民間の医療保険の役割は、国の公的医療保険でカバーできない部分を補うことです。
医療保険には実に数多くの商品があり、「選び方がわからない」「何を重視すべきか迷う」という人も多いのではないでしょうか。
医療保険を選ぶ際の重要なポイントを、基礎知識から具体的な比較方法までわかりやすく解説しています。
この内容をおさえていただければ、自分に最適な医療保険を見つけることができます。
1. 医療保険を選ぶ前に考えること
自分に最適な医療保険を選ぶ前に、把握しておくべきことが3つあります。
(1)公的医療保険の保障を理解する
国の公的医療保険制度では、医療機関の窓口で支払う自己負担額は、かかった医療費の原則3割となっています。
さらに「高額療養費制度」があり、医療費の自己負担限度額が設けられています。
これにより、ひと月に何十万円もの医療費の支払いを請求されることはありません。
このように公的医療保険制度の内容は充実したものになっています。
(2)貯蓄で備えられるか
もしも十分な貯蓄があるのであれば、わざわざ医療保険に加入する必要はありません。
公的医療保険でカバーできない部分について、貯蓄で対応すればよいからです。
「貯蓄で入院費や治療費をカバーできるか?」を考え、足りない分は医療保険で補うというのが合理的です。
(3)ライフステージ・健康状態
結婚、出産、住宅購入など、ライフステージごとに必要な保障は変わります。
そのため定期的な見直しが大切です。
また、持病があると医療保険には加入できないケースがあるため、健康なうちに加入する方が有利といえるでしょう。
2. 医療保険の選び方・ポイント
医療保険を比較・検討する際のチェック項目について解説します。
(1)保障内容を確認する
●入院給付金日額:5,000円〜10,000円が一般的です。
●入院給付金支払限度日数:短期入院(5日以内)が増えているため、60日型が主流ですが、長期入院リスクに備えるのであれば120日型も検討するとよいでしょう。
●手術給付金:がんや生活習慣病の手術費がカバーできるか確認しましょう。
●通院保障:入院期間の短縮化により、退院後の通院による治療期間が長くなっていますので、検討してみましょう。
(2)特約の必要性を見極める
●先進医療特約:先進医療による治療費は公的医療保険制度の対象外であり、全額自己負担しなければならず、数百万円に及ぶケースもあります。
この特約はわずかな負担で加入することができるので、コスパが良く人気です。
●女性疾病特約・がん特約:ライフスタイルや家族の病歴に応じて追加を検討してみてください。
(3)保険料と保障バランス
毎月の保険料が家計に負担をかけないかを確認することが大切です。
保険期間が定期型(更新型)または終身型であることの違いを理解し、総額でいくら支払うことになるのかをシミュレーションしてください。
(4)保険会社・商品の信頼性
加入したい保険会社および商品についての口コミ評価や加入者満足度も参考にするとよいでしょう。
ネット専用保険は保険料が安い一方で、相談窓口が少ない点に注意が必要です。
3. 医療保険 比較・検討のコツ
医療保険は次々と開発されており、かなりの商品数があります。
加入にあたっては比較・検討することが重要です。
そのコツを解説します。
(1)複数の商品を比較する
最近では、どのような場合に給付金が支払われるのか、保障範囲が細かく決められています。
すでに多くの医療保険が発売されており、新商品を出しても大差をつけることができません。
保障範囲を細かく決め、どこまで拡大できるか、ということでしか差別化が行えなくなってきているからです。
たとえば、がんの保障において、上皮内がんまで保障の対象に含めているか否かなどです。
必ず複数の保険会社を比較するようにしてください。
(2)すでに加入している生命保険と保障の重複に注意
すでに加入している生命保険に特約として医療保障が付いていることがあります。
また、会社の福利厚生制度で医療保障が含まれていることがあります。
保障が重複してしまうと、無駄な保険料を負担することになりますので、損をしないようによく確認する必要があります。
4. 医療保険に加入するタイミングは?
医療保険に加入するならば健康なうちに、というのも有効な判断です。
既往症があると加入できなかったり、加入できたとしても保険料の割増や給付金の支払制限など条件付きになることがあります。
年齢が若いほど保険料が安い傾向にあるため、月々の保険料の負担で見れば、20代・30代での加入は経済的な負担を軽減できるといえます。
5. まとめ
以上、医療保険の選び方・ポイントについて解説しました。
おさえておいていただきたい点は次の通りです。
●公的医療保険制度や高額療養費制度を理解したうえで、必要な保障を明確にする
●入院給付金・手術給付金・特約などの保障範囲を確認する
●支払う保険料と得られる保障のバランスをシミュレーションする
●定期的に見直すことで無駄な保険料を削減する
複数の保険会社の医療保険を比較し、自分のライフスタイルに合ったものを探すことが医療保険選びを成功させるカギです。
2025.7.25