安にして、入院給付金日額の設定をすることが大切です。

実際の設定にあたっては、その人の年収や入院する病室の希望など個人によって内容が異なってきますので、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談するとよいでしょう。

がん治療などの「先進医療」には医療保険の特約で備える

現在は2人に1人が、がんにかかる時代といわれています。

がんの治療で用いられる陽子線治療などの「先進医療」にかかる費用は、高額になるものの、高額療養費制度の対象外のため、全額自己負担しなければなりません。

先進医療にかかる費用については、医療保険の特約により、安い保険料で備えることができますので、加入をおすすめしまう。

まとめ

以上、医療保険に加入するときの注意点について見てきました。

多くの人が、すでになんらかの医療保険に加入されています。

民間の医療保険で備えたいのは、高額療養費制度の対象にならない費用です。

具体的には、「医療費の自己負担部分(70歳未満の人であれば原則3割)」「差額ベッド代」「入院中の食事代」「着替えや洗面用具などの身の回りのものの購入費、見舞いに来る家族の交通費など」「先進医療にかかる費用」などです。

どのくらいの金額を想定しておけばよいのかを計算し、1日あたりに必要な入院給付金日額を設定します。

現在加入している医療保険が必要以上の保障を付けていて、保険料を払い過ぎていないか、ぜひ確認してみてください。

2024.6.9

カテゴリー
生命保険

妻が受け取れる遺族厚生年金は2,400万円! シニアには生命保険は不要?

会社員であった夫が亡くなると国の公的年金制度から遺族年金を受け取ることができます。

遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2つがあります。

遺族年金は残された遺族の生活費として支給されます。

一方で、遺族の生活費を保障するものに生命保険があります。

では、遺族年金がもらえるのなら生命保険はいらないのでしょうか?

1.遺族年金とは

遺族年金とは、一家の働き手などが亡くなったときに、国の公的年金制度から遺族に給付される年金です。

遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがあります。

20歳以上60歳未満のすべての国民は国民年金に加入します。

企業等に勤務する人や公務員は、国民年金の上乗せとして厚生年金に加入します。

「遺族基礎年金」は国民年金からの給付の1つであり、「遺族厚生年金」は厚生年金からの給付の1つです。

 国民年金厚生年金
老齢給付老齢基礎年金 付加年金老齢厚生年金
障害給付障害基礎年金障害厚生年金 障害手当金
遺族給付遺族基礎年金 寡婦年金  死亡一時金遺族厚生年金

それでは「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」についてくわしく見ていきましょう。

なお、遺族年金には細かい規定が定められており、そこまで説明すると複雑になるので、ここでは原則部分を説明します。

(1)遺族基礎年金とは

遺族基礎年金は、受給要件を満たしている場合、死亡した人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。

遺族基礎年金は子どもがいないと受け取ることができないのです。

しかもここでいう子とは、18歳になった年度の3月31日までになります。

このように遺族基礎年金の受け取りは限定的なのです。

なお、子どもが複数いる場合には人数に応じた加算があります。

(2)遺族厚生年金とは

一方の遺族厚生年金は、受給要件を満たしている厚生年金の加入者や受給権者、受給者が死亡した場合に、その人によって生計を維持されていた妻、子や孫などが受け取ることができます。

遺族厚生年金は遺族基礎年金とは異なり、子どもがいない配偶者も受け取ることができます。

遺族厚生年金の受給年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。

計算式で示すとこのようになります。

年金額=(①2003(平成15)年3月までの被保険者期間分+②2003(平成15)年4月以降の被保険者期間分)×4分の3

①の計算式=平均標準報酬月額×1,000分の7.125×被保険者期間の月数(2003(平成15)年3月まで)

②の計算式=平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数(2003(平成15)年4月以降)

おおまかに言うと、平均標準報酬月額とは、厚生年金の被保険者期間の平均月収で、ボーナスも加味したものが平均標準報酬額です。

平均標準報酬月額と平均標準報酬額については、別途正式な算出方法が定められています。

なお、所定の受給要件を満たせば、「中高齢寡婦加算」や「経過的寡婦加算」という規定によって、遺族厚生年金の受給年金額が増額されるケースもあります。

2.妻が受け取れる遺族厚生年金の金額

それでは妻が受け取れる遺族厚生年金はどれくらいなのでしょうか?

例として、夫が会社員で、同い年の妻が専業主婦として扶養されており、子どもは独立済みというケースで見てみましょう。

夫は会社員なので国民年金と厚生年金に加入しています。

夫の死亡により、国民年金からは遺族基礎年金、厚生年金からは遺族厚生年金の支給が考えられます。

しかし子どもはすでに独立済みなので、遺族基礎年金の支給はありません。

妻には遺族厚生年金のみの支給となります。

受給できる年金額は、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。

計算式で示すとこのようになります。

年金額=(①2003(平成15)年3月までの被保険者期間分+②2003(平成15)年4月以降の被保険者期間分)×4分の3

①の計算式=平均標準報酬月額×1,000分の7.125×被保険者期間の月数(2003(平成15)年3月まで)

②の計算式=平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数(2003(平成15)年4月以降)

ここではわかりやすくするために「②の計算式」のみを用いて、

平均標準報酬額×1,000分の5.481×被保険者期間の月数×4分の3

として計算してみました。

ここに示した数値はイメージをつかんでいただくためのあくまでも目安です。

実際の受給年金額を計算するには、年金事務所に確認してください。

平均標準報酬額厚生年金の被保険者期間
20年25年30年35年40年
300,000円295,974円369,967円443,961円517,954円591,948円
400,000円394,632円493,290円591,948円690,606円789,264円

3.遺族厚生年金がもらえるなら、シニアには生命保険は不要?

先ほどの例の場合で、平均標準報酬額が400,000円で、厚生年金に40年加入していた夫が60歳で亡くなったケースで見てみましょう。

あくまでも目安ですが、妻が受け取れる遺族厚生年金は年額で789,264円です。

妻が90歳まで生きるとすると60歳から90歳までの30年間、毎年約80万円の遺族厚生年金が受け取れます。

受取総額は80万円×30年間で2,400万円です。

妻は65歳になれば自分の年金として、国民年金から老齢基礎年金がもらえます。

2024(令和6)年度の老齢基礎年金の年額は満額で約80万円です。

妻は65歳から90歳までの25年間、毎年80万円の老齢基礎年金がもらえるとすると、受取総額は80万円×25年間で2,000万円となります。

夫の遺族厚生年金2,400万円と妻自身の老齢基礎年金2,000万円を合計すれば4,400万円です。

夫の残した金融資産、例えば退職金などが1,000万円あるとすると合計で5,400万円となります。

この5,400万円を60歳から90歳までの30年間(360ヵ月)の生活費にあてるとすると、

5,400万円÷360ヵ月で、毎月15万円となります。

つまりこのケースでは、毎月の生活費が15万円までであれば、生命保険に加入する必要はないということになります。

しかし、実際には夫の残した全財産や妻自身の貯蓄、妻の老後のライフプランによって、生活するために必要な金額は変動します。

シニア世代になって、生命保険にはいくら加入しておけばいいのかを考える際には、遺族厚生年金のことも必ず考慮する必要があります。

2024.6.8

カテゴリー
相続

代表的な2つの遺言書

遺言書にはさまざまな方式があります。

実際によく活用されているのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つです。

これら2つの遺言書の特徴についてまとめてみました。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、財産目録以外すべて自筆で書かなくてはならず、作成にあたり厳格な方式が決まっています。

(財産目録については、パソコンで作成したものや、通帳や登記事項証明書のコピーに署名押印して添付することが可能になりました。)

財産配分など遺言の内容のほか、作成年月日、遺言者の氏名を書いて印鑑(朱肉を使うもの)を押します。

作成日が特定できないもの、印鑑を押していないもの、夫婦連名で作成したものなどは無効です。

遺言書の内容を一部変更している場合、訂正のしかたが決められた方式でないと、その訂正が無効になることがあります。

後々に争い事を起こさないためにも、内容を変更するときは、一部の変更ではなく、全文を書き直しする方がよいです。

なお、原則として自筆証書遺言は家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。

しかし、2020年7月10日よりスタートした「自筆証書遺言書保管制度」を利用することにより、家庭裁判所で検認の手続きは不要になりました。

自筆証書遺言書保管制度

自筆証書遺言書保管制度では、法務局が自筆証書遺言書を保管してくれます。

そして保管の際には、民法で定める自筆証書遺言の方式について外形的な確認(全文、日付および氏名の自書、押印の有無など)を行ってくれます。

なお、遺言の内容についての相談には応じてもらえません。

この制度を利用することで、これまで自筆証書遺言書の問題点であった紛失や偽造、廃棄のおそれがなくなり、家庭裁判所の検認が不要となりました。

保管申請手数料が3,900円かかります。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、原則として公証役場で、法律にくわしい公証人が作成するため形式不備になることはなく、公証役場で保管されるため紛失や偽造、廃棄のおそれがありません。

そのため家庭裁判所の検認が不要となるので、すぐに相続の手続きをすることができます。

一方で、財産目録や登記事項証明書、戸籍謄本、印鑑証明書など、遺言書作成にあたり準備すべき書類がたくさんあります。

さらに遺言書作成当日には証人が2人以上必要です。

公証人に支払う作成手数料は相続財産の価額によって決められており、たとえば3,000万円~1億円以下であれば30,000円~40,000円ほどかかります。

その他にも必要書類の交付手数料や証人手数料などがかかります。

公正証書遺言は自筆証書遺言に比べて厳格であり安心できる反面、費用だけでなく時間がかかることにも注意が必要です。

自筆証書遺言と公正証書遺言の長所・短所

【自筆証書遺言】

〈長 所〉

〇すぐに作成することができる

〇あまり費用がかからない

〇自分ひとりで作成することができる

〈短 所〉

●財産目録を除き、全文を自分で書かなければならない

●形式の不備により無効になることがある

●誰にでも同じ解釈ができる文章でないと争いのもとになる

●紛失や偽造、廃棄のおそれがある

●「自筆証書遺言保管制度」を利用した場合を除き、家庭裁判所での検認が必要とな 
 る

【公正証書遺言】

〈長 所〉

〇法律にくわしい公証人が作成するので、形式が不備になることがない

〇原本が公証役場に保管されるので、紛失や偽造、廃棄のおそれがない

〇家庭裁判所での検認がいらないので、すぐに相続の手続きを開始することができる

〈短 所〉

●準備すべき書類がたくさんある

●公証人に支払う費用が発生する

●証人が2人以上必要となる

まとめ

遺言書を書くことで、実態に合った財産分けが可能になります。

遺言書を書くことは、将来の心配事を未然に防ぎ、書き終わると気持ちもスッキリとして、安心する効果があると考えられます。

「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」それぞれに長所・短所があります。

どちらを選択するのかは、それぞれの長所・短所をふまえて決めましょう。

2024.6.7

カテゴリー
相続

このような人には遺言書が必要

遺言書は「自分の財産を、誰に、どれだけ引き継がせるのか」を書面に残したものです。

遺言書を書くことで、法律によってしばられたものではなく、実態に合った財産分けが可能になります。

遺言書を書くことは、将来の心配事を未然に防ぎ、書き終わると気持ちもスッキリとして、安心する効果があると考えられます。

では遺言書を書いた方がいいのはどのような人なのでしょうか?

「このような人には遺言書が必要」ということで、7つあげてみました。

①元気な人 ②財産が少ない人 ③家族仲が良い人 ④子どものいない人

⑤心配事がある人 ⑥海外に子どもがいる人 ⑦相続人がいない人

それぞれについて見てみましょう。

①元気な人

遺言書では、たとえば自分の介護でお世話になった息子の妻など、民法で定められている相続人以外の人にも自分の財産を贈ることができます。

ただし、遺言書は元気でなければ書けません。

歳をとるほど書きにくくなります。

そしてもし自分が認知症になってしまったら、もう書くことはできません。

②財産が少ない人

相続争いは遺産総額5,000万円以下で相続全体の約3/4を占めています。

意外かもしれませんが、実は財産の少ない人の方が相続争いは多いのです。

③家族仲が良い人

たとえ今は、兄弟姉妹の仲が良くても、それぞれが家族をもつと血縁関係はうすくなり、いずれ兄弟姉妹が気まずくなることも考えられます。

今はどんなに仲が良くても、源頼朝と源義経のように、将来は争うことになるかもしれません。

④子どものいない人

子どものいない人の場合、たとえば夫の相続人は妻と兄弟姉妹というケースが多いようです。

妻が夫の通帳から生活費をおろして使っていた場合、夫の相続が始まると、夫の葬儀費用でも兄弟姉妹の承諾がないとおろせなくなります。

しかし、遺言書があれば兄弟姉妹の承諾は不要です。

兄弟姉妹には遺留分(法律上、最低限相続できる相続分)がありません。

そのため自分の相続人が配偶者と兄弟姉妹のみの場合、遺言書で指定することにより、配偶者に全財産を相続させることができます。

⑤心配事がある人

将来が心配な家族がいる場合には、その人の生活を守るために、遺言書を書いておきましょう。

⑥海外に子どもがいる人

財産の分割にあたり遺産分割協議書を作るときに、相続人が海外に住んでいると、書類の取り寄せに手間や時間がかかります。

手続きをスムーズに進めるためにも遺言書を書いておきましょう。

⑦相続人がいない人

相続人がいない人の財産は国庫に帰属します。

遺言書があれば、お世話になった人たちに自分の財産を贈ることで感謝の気持ちを伝えることができます。

自分が納得のいく相続を行うためにも、このような人にはぜひ遺言書を書くことをおすすめします。

2024.6.6

カテゴリー
生命保険

私が認知症になったら、保険金の請求はどうすればいいの?

厚生労働省の調査では、2025年には65歳以上の人のうち、およそ5人に1人が認知症を患うという結果が出ています。

保険に加入していても、認知症を患い、肝心なときに保険金の請求ができないということも起こり得ます。

そのための対策について調べてみました。

●家族などが自分に代わって保険の手続きができる制度

保険金は保険会社に対して請求をしなければ受け取ることができません。

保険に加入していても、認知症などにより保険金の請求ができないということが考えられます。

そこで「家族などが自分に代わって保険の手続きをすることができないか」ということになるのですが、頼りになる制度が3つあります。

「指定代理請求制度」「家族情報登録制度」「保険契約者代理制度」です。

いずれの制度も、契約者や被保険者に判断能力があるうちに手続きをしなければなりません。

それぞれの制度について、家族などが代行できることを簡単にまとめると次のようになります。

 契約内容照会保険金請求解約
指定代理請求制度×
家族情報登録制度××
保険契約者代理制度

指定代理請求制度

保険金請求をする意思表示ができなかったり、病名や余命の告知を受けていないなどの特別な事情がある場合に、契約者が家族などのあらかじめ指定した代理人が、被保険者に代わって、契約内容照会や保険金請求ができる制度です。

契約者は被保険者から同意を得る必要があります。

家族情報登録制度

事前に同意を得て、家族の連絡先を登録しておく制度です。

契約者本人と連絡がとれない場合などに、生命保険会社が登録されている人に対して、契約者の連絡先などの確認を行う制度です。

これによって保険金請求もれを防止することができます。

なお、保険金受取人に代わって保険金請求をすることはできません。

保険契約者代理制度

契約者が意思表示できない場合などに、あらかじめ指定された家族などの代理人が、契約者に代わって、契約内容照会、住所変更、保険金請求、解約などの手続きをすることができる制度です。

●家族の保険契約の有無を確認できる「生命保険契約照会制度」

家族の判断能力が低下してしまった場合や死亡した場合に、その人が保険契約者または被保険者になっている生命保険契約の有無を確認できる制度です。

生命保険協会が運営しています。

1名につき3,000円の利用料がかかるほか、公的書類や医師の診断書などが必要になります。

この制度を利用することにより、生命保険協会に加盟している全生命保険会社において、生命保険契約の有無を確認することができます。

もし自分が認知症などにより意思表示ができなくなってしまっても、せっかく加入している保険が無駄にならないよう、健康な今のうちから利用できる制度をおさえてきましょう。

制度を利用したいと思ったら、早速生命保険会社に問い合わせてみましょう。

2024.3.23